これ、現代の話のはずなのだけれど、携帯もパソコンも出てこない。自動車乗るのに、いちいちシートベルトしない(最近の映画だと規制がうるさくてシートベルトしているところを見せないといけなくなっている)。あまりに何にもないのにすがすがしさすら覚える。
がらんとした廃屋とか畑などの荒廃して見えそうな光景が、白黒だとなんともいえない詩情を湛えて見える。
ブルース・ダーンは時期的には70年代にニューシネマがと並走する形でハリウッドのメインストリームがなくなった中でキャリアを重ねてきた。「11人のカウボーイ」で「ジョン・ウェインを殺した男」というレッテルを貼られたのが象徴的だった。
この映画で一番強欲な憎まれ役で登場するステイシー・キーチも同じ頃出てきて、「ドク・ホリディ」で古典的な西部劇とワイアットアープ&ドク・ホリディのイメージをぶち壊すのに一役かっていた。
その古いハリウッドを葬った顔が改めて古いアメリカの顔として現れたのがおもしろいところ。
父親がボケてるのかと思うとやたらまともになったりする古い蛍光灯みたいな感じや、だんだん昔の女性関係がぽろぽろわかってくるあたりの息子のなんともいえない感情の機微。
いまどき白黒画面をどうやって実現したのだろう、カラーでもフィルムはほとんど使われなくなっているのに、とImdbを検索すると、撮影・記録に使われたのはGemini 4:4:4という非圧縮レコーダーだとのこと。
デジタルで白黒の魅力をどれだけ出せるかという挑戦をしている感がある。
Creating analog with digital: the beautiful black-and-white cinematography of ‘Nebraska’の中でも触れられている「ペーパー・ムーン」(’73)もすでに完全にカラー時代になってから白黒で撮った(ただし、フィルムのカメラも白黒映画時代とは格段にシャープになっていた)わけで、奇しくもこの「ネブラスカ」と同じパラマウント映画だ。
昔の白黒とは違うわけだが、デジタルが4Kだ8Kだと高画質化する中で、モノクロというのはより肌理が細かさが生きてしかも単純なリアル志向とは別の表現に向かう方法ともなるかもしれない。白黒映画時代からこう時が経つと、ノスタルジアとは別ものになってきている気がする。
ややこしいのは、ポストプロダクションを行ったのがTechnicolorだったり、エンドタイトルにFilm Timingと出たりすること。もちろんTechnicolorは企業名兼登録商標だし、フィルムが介入するのはデジタル上映ができない映画館用だけで、画質調整をするFilm Timingの言葉だけ残っているということだろう。
(☆☆☆★★)
本ホームページ
公式サイト
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅@ぴあ映画生活
映画『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』 - シネマトゥデイ
がらんとした廃屋とか畑などの荒廃して見えそうな光景が、白黒だとなんともいえない詩情を湛えて見える。
ブルース・ダーンは時期的には70年代にニューシネマがと並走する形でハリウッドのメインストリームがなくなった中でキャリアを重ねてきた。「11人のカウボーイ」で「ジョン・ウェインを殺した男」というレッテルを貼られたのが象徴的だった。
この映画で一番強欲な憎まれ役で登場するステイシー・キーチも同じ頃出てきて、「ドク・ホリディ」で古典的な西部劇とワイアットアープ&ドク・ホリディのイメージをぶち壊すのに一役かっていた。
その古いハリウッドを葬った顔が改めて古いアメリカの顔として現れたのがおもしろいところ。
父親がボケてるのかと思うとやたらまともになったりする古い蛍光灯みたいな感じや、だんだん昔の女性関係がぽろぽろわかってくるあたりの息子のなんともいえない感情の機微。
いまどき白黒画面をどうやって実現したのだろう、カラーでもフィルムはほとんど使われなくなっているのに、とImdbを検索すると、撮影・記録に使われたのはGemini 4:4:4という非圧縮レコーダーだとのこと。
デジタルで白黒の魅力をどれだけ出せるかという挑戦をしている感がある。
Creating analog with digital: the beautiful black-and-white cinematography of ‘Nebraska’の中でも触れられている「ペーパー・ムーン」(’73)もすでに完全にカラー時代になってから白黒で撮った(ただし、フィルムのカメラも白黒映画時代とは格段にシャープになっていた)わけで、奇しくもこの「ネブラスカ」と同じパラマウント映画だ。
昔の白黒とは違うわけだが、デジタルが4Kだ8Kだと高画質化する中で、モノクロというのはより肌理が細かさが生きてしかも単純なリアル志向とは別の表現に向かう方法ともなるかもしれない。白黒映画時代からこう時が経つと、ノスタルジアとは別ものになってきている気がする。
ややこしいのは、ポストプロダクションを行ったのがTechnicolorだったり、エンドタイトルにFilm Timingと出たりすること。もちろんTechnicolorは企業名兼登録商標だし、フィルムが介入するのはデジタル上映ができない映画館用だけで、画質調整をするFilm Timingの言葉だけ残っているということだろう。
(☆☆☆★★)
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅@ぴあ映画生活
映画『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』 - シネマトゥデイ