それにきても、張藝謀という人もまあ色々なジャンルに手を出す監督です。
今回はスパイもの、というかエスピオナージもので、このジャンルの通例としてかなり敵味方やストーリーは追いづらい。
満州国が舞台というから当然日本の関東軍が仇役になるのかと思ったら、大きな設定としてはそうだが顔のあるキャラクターはさっぱり出てこない。なぜなのかは不明。
前に南京事件を扱った「金陵十三釵」The Flowers Of War を撮っているのだから、日本を扱うのにやぶさかではないはずだが。
こうもさまざまなジャンルに手を出してテクニック的にも使い分けているのは器用だからには違いないが、何かあちこちに牌を置いているみたいなせきたてられるような感じもする。
雪の舞う街のヴィジュアルは白と黒の二色に塗り分けられていてイーモウらしく視覚的なコンセプトがはっきりしている。
その分、作り物っぽい感じにはなった。
上映中の映画がチャップリンの「黄金狂時代」というのは出来すぎている感じ。