近くのレンタルビデオ店が閉店するので、配信にいまのところ乗ってない、秩父困民党の反乱を描いたこの映画を借りた。
いわゆる、というかれっきとした社会派映画なのだが、アクション時代劇の棚に置いてあって、それが相応しくある。
後半の大群衆シーンはいわゆる大作映画のエキストラとはまた違うそれ自体が主役という位置づけで、気合が入っている。
神山征二郎監督はいったん監督になってから夫人が病気になったので長期の安定収入が必要になって「八甲田山」の助監督をつとめたのだが、監督経験があると雪に足跡をついているのを見せないように連隊を動かして位置に入れる、その動かし方がわかったと語っているが、そういう大勢の動かし方の経験が生きたと思える。
神山監督としては「郡上一揆」に続く、日本では珍しい(のか?)正面きった民衆の叛乱を描いた連作となる。
「郡上一揆」は江戸時代の農民が高い教育があり、統制のとれた組織的な戦いをできた集団であることを説得力をもって描けたのが大きな魅力だったわけだが、こちらは時代が下って明治時代になり、政府が富国強兵体制を整備していくのと並行して養蚕である程度豊かになっていた者が価格の暴落で追いつめられる資本主義の整備に伴う皮肉というか当然でもある矛盾が自ずと見えてくる。