prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「長いお別れ」

2019年06月19日 | 映画
30年あまり前に老人問題、特に認知症の老人(当時は老人性痴呆といった)の問題を取り上げた映画が連続したことがあった。
「ふるさと」「花いちもんめ」「人間の約束」、ドキュメンタリーの「痴呆性老人の世界」などなど。

それから一世代巡って変わったところと変わらないところと両方ある。
変わったのは、公的な支援システムがまがりなりにも色々と整ったこと、変わらないのは介護は家族、それももっぱら女性が担うこと。

竹内結子の長女一家はアメリカのカリフォルニアにいて、蒼井優の次女は実家の近くにいて何かあると駆けつける。
子供の頃の成績は次女の方が良かったようだが、自分で選んだのと思うようにならないのと両方
なのかいわゆる正規の就職はしないで不安定な働き方をしている。
ある意味もっとも中途半端な位置に置かれているといえる。

山崎努が自分の家にいるにも関わらず、しきりと「家に帰る」と言い張る。実家に帰るときの列車が
画面上で左から右なのが、そこから今の住居に戻るはずの列車も初め左から右に走っている(それから)。具体的な住処としての家であるよりもっと象徴的・抽象的な還るべきところということだろう。

竹内結子が何年もアメリカに住んで英語がさっぱり話せないというのは、大袈裟な気もするがありそうとも思う。
山崎努の元校長先生の部屋が片付き過ぎているのが気になった。実際に本を読むか使うかする人間だったらもう少し出し入れして散らかるのではないか。

結局、人工呼吸器につなげるのを選択したのかどうなのかはっきりしない。あれは同意書に家族がサインする必要があるのだからきっちり描かないのはどうかと思う。

二年ごとに時間がとぶのに震災やオリンピック(2020年のが東京に決まるのが松原智恵子の奥さんが喜ぶのにイラッとした)などが絡むのが、図式的に思えた。
構成的には遊園地で始まったのだから遊園地のシーンでさっと終わっていいと思うのだが、なかなか終わらない。

「長いお別れ」 - 映画.com

「長いお別れ」 - 公式サイト

6月18日のつぶやき

2019年06月19日 | Weblog