食うか食われるかの資本主義社会で、油断していたりヘタに人に同情したりしていたらたちまち転落するし、セーフティネットなど事実上働かないさまをありありと見せる。
切り捨てるのが強者側だけでなく、弱者側も結局人を救えるわけではないから自己責任だという理屈で同類を切り捨ててしまいがちなのだが、ここでの主人公も作者もそれでいいのかという地点で辛うじて踏みとどまっている。
出てくる人間が脇の脇までそれらしい。とうぜん役者がやっているのだろうけれど、そう思わせない。ホストクラブのマネージャー役の吹越満などすごいメイクで誰だかわからないくらいだったが一方的に搾取する側かと思わせておいて、搾取される側でもあるのをふっとわからせるあたり、唐突なりに納得できる。
主役(中村蒼)をイケメンなのはホストクラブに勤めるというストーリー上の必要もあるし、興行上のつっかえ棒ではあるだろうけれど、一方でまじめさや不器用さもちゃんと出していたように思う。
ホストクラブで売り上げを伸ばすためにホストたちがシャンパンを一気飲みしているが、ああいう炭酸入りの酒はアルコールがまわりやすく体の負担をかけるのだな。若くても肝臓が壊すのが出てくるのは当然。
(☆☆☆★)
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