「大菩薩峠」の主人公の机龍之介がストーリーの展開につれ失明して仏教でいう無明の闇を彷徨う姿を作者の中里介山としては大真面目に宗教小説として描いていたつもりらしいが、本作もロックに通じるような宗教的な熱狂をふざけた形で宗教にありがちな臭みをあまり感じないようにアレンジしてはいるが通してみると意外と正面から描いている。
石井岳龍(聰亙)はもともとロックを映画にしたような「狂い咲きサンダーロード」「爆裂都市」からなぜかスピリチュアルな方向も目指しだして前の時代劇「五条霊戦記 GOJOE」でもそういう面がかなりあって正直どうも違和感があったが、ここに出てくる宗教集団?は腹振り党というあまりにナンセンスな集団なのであまりひっかからない。
「ええじゃないか」的なヤケっぱちというのか、ストーリーが進んだかと思うといきなりバックして、また進んだかと思うとバックするジクザクした展開がこの世界に論理や秩序といったものがおよそないのがわかるし、それは自然にスクリーンの外に地続きになっている。
パンク、というのがどういうものなのかよく知らないが、役者たち全員にとってもおそらく全部違っているだろう。
全員、まったく違う方法とアプローチでノリノリ。
浅野忠信など、最初誰だかわからなかった。エンドタイトルまで誰だかまったくわからないキャストもあるくらい。
(☆☆☆★★★)
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