西部劇というマチズモの権化みたいな世界を、ホモソーシャルとホモセクシュアルとがごっちゃになっている独特の性的な歪みから描くのが「ピアノ・レッスン」「イン・ザ・カット」のジェーン・カンピオンらしいところ。
女性から見た男の世界、それもカンバーバッチのようなBL的なホームズや同性愛者のアラン・チューリングを演じてきた単純なマッチョから遠い人を髭面にしてやらせるところが面白い。
イエール大学卒という設定で(カンバーバッチ自身、ハーロウ校という超一流校の出身)随所にインテリらしさを匂わす一方で野蛮なところはやたらと野蛮。むしろインテリの方がバンカラなところを振りかざすのは今でも通じる。
先住民の習慣だったタバコのまわしのみをしているシーンからBL的なムードの映像に馬の毛並みの一種セクシュアルな映像につなぐセンス。
白人から見た野蛮な前近代からもっと野蛮な資本主義を一気に貫いて見せるかのよう。