母親と密通した叔父に殺された父親の敵討ちという、「ハムレット」の元ネタのをアレンジしたらしいが(だから主人公の名前もアムレートと似たものになっている)、
12世紀に歴史家サクソ・グラマティクスによってまとめられた『デンマーク人の事績』(『デーン人の事績』とも)に収録されている、王子アムレートの伝説より。
父王は大鴉の姿になって出没するのだが、冒頭から鴉は飛び回っている。
大鴉といえばエドガー・アラン・ポーの詩だが、擬人化されているところは一緒。
フィルムを採用し終始曇天を狙った映像、武器を打ち鳴らす音に打楽器を交えた音響効果、は本当に壮大。
「ハムレット」と大きく違うのはニコール・キッドマンの母親の猛烈なキャラクターで、魔女かとも思わせる迫力。
心臓を抉り出す残酷表現から人体の中の臓器、さらには胎児からその成長した姿までが樹木になる果実のように配置される図の発想の凄さ。