prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「太陽の街 サンシャイン ステイト」

2004年10月10日 | 映画
開発話が持ち上がった田舎町の人々の群像を描く、「希望の街」につながるスタイルのジョン・セイルズ脚本監督作品。人物が多い割に単調でラストのひねりもピンと来ない。
(☆☆☆)

何がなんでも

2004年10月10日 | Weblog
近所のダイエー系のスーパーで「パ・リーグ優勝チームが決定した翌日セール」という広告をうっている。ダイエー優勝の翌日と言いたいところだが、西武に王手をかけられたものだから弱気になっているみたい。どっちにしてもセールはやるということだから、そっちの方がむしろいいけれど。


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ビューティ・パーラー(3)

2004年10月09日 | ビューティ・パーラー(シナリオ)
○ 店
笈出が秋月を、畠山が小牧をそれぞれ担当している。
いつしか互いに競争心が生まれてきて、作業に熱が入ってくる。
やがて、かなり形が整ってくる。
小牧「(隣を一瞥し)お弟子さん、腕を上げたわね」
畠山「(むっとする)」
小牧「(秋月にあえて余裕を見せて)お似合いよ」
秋月「どうも。
(笈出に)でも、もう少し似せられないかしら」
笈出「うーん、しかしお客さまなりのセンスというものを大切になさった方が」
秋月「(断固とした調子で)いいえ、あたしのセンスなんてどうでもいいんです。
とにかく卯川つばさになりたいんだから」
笈出「(困る)うーん」
秋月「元が違うから無理ですか。身の程を知れとおっしゃるんですか(厳しい突っ込み)」
笈出「いえ、そんなこと」
秋月「でしたら、唇、もう少し大きく見せられませんか」
笈出「そんなに卯川つばさは大きくありませんよ」
秋月「いいえ、大きいですよ」
と、グラビアを示す。
笈出「写真と実物は違って見えるから。
私は実物をお世話してますから」
秋月「そうですか?」
笈出「任せて下さい」
畠山「(横から口を出す)もう少し赤かったと思うよ」
笈出「えーっ?」
小牧「(これまた口を出す)あたしはそれでいいと思うけど」
笈出「ちょっと待って下さい」
混乱して一歩引く。
笈出「失礼」
と、更衣室に引っ込む。

○ 更衣室
ロッカーを開ける笈出。
中で暑苦しそうにしている卯川。
卯川「(声に出さないで)何・し・て・る・の・よっ」
文句を言う。
しーっ、と静かにするよう指示してか、しげしげとその眉を確認してから、またばたんと扉を閉めて踵を返す。

○ 店
笈出「(戻ってきて)失礼しました。お直しいたします」
と、修正を開始する。
笈出「(やがて)…いかがでしょう」
と、見せる。
秋月「(しげしげと見て)いいですね…でも」
笈出「(身構える)」
畠山、聞こえないふりをして黙々と作業している。
秋月「眉はもっと細かったでしょう」
笈出「…(じっと考え)ちょっと失礼」
と、また更衣室に引っ込む。

