とはいえ、もともとマザコンの殺人鬼が殺した女の髪の毛を剥いでマネキンにかぶせるという趣向は、スプラッターの元祖ハーシェル・ゴードン・ルイスの「悪魔のかつら屋」(’67)っぽくて新味がなく、それをまたリメイクしようというのだからどんな新趣向を付け加えるのかというと、ほぼ全編犯人の主観カメラで通すというもの。「13日の金曜日」以来、殺人鬼が迫るところで主観カメラになってハアハアいう声がかぶったりする、あれでほぼ全編通しているわけ。
近頃の流行りのPOVっぽい手法でもあるわけだが、なんか意味あるのかなという感じ。主観カメラにしたって犯人の顔を隠すという機能があるわけではないし、犯人に近い気分になるというものではない。さらに必然的にアングルが制限されるし、ちょこちょこつまんではいてもだらだらした長まわしになるから、単調になる。
ストーリーもただ女を殺して皮を剥ぐ繰り返しで、特殊メイク技術が向上したというわけでもない。オリジナルのトム・サヴィーニのメイクの方がCG使えない分むしろ生っぽくて気持ち悪かったし、CG使った新表現というほどのものもあまりない。
主演が「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイライシャ・ウッドというのが驚きだが、主観カメラにしたのは写る分量を減らして拘束日数を減らすためではないかと邪推したくなる。演技的な挑戦というにはお粗末な役だし、さほど人気が落ちたといも思えないのに、なんでまたこんなのに出たのかという感じ。
レンタルブルーレイで見たが、劇場公開されたのと同じR指定版でした。従って、ゴアシーンに関しては、 「リメイク版「マニアック」日本劇場公開版R15規制について」で指摘されたような問題はクリアされてません。
されたとして、一気に評価が変わるかどうかは疑問だけれど、それはともかくハードな描写が見られないのは不満。
(☆☆)
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