つまり、若者と年寄り、ネット起業家の女性と会社を勤め上げた男、といったまるで異質な組み合わせで、いくらでもぎくしゃくしたりイライラしたりしそうなのを、終始穏やかに進展する。
シニアがIT技術に戸惑うところなどいくらも笑いを狙いにいけるところを「9歳の孫にUSB接続を教えてもらった」というセリフでさばいてしまう、といった調子。素直にわからないところは聞くし、聞かれた方もふつうに教える。それで済んでしまう。
逆に起業して夫に主夫をやってもらっているアン・ハサウェイの役も何しろ会社を経営しているのだからいくらでも危機に追い込めるところを、家族と過ごせる時間を増やすために経営を任せられるCEOを探すのがメインになっているのだから穏やかなもの。
それほど強調してはいないが、デニーロの役をちょっと天使のようですらある。登場する時、太極拳をしているところにどこか浮世離れしたニュアンスが出た。
それを強調しないでかつて「とんかつを天ぷらにして煮込んだような芝居」(青井陽治)をしていたデニーロが飄々としてやっているのが72歳にしての油が抜けた新境地とも思える。
(☆☆☆★★)

本ホームページ
マイ・インターン 公式ホームページ
マイ・インターン@ぴあ映画生活
映画『マイ・インターン』 - シネマトゥデイ