○ 更衣室
また実物の卯川を参照しようとするが、かなり汗をかいてそれを拭いているのでどんな風になっているのか確認しにくい。
笈出「(小声で)いつも眉このくらいの細さですか」
卯川「(困って)そんなこと、いきなり聞かれても…」
笈出「覚えてないんですか」
卯川「鏡も見ないでわかりませんよっ」
笈出、手鏡を持ってくる。
卯川「(不機嫌になってくる)そんなのじゃ」
笈出「(困る)」
卯川「いつまでここに押し込めておくんですか」
笈出「あと少しだけ」
卯川「少しっていつまで…あ」
と、笈出の後ろを注視する。
カーテンが閉まる音がするので、振り向く笈出。
畠山が立っている。
畠山「(小声で)なんでこんなところに」
卯川「事情は後で。とにかくかくまって」
畠山「(笈出に)どういうことなんだ」
笈出「(やむをえず)マスコミに追われてるんですよ」
畠山「いつものことじゃないか。待てよ。スキャンダルか。まさか、おまえ、変なちょっかい出してるんじゃなかろうな」
と、じろりと笈出を見る。
笈出「冗談じゃありません。そんな、お客さまはお客さまで」
卯川「店に誰かいるの?」
畠山「お客さまが、二人」
笈出「お二人とも、あなたみたいにしてくれって」
畠山「(笈出に)それで見本を見に来てたのか?」
卯川「見本って…(当惑する)」
畠山「あ、失礼しました」
笈出「(びくっと裏口をうかがう)…誰かいる」
ぴたりと口を閉ざす卯川。
畠山、ロッカーの扉を閉めて卯川を隠す。
笈出、さりげなく裏口に近づいて、いきなり開ける。
外で犬山が聞き耳を立てている。
笈出「何してるんだっ」
犬山「いえ…(にっこり笑って)ちょっと盗み聞き」
笈出「開き直るなよ」
犬山「(背後の畠山に手を振って)やあ、いらっしゃったんですか。さっきは留守だとうかがいましたが」
畠山「(撫然として)ドタキャンだよ。この業界じゃよくあることだ」
犬山「どっちの業界です。マスコミですか、美容師ですか」
畠山「違いなんてあるのか」
犬山「(いきなり)あっ、卯川つばさ」
畠山、笈出、どきっとする。
犬山「卯川さん、失礼しますっ」
と、その隙を突いてどかどかと上がりこんでくる。
畠山、思わずロッカーを身体でかばうようにする。
笈出もロッカーの方に注意が行く。
犬山「お話を聞かせて下さいっ」
ところが、そういいながら向かったのは、店の方。
不意を突かれた格好で、侵入を許してしまう。

「ビューティ・パーラー」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11



「至福のとき」

2004年10月09日 | 映画
18歳にしては栄養が悪いせいかひどく手足の細い少女が、目が見えないものだから人目を気にせず下着姿でうろうろしているあたり、チャン・イーモウ監督らしいエロさ。
こういう盲目の少女と善意の人たちのドラマというのは、感覚が小賢しくなった先進国(?)では作れないだろう。
(☆☆☆★)


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台風

2004年10月09日 | Weblog
台風が首都圏直撃。とても外を出歩ける状態ではない。あらかじめ食料の類を買い込んでおいて一日中家から出ないでビデオを見て過ごす。

それにしても、今日は「デビルマン」(!)ほか各種の映画の初日だが、これではまるで出足は期待できない。


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ビューティ・パーラー(4)

2004年10月08日 | ビューティ・パーラー(シナリオ)
○ 店
に入ってくる犬山。
卯川に似せた二人が並んでいるので世にも怪訝な顔をしてじいっと見る。
それでも足りずに、雑誌の表紙と比べて見る。
笈出、続いて入ってくる。
笈出「誰が卯川つばさだって?」
犬山「違う…ようですね」
笈出「ようじゃない、実際違うんだ」
犬山「失礼しました」
と、裏口に戻ろうとする。
畠山「(更衣室から出てきて立ち塞がり)戻らなくていい。表から出ていくといい」
笈出「ご苦労さま」
と、二人して追い出す。
興味津々とした感じでこの騒動を眺めている小牧、秋月。
畠山「(振り向いて)すみません、ばたばたして」
小牧「今の人、見たことある。テレビによく出てるでしょ」
畠山「出てるんじゃなくて、芸能人の回りにまとわりついて、ついでに写ってるだけです」
笈出が、カーテンから覗いていると、犬山は道を隔てた物陰に隠れて見張るのをやめない。
笈出「しつこいな」
秋月「(声をかける)ちょっと」
畠山「すみません、ちょっと待って下さい」
秋月「そうじゃなくて、ちょっと」
畠山「(少し面倒くさそうに振り返って)なんでしょう」
秋月「奥で変な音がしますよ」
笈出、畠山、顔を見合わせる。
慌てて店の客たちのそばを横切り、控え室に飛び込む。

