prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「対峙」

2023年02月19日 | 映画
犯罪被害者と加害者を一対一で対峙させる試みのテレビ番組の抜粋は前にCBSドキュメントで見た覚えがある。
これは学校内の銃乱射事件の被害者の生徒の両親と、乱射の後自殺した生徒の両親の二対二の対峙のドラマにアレンジしてある。(それにしても今年に入ってアメリカでは四人以上の死者が出た乱射事件が72件発生しているって、銃規制が一向に進まないのを含めてただごとではない)

こういう試みと言うのがどの程度アメリカに特有なものかはわからないが、膨大な量のセリフあるいはコトバを重ねて逆説的になるが言葉にならない苦悩と怒りを表象する。こういう習慣というか劇作というのは、どうも日本には馴染みがない。
これだけ言葉にできるだけの訓練と習慣、気力と誠実さがあるだろうか省みたくなる。

原題はMass(ミサ)で、舞台を教会に設定してあることからも、部屋の中に飾られている十字架が自然に目に入ることからも宗教的モチーフはあるのだろうが、さほど目立たない。

それにしてもおよそ馴染みのない出演者たちによる目覚ましい演技、セリフ術はどうだろう。