「明日なき街角」というタイトルと一緒に原作・北方謙三、監督・若松孝二、主演・金子賢、友情出演・的場浩司と主要四人の名前がずらっと並んでいっぺんに出る。こういう省スペースなタイトルの出し方、初めて見た。
オープニングの金子賢が工作機械を操って手製の武器を作ったり、川べりのガード下で兄貴分の指導を受けて射撃練習したりする無言の描写のハードボイルドタッチは好調だけれど、黒幕に利用されて殺しあいになりかけた二人の男が最終的に協力して黒幕を倒すまでに、二人を描く比重とキャスティングがどうもアンバランスでスムースに盛り上がらず、女が絡むシーンが調子が出ないこともあって、後半いささか失速気味。
ドンパチそのものも淡白で、簡潔に済ませるのかどうか迷ったみたいな処理の仕方であまり見せ場になっていない。
友情出演というと軽いが重要な役を知名度のある役者がやるイメージがあるが、ここでは準主役級の役なのにこういう位置づけなのはどういう事情があったのかと思う。役者の間にいわゆる化学反応が起こっていない。
金子賢が勤める工場の親方役が室田日出男で、金子が暴力に傾きかけるのをなんとか引き止めようとしていたのが巻き込まれてボコボコにされる儲け役で好演。
(☆☆★★★)