マリオン・コティヤールに初めから当てて書いた役だというが、これヒロインが美人でないと初めから成り立たないストーリーなのだな。「君と歩く世界」あたりの演技からして汚れ役を嫌うわけもなく、あまり露骨な社会派的な差別と搾取の話にしないで、クラシックムード寄りに仕立てている。
オープニングがニューヨークの入国管理局があるエリス島で、場所といいセピアトーンの画調といい完全に「ゴッドファーザーPART2」(撮影・ゴードン・ウィリス)を思わせ、思わせるというだけでなく、ダリウス・コンジの撮影はあれにひけをとらない出来といって過言ではない見もの。
コンジのAmerican Cinematographerのインタビューを読むと、尊敬する撮影監督にグレッグ・トーランド、ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ、ヴィルモス・ジグモンド、ヴィットリオ・ストラーロとともにゴードン・ウィリスの名があるので、当然意識しただろう。
イタリア系と東欧系という違いはあっても、ニューヨーク下町の移民社会というのはごく近しいし、参考にしないほうがおかしいようなもの。
セピア以外も、早朝の刑務所の壁の抑えた青みがかったグレーの中に銀がきらめいているようなトーンなど圧倒される。
(☆☆☆★)
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