ほとんど全編、海の上でのサバイバルの描写で通しているのだが、登場人物はたった一人ロバート・レッドフォードだけ、出だしにちょっと詩的なナレーションがかぶる他、セリフはないに等しい。
それで、もたしてしまうのだから驚く。
レッドフォード主演作としては前半一時間ほどを山中のサバイバル生活の無言の描写で埋め尽くした「大いなる勇者」や、序盤30分余りを囚人たちの中で油断なく目を光らせほとんど無言で通した「ブルベイカー」などの、無言の演技の前例が思い浮かぶ。
熊井啓監督が「大統領の陰謀」公開時のキネマ旬報で「監督の目から見るとロバート・レッドフォードというのはただの二枚目ではありませんね。ものすごく芝居がうまいというのとは違うけれど、<もつ>役者ですね」と発言している。
こういう何もしていないような芝居で見ていて飽きないというのはどういうことだろう。いわゆる存在感とかいうものだけで説明できるものではないと思う。
海の上の天候の変化や沈み行く船の細かい描写のリアリティは終始ほころびを見せない。どれほどの映画技術が注ぎ込まれたか見当もつかない。
克明な描写の積み重ねの末に一種の詩的象徴性が現れてくる。ときどき海の中からのアングルをとり、魚などの小さな生き物がアップになるあたりテレンス・マリックをちょっと思わせる(あれほどやたら高尚ではない)。
レッドフォードの役名がOur Manというあたりも象徴的。
(☆☆☆★★★)
本ホームページ
オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~@ぴあ映画生活
公式ホームページ
映画『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』 - シネマトゥデイ
それで、もたしてしまうのだから驚く。
レッドフォード主演作としては前半一時間ほどを山中のサバイバル生活の無言の描写で埋め尽くした「大いなる勇者」や、序盤30分余りを囚人たちの中で油断なく目を光らせほとんど無言で通した「ブルベイカー」などの、無言の演技の前例が思い浮かぶ。
熊井啓監督が「大統領の陰謀」公開時のキネマ旬報で「監督の目から見るとロバート・レッドフォードというのはただの二枚目ではありませんね。ものすごく芝居がうまいというのとは違うけれど、<もつ>役者ですね」と発言している。
こういう何もしていないような芝居で見ていて飽きないというのはどういうことだろう。いわゆる存在感とかいうものだけで説明できるものではないと思う。
海の上の天候の変化や沈み行く船の細かい描写のリアリティは終始ほころびを見せない。どれほどの映画技術が注ぎ込まれたか見当もつかない。
克明な描写の積み重ねの末に一種の詩的象徴性が現れてくる。ときどき海の中からのアングルをとり、魚などの小さな生き物がアップになるあたりテレンス・マリックをちょっと思わせる(あれほどやたら高尚ではない)。
レッドフォードの役名がOur Manというあたりも象徴的。
(☆☆☆★★★)
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