○ 更衣室
鮫島がロッカーを端から開け放ち、覗いてまわっている。
笈出「(飛び込んで来て)何してるっ」
鮫島「すぐ終わりますから」
笈出「警察を呼ぶぞ。いくらなんでもやりすぎだ」
鮫島が卯川の隠れているロッカーの取っ手に手をかける。
笈出「(声を励まし)今、すぐ、そこから離れろ」
鮫島、手をかけたポーズで動かなくなる。
扉が少し飛び出ていて、鍵がかかっていないのは一目瞭然だ。
笈出「(畠山を呼ぶ)来て下さいっ、泥棒ですっ」
畠山「(おっとり刀で現われ)何してるっ、俺の店から出て行けっ」
にらみ合う鮫島と、畠山・笈出。
その時、店から暢気な女の声がする。
「ねえ、まだー?」
畠山「すみません」
笈出「すぐすみます」
鮫島「…じゃあ、すぐすませましょう」
えいと扉を開ける。
と、中には誰もいない。
驚いたのは、鮫島よりむしろ笈出と畠山の方だ。
鮫島、焦って他のロッカーもチェックする。
笈出と畠山、どうなっているのかわからず黙って見ている。
鮫島、引っ込みがつかなくなり、かけてある服の陰なども調べる。
しまいには、机の引き出しまで開けて見る。
鮫島「(それ以上調べる場所がなくなり)…失礼しました」
畠山「(せいぜい動揺を隠して)さっさと出ていけ」
そそくさと裏口から出ていく鮫島。
笈出、急いで鍵をかけ、振り向き、畠山と顔を合わせる。
畠山「…どこに行ったんだ?」
笈出、鮫島がもう調べたロッカーをまた開けて見る。
もちろん、中には誰もいない。
畠山「(笈出を詰問するように)どうやって消したんだ」
笈出「知りませんよ。私は手品師じゃありません」
あたりをチェックする笈出。
笈出「あれ?」
メイクを落とすのに使った脱脂綿が散らばっている。
再びロッカーの中を見て、携帯用メイクセットとさっき卯川に渡した手鏡を見つけて引っ張り出す。
畠山「(セットを見て)こんなもの、あったか?」
また、店から甘えたような声。
「ねえーっ」
畠山「注文の多いお客さまだ」
二人、店に出ていく。

○ 店
出てきた二人、怪訝な顔。
よく見ると、店の客が二人から三人に増えている。
端から見ていく笈出。
秋月と、小牧と… 小牧が呼んだのかと思うと、目をつぶって半分寝ているみたいだ。
澄ました顔で座っているのは、卯川だ。
汗でメイクがはがれたところに、素早く新しく別人のようなメイクを施し、そのままそ知らぬ顔で店に客のような顔で出てきたのだ。
唖然としている笈出、畠山。
畠山「何をなさってるんですか、卯川…」
笈出「(それにかぶせて)卯川つばさが三人いますねっ」
畠山「?…(怪訝な顔)」
卯川「(にっこり笑って)よく似てるって言われます」
小牧「(対抗意識をくすぐられて目をさまし)…そうですか?」
卯川「目元なんて、そっくりだって」
小牧「お宅さまの方が、もっと柔らかいというか、トロンとしていると思いますけれど」
卯川「あら、お宅さまの方こそよく似ていらっしゃるわ」
小牧「まあ、似てるからいいというものでもないのですけれど」
卯川「そうですね。人それぞれですから」
と、自分が表紙になった雑誌を開く。
秋月、不思議そうにちらちらと卯川をうかがっている。
笈出、さりげなく、しかし急いでタオルを卯川の顔にかける。
畠山、じいっとその様子を見ている。
笈出、卯川のメイクを落とし、さらにパックして誰だかわからないようにする。
秋月「(その様子を見ていて、おもむろに)すみません、あたしもあの方と同じパックをして下さい」
笈出「(どきっとしたのを隠して)初めからやり直しですか」
秋月「お手数ですが」
畠山「(笈出に代わって)承知したしました」
小牧「だったら、あたしも」
畠山「同じようにですか」
小牧「ええ」
畠山と笈出、手分けして三人の女にパックを始める。
ところが秋月はスカーフを外そうとしない。
畠山「失礼します」
と、やりにくいので外そうとするが、拒絶される。
やむなく、無理してスカーフを避けてパックする。

○ 鏡の中
グラビアに載っているような卯川の姿が三つ…では足りず、鏡という鏡にさまざまなポーズをとった卯川の姿が写って絢爛と連なっている。

○ 店
やがて、パックの効果待ちになり、とりあえず笈出と畠山の手が空く。
畠山、さりげなく音楽のヴォリュームを上げて笈出を更衣室に連れていく。

○ 更衣室
畠山「(おもむろに)まだ話してなかったが、今度支店を出すことにした」
笈出「それは…おめでとうございます」
畠山「おめでとうじゃないよ、おまえを支店長にするつもりなんだ」
笈出「(驚く)えっ」
畠山「引き受けてくれるか」
笈出「それは…(答に困る)」
畠山「迷うことないだろう」
と、金色のハサミをちらつかせる。
笈出「…」
畠山「(態度が硬化する)そうかい、ところで卯川さんがここにいるのは、どういうわけだ」
笈出「これは口止めされているのですが…」
畠山「口止めって、俺に言えないってことはないだろうっ、俺のお得意様だぞ」
笈出「(素早く用件だけ話す)事務所から独立する予定なので、あまり外には漏らしたくないとおっしやるので」
畠山「(ちょっと撫然とする)そう…それは聞いてなかった」
笈出「(わずかに優越感を見せる)」
畠山「それで、どうなんだ。支店長になるのか、ならないのか」
笈出「(腹を決める)申し訳ありませんが」
畠山「…卯川さんを引き抜くつもりか」
笈出「そんなつもりはありません。ただお客さまによかれと思ってかくまっただけです」
畠山「それだったら、なんで俺にも秘密にする。俺の留守中に来るように仕組んだんじゃないか?」
笈出「そんな工作ができるくらいだったら、改めて引き抜き工作なんてする必要ないでしょ」
畠山「そうか。根回しはなしか」
笈出「ありませんっ」
畠山「だったら…俺と腕比べして決めるか」
笈出「腕…比べ?」
畠山「どっちが卯川さんを守れるか」
笈出「(受けて立つ)…それと、どっちの仕事を気に入っていただけるか」
畠山「俺の相手になるつもりか」
笈出「いつまでも助手じゃありません」
畠山「なあ、独立したいという気持ちはわかる。いずれは独立するものだと思ってた。俺もそうしてきたんだから。だけど、たま たま売り出せたとして、実力がなかったらぽしゃるだけだ。美容師としてやっていくには美容師としての技術があればいいってもんじゃない。金勘定も、人の使い方も知らなくちゃいけない。いったん支店を仕切ってみて、それからでも遅くはないと思うよ」
笈出「(ちょっとぐらっとくる)いいえ、申し訳ありませんが」
畠山「どうしてもか」
笈出「はい」
畠山「おまえを育てるのには随分手をかかったと思うが(少し気色ばむ)」
笈出「すみません」
畠山「それで看板を外して持っていくような真似をするのか」
笈出「しかし、この店を支えるのにこちらも随分尽くしたつもりです」
畠山「(怒りを抑えて)今ここで喧嘩している余裕はないな」
笈出「…はい」
畠山「よし、行こう」
と、率先して店に出ていく。
追う笈出。

「ビューティ・パーラー」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11



「トゥー・ブラザーズ」

2004年10月08日 | 映画
エンド・タイトルの後、日本語で虎は飼われていても危険な動物だから、可愛いと安易に接するなという意味の注意書きが出る。前に大阪在住の男が午前10時ごろ上野動物園のトラにちょっかい出して片腕を食いちぎられたという、ちょっと変な事件があったことを覚えている。

映画ではトラを虐待する男の腕が食いちぎられそうになるが、ちぎれるところまでは描かない。その虐待の描写も、もちろんあまり具体的には描いていない。あまりドキュメンタリー風ではなく、同じ監督の「仔熊物語」同様、あらかじめコンテを組んで(ロビーに画コンテが展示されていた)完全に動物を振り付けたお芝居として作られている。

ものすごい手間暇かけて作られているのだろうが、見ている方には負担がかからずさらっと見てしまう。トラの芝居がほとんど全てで、ストーリーはほとんど最低限のポイントを押さえている程度。思いきりがいい。トラの恐さがあまり出ていないとか物足りなさはあるにせよ、あれこれ描き込んで面白くなるものでもないだろう。

それにしても、この監督は人間も含めて交尾の場面を悪びれずに撮りますね。
(☆☆☆)


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ビューティ・パーラー(5)

2004年10月07日 | ビューティ・パーラー(シナリオ)
○ 店
携帯が鳴る。
誰のか、と思うと卯川のだった。
卯川「(パックしたまま出て)もしもし…あ、社長」
笈出、ぴくっとする。
卯川「いえ、今は困ります。…どこにいらっしゃるんですか…え? なんですって? 困ります。それは早い方がいいですけど」
と、笈出を目で誘う。
笈出「ちょっと失礼します」
と、卯川の顔の前に耳を寄せる。
他の者もさりげなく聞き耳を立てているが、音楽が邪魔で聞こえない。
卯川「(ひそひそ声で)入れてくれって」
笈出「え?」
卯川「裏口に来てる。マスコミに見つかるといけない、早く入れて」
笈出「(小牧に)すみません、ちょっと」
と、言い捨てて更衣室に向かう。

○ 更衣室
裏口の鍵を急いで開ける。
卯川の事務所の社長の和田がするりと入ってくる。
サングラスをかけ、人相をわからなくしている。
和田「(声を潜めて)失礼、彼女いますね」
笈出「見られてませんか」
和田「事務所の人間まで変装しなきゃいけないとはね」
笈出「マスコミ、まだいますか」
和田、小型ビデオカメラを出して見せてから、床にたたきつけて踏みにじる。
和田「こんなものが物陰に仕掛けてあった。今のところは人はついていないみたい」
笈出「なんで社長は彼女の居場所がわかったんですか」
和田、いきなりモバイルのパソコンを出してがっと開いて見せる。
町内の地図のど真ん中に、光点が点滅している。
笈出「(それを見てぼそっと)…これ、うちだ」
和田「持たせてある携帯で場所をこれで検索したんです」
笈出、ずっこけそうになる。
和田、パソコンをしまう。
笈出「場所を知られているって、彼女は知ってるんですか」
和田「普段は知らせてませんよ。そうでないと、警戒されていざという時に役にたたない」
サングラスをかけっぱなしなのでひどく怪しく見える。
和田「(いやに気張って)今が、そのいざという時だ」
と、店に出そうになる。
笈出「(それを押しとどめ)ちょっと待ってください。今、他の客がいるので」
和田「休業日じゃないの?」
笈出「卯川さんをかくまったら、他の客にも押し掛けられちゃって」
和田「だったら、ばれてるんじゃないの?」
笈出「それが、不思議なことにばれてないみたいです」
和田「ほんとに?」
笈出「本当です」
和田「ふむ…意外と、役者だからな、あいつ」
笈出「意外と、ですか」
和田「?…何か」
笈出「人だますの、うまいですよ」

○ 店
和田と笈出がさりげなく入ってくる。
和田「(畠山に)やあ」
畠山「お久しぶりです」
そして、和田はするすると畠山が世話している秋月に寄る。
和田「探したぞ」
パックしていた卯川、和田が秋月を自分と間違えたのでびっくりする。
畠山「(あわてて)違います」
和田「何が違うんだ?」
卯川「…信じられない」
和田、きょとんとしている。
笈出「違いますって」
和田「何が?」
笈出「だから、だますのうまいって言ったでしょ」
卯川、自分でパックを急いで拭き取る。
卯川「社長っ」
和田「(やっと気づいて)あっ」
卯川「あ、じゃないわよ」
憤慨している。
卯川「気がつかないんですか、短いつきあいじゃないのに」
笈出「(小声で)騒ぐと、まずいですよ」
卯川「ちょっとひどくない?」
和田「悪い、悪い」
畠山「お静かに。そんなに興奮することないでしょう。自分で正体を隠したのに」
小牧、この騒ぎを妙な顔をして見ている。
卯川「自分で隠れるのはいいけど、無視されると腹が立つのっ」
笈出「そんなもんですか?」
小牧「(気づく)あ」
笈出、どきっとする。
小牧「(ぴたっと卯川を指さし)アッ、アッ、アッ、アーッ」
大声で叫び、けたけたけたと笑い出す。
あまりの態度に毒気を抜かれる一同。
小牧「(叫ぶ)やっぱり、本物じゃない!」
秋月「(仰天する)えーっ!」
卯川「(あわてて)違いますっ」
小牧「おかしいと思ったんだっ。いやあ、光栄です、卯川つばさと一緒に美容院で席を並べられるなんて」
笈出、頭を抱える。
畠山、撫然とする。
小牧「サイン下さいっ」
秋月、椅子に座ったままぶるぶる震えだす。
畠山「?」
突然、秋月がわっと泣き出す。
畠山「どうなさいました」
秋月「憧れの人に、こんなすぐそばにいながら気がつかないなんてっ」
大泣きに泣き出し、大粒の涙が顔を伝う。
畠山「ちょっと、メイクが落ちます」
秋月「かまうもんですかっ。この馬鹿この馬鹿」
秋月が自分をぶちだす。
それを止める畠山。
そしてあわてて涙を脱脂綿に染み込ませてメイクが崩れないように食い止める。
小牧「(ひとごとのように)おかしなことになってきたわねえ」
和田「なんの騒ぎだ、一体」
卯川「(和田を詰問するように)余計なことをして。
おかげでばれちゃったじゃないですか」
和田「ばれたって、おまえがふらふら逃げ回るから、こっちも少し強引にでも探さないといけなくなったんだろうっ」
卯川「ふらふらって言い方はないでしょう」
和田「独立したいなら、したいって、ちゃんと俺に言うのが筋だろう。それを隠れてこそこそ工作するから、話がこじれたんだ」
卯川「こじれたって、まだろくに話しあってもいないのに」
和田「話し合おうとしないからこじれたんだ」
小牧「(口をはさむ)卯川さん、独立するんですか」
卯川「そのつもりだったけど、もう無理だと思います」
笈出「あきらめが早すぎるんじゃありませんか」
卯川「表に出ればつぶれます。こういう話は」
笈出「それじゃ困ります。初めから表立って独立を宣言できないというのでは」
畠山「(やや皮肉気に)似た立場同志で団結か」
笈出「(言い返す)そうかもしれない」
小牧「(早合点する)あ、だから、芸能記者がうろうろしてたんだ」
笈出「何が、ですか」
小牧「なるほど、そういうこと(一人合点)」
卯川「(その口調にカチンときて)そういうことって、どういうことですか」
小牧「なんか、いやに気張ってかばおうとしてたから、どうしてかと思ったら」
和田「なんだ?」
小牧「いけませんよ、社長さん。看板タレントのロマンスは把握してないと」
和田「ロマンス?」
じろっと笈出と卯川の間に視線を往復させる。
笈出「(うんざりしたように)何を言ってるんだか」
畠山「なんだ、おまえ。できてたのか」
笈出「(むきになって)冗談じゃない」
畠山「そういうことか(一人、納得する)」
和田「そういうことなのか?」
卯川と笈出、げんなりした様子。
卯川「冗談じゃありませんよ」
畠山「だったら、なんで私が留守の時に来たんです」
卯川「狙ったわけじゃありません」
小牧「手に手をとって駆け落ち、と」
卯川「(むきになって)あなたは口を出さないでっ」
笈出、この騒ぎにだんだん疲れてくる。
言い争う、あるいは勝手に発言する一同の姿からすうっと音が消え、べちゃべちゃ混乱している形だけが残るのをぼんやりと眺める。
…その中で、ふっと卯川を本気の目を見つめる笈出。

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「ヴァン・ヘルシング」

2004年10月07日 | 映画
ヒロインのケイト・ベッキンセールの身体を締め付ける衣装や脚を広げてる踏ん張るようにしているポーズがセクシー。ただし顔は顰めっぱなしで、単調。
ヘルシングの失われた過去がどんなものなのか明かされそうで明かされないところや、ヒロインの消え方など、いかにも続編狙い。アン王女が次に出ても出なくてもいいようになっている。

フランケンシュタインの怪物が雷にうたれる場面、よく考えてみるとドラキュラの“子供”を孵化させるのは電気をかければいいだけのことで、別に怪物にわざわざ電気を使う意味ない。お馴染みの場面を再現してみましたというだけ。まあ、まじめにあら探ししだしたらきりがないのだが。
とにかく超特大のジャンクフード・セットみたいな、質より量映画。

写真はロビーにあったガーフィールドのぬいぐるみ。
(☆☆★★★)


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ビューティ・パーラー(6)

2004年10月06日 | ビューティ・パーラー(シナリオ)
○ 鏡の中
きれいにヘアメイクを済ませた卯川の前掛けを外す笈出。
解放されて晴れやかに立ち上がる卯川。
服装まで舞台衣装ばりの華やかなものになっている。
それを傍らでしけた顔で見ている笈出。

○ 店
頭を振って妄想を振り払う卯川。
前掛けを取って解放されたのは、小牧の方だ。
席を離れる小牧。
ふと気づくと、畠山が怒りに満ちて笈出を睨んでいる。
周囲の人間もどこか引いた雰囲気だ。
何か畠山が怒鳴ったらしい。
笈出「…え、今なんて言ったんですか」
畠山「聞いてなかったのかっ、だったらもう一度言う。良く聞けよ。クビだっ」
笈出「クビ?」
畠山「そう、クビだっ」
笈出「クビ?…クビね。(開き直る)いいでしょう。むしろそうしてくれた方が踏ん切りがつく」
卯川「それは、ひどいんじゃないですか」
笈出「いや、いいんです。どうせ出ていくつもりだったから」
じっと卯川を見る。
笈出「あなたもここで踏ん切りをつけた方がいいんじゃないですか」
卯川「え?」
笈出「思いきってここで独立を宣言するんです」
畠山「無責任に煽るなよ。おまえとは立場が違うんだ。ごたごたを起こしたら、プロデューサーもスポンサーも離れる。まして前の事務所の社長が使うなと言えばますます客は離れる」
和田「(煽られたようにうなずき)そう、そうだ。簡単にはいそうですか、これからは一人で頑張っていらっしゃいとは言えない」
笈出「そんなの気にすることない。客はマスコミですか。一般のファンですか。あなたを支えているのは、ここにいるような(と、秋月と小牧を示して)くれるファンたちなