で、こういう奴にも親はいるということで、むしろ屑に限ってかえって親子の情が濃かったのするのだが、それをさらに進めて突然名乗り出た「母親」が彼にとって本当の母親に等しくなっていくプロセスが暴力と対比されながら緊張感をもって描かれる。このあたりのねじれかたに見せる作者の想像力に驚く。
どこがピエタなのか、というのがラストまで見るとわかるストーリーテリングの意外性と巧さ。
清渓川というソウルの真ん中にあるなんとも寂れて荒廃した工場街のロケ効果がすばらしい。
DVDの特典でついているキム・ギドク監督インタビューで日本でいうなら秋葉原と言っているが、工場街という点では大田区や荒川区あたりではないか。
わずか十日間で撮影されたというのに驚く。確かにそれほど手のこんだセットアップはしていないのだが、すべてのショットに迷いがない。
(☆☆☆★★★)
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嘆きのピエタ@ぴあ映画生活
映画『嘆きのピエタ』 - シネマトゥデイ