即、午後のロードショー行きという感じの一編。
レニー·ハーリンといったら「ダイ·ハード2」「クリフハンガー」といった大味アクション大作の監督だが、このところテレビで撮ったり中国資本で撮ったりと正直迷走気味で、今回ハデな見せ場といえば砂漠を車とバイクが暴走するシーンくらい。大作感がずいぶん後退した。
ピアース·ブロスナンをリーダーとする強盗団が、アブダビの刑務所の金庫に保管されている金の延べ棒(なんでまたそんなところに)を盗もうとするケイパーものの典型なわけだが、グループのメンバーの性格づけもキャスティングも弱体なのは否めない。
彩り以上にならないのだったら、もちっと普通に美女出せませんかね。
黒人のニック・キャノンや東洋(韓国)系のマイク・アンジェロ、ジェイミー・チャンといった具合に多様性に配慮したキャスティングだけれど、それが特に効いているわけではない。
キャノンの役名がリンゴ・スターからとってリンゴというのもあまりぴりっとしない。
刑務所に金を隠すって、脱出が難しい所だから潜入も難しいという理屈なのか知らないが意味がよくわからない。
監視カメラをごまかすのに映像を録画してループさせるというのはいい加減使い古されている手だし、囚人看守構わず毒を盛って大勢がゲーゲーいう中に潜入脱出するというのも絵面が汚くていけない。
ブロスナンは製作総指揮を兼ねているけれど主役なのか脇なのか微妙、ティム·ロスはお小遣い稼ぎみたい。