焼肉屋を舞台にしているからといって過剰に匂いがするようなセットや描写は押さえて真木よう子・井上真央・桜庭ななみの美人三姉妹を並べるキャスティングのサービス、笑いや人情も昔の日本映画よりスマートで、新しい形の社会性を自然にまとっている一方で、一家がバラバラになっていくのとバラバラでも一家という悲哀と明るさが同居している。
自分の来し方を「働いた、働いた」を繰り返しながら語る父親役のハン・ドルギュの長セリフにぐっとくる。
韓国人と日本人との混成部隊のキャスティング自体、「月はどっちに出ている」「血と骨」を経た成果。
余談だが最近日本映画専門チャンネルで放映された柳川次郎をモデルにした東映やくざ映画「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」は小林旭と梅宮辰夫の主人公ふたりが在日であることは直接には描かれず、セリフの端々でわかる人にはわかるという範囲に抑えているのからすると、ずいぶん進んだものだと思う。
(☆☆☆★★★)
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