マリリン・モンロー主演、ローレンス・オリヴィエ監督による映画中で撮影される映画のタイトルが「眠れる王子」と字幕で訳されているのに仰天した。
The Sleeping Prince(ちなみに、ふつう日本では「眠りの国の王子」と訳される)というのは、テレンス・ラティガンの原作戯曲のタイトルで映画化の原題はすでにThe Prince and the Showgirl、邦題も「王子と踊子」だ。
コリン・クラークによるこの映画の原作のタイトルは「王子と踊り子と私」と字幕で訳されているが、これもThe Prince, the Showgirl and Me の直訳。「眠れる王子」なんて訳したものだから、なぜこういうタイトルをつけたのか意味がわからなくなった。
つまりどっちも原典と映画化と邦題の関係とを把握しないでとりあえず目の前の英語タイトルを直訳しているだけ。こういうズサンな仕事がスクリーンに乗ってしまうのを見せられて、いささか意欲が減退した。要するに字幕が信用できなくなったのだ。
戸田奈津子先生、いい加減にしてください。
まさか「王子と踊子」なんて映画は誰も知らないから撮影中の仮題として写るthe sleeping princeと食い違うと混乱するとでもいうのではあるまいな。NHK-BSで少なくとも二回放映されている映画だぞ。
なんでこういう基本的データのチェックがされないのか。映画史的知識など必要ない、誰かがネットでちょっと検索すればいいことだ。
デジタル上映だが、今からでも字幕の差し替えはできないのか。
ジャック、とだけ呼ばれて緑のキャップをかぶってカメラを操作しているスタッフがいるが、これはもちろんジャック・カーディフ。最近リバイバルされた「赤い靴」の撮影を担当した、カラー映画の歴史を作った偉大なDP(director of photography 撮影監督)で、エンドタイトルにはちゃんとフルネームで出てくるけれど、これではその他大勢だ。
実際、映画の撮影現場でスタッフをまとめるのは監督であるよりDPで、監督はその上に立ってジャッジする役であることが多い。
「王子と踊子」のように監督と主演を兼ねる場合は、なおさらDPのスタッフ掌握は重要になるが、まるっきり描いていない。
もとより現場スタッフはその他大勢の書割みたいで、サード助監督である主人公も当然その一人のはずだが、イートン校出身という出自同様特別扱いされていて、ノーマ・ジーンという貧しい育ちの女性に対しては王子の立場になり、大スター女優マリリン・モンローに対しては踊子の立場になるという二重のドラマチックなコントラストをなすはずが、後者はごく弱く、いささか調子よく見える。
モンローのコーチのポーラ・ストラスバーグはリー・ストラスバーグとステラ・アドラーとともにアクターズ・スタジオの創始者。娘のスーザン・ストラスバーグも女優で、「王子と踊子」(1957公開)でモンローにポーラがべったりはりついている時期の1955年に「ピクニック」でデビューし、58年の「女優志願」でブレイクしている。
実娘はまるっきりほったらかしだったのがわかる。
そういう描きこみをしていれば、この独占欲の塊のようなジューイッシュ・マザーのキャラクターももう少し立っただろう。
マリリン・モンローは男でいうならブルース・リーみたいなひとつの肉体的アイコンそのもので、他の人間による再現は不可能に思える。
(☆☆☆★)
本ホームページ
マリリン 7日間の恋 - goo 映画
The Sleeping Prince(ちなみに、ふつう日本では「眠りの国の王子」と訳される)というのは、テレンス・ラティガンの原作戯曲のタイトルで映画化の原題はすでにThe Prince and the Showgirl、邦題も「王子と踊子」だ。
コリン・クラークによるこの映画の原作のタイトルは「王子と踊り子と私」と字幕で訳されているが、これもThe Prince, the Showgirl and Me の直訳。「眠れる王子」なんて訳したものだから、なぜこういうタイトルをつけたのか意味がわからなくなった。
つまりどっちも原典と映画化と邦題の関係とを把握しないでとりあえず目の前の英語タイトルを直訳しているだけ。こういうズサンな仕事がスクリーンに乗ってしまうのを見せられて、いささか意欲が減退した。要するに字幕が信用できなくなったのだ。
戸田奈津子先生、いい加減にしてください。
まさか「王子と踊子」なんて映画は誰も知らないから撮影中の仮題として写るthe sleeping princeと食い違うと混乱するとでもいうのではあるまいな。NHK-BSで少なくとも二回放映されている映画だぞ。
なんでこういう基本的データのチェックがされないのか。映画史的知識など必要ない、誰かがネットでちょっと検索すればいいことだ。
デジタル上映だが、今からでも字幕の差し替えはできないのか。
ジャック、とだけ呼ばれて緑のキャップをかぶってカメラを操作しているスタッフがいるが、これはもちろんジャック・カーディフ。最近リバイバルされた「赤い靴」の撮影を担当した、カラー映画の歴史を作った偉大なDP(director of photography 撮影監督)で、エンドタイトルにはちゃんとフルネームで出てくるけれど、これではその他大勢だ。
実際、映画の撮影現場でスタッフをまとめるのは監督であるよりDPで、監督はその上に立ってジャッジする役であることが多い。
「王子と踊子」のように監督と主演を兼ねる場合は、なおさらDPのスタッフ掌握は重要になるが、まるっきり描いていない。
もとより現場スタッフはその他大勢の書割みたいで、サード助監督である主人公も当然その一人のはずだが、イートン校出身という出自同様特別扱いされていて、ノーマ・ジーンという貧しい育ちの女性に対しては王子の立場になり、大スター女優マリリン・モンローに対しては踊子の立場になるという二重のドラマチックなコントラストをなすはずが、後者はごく弱く、いささか調子よく見える。
モンローのコーチのポーラ・ストラスバーグはリー・ストラスバーグとステラ・アドラーとともにアクターズ・スタジオの創始者。娘のスーザン・ストラスバーグも女優で、「王子と踊子」(1957公開)でモンローにポーラがべったりはりついている時期の1955年に「ピクニック」でデビューし、58年の「女優志願」でブレイクしている。
実娘はまるっきりほったらかしだったのがわかる。
そういう描きこみをしていれば、この独占欲の塊のようなジューイッシュ・マザーのキャラクターももう少し立っただろう。
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核実験の方も失敗してバラバラ、なんてことになったらシャレにならんな。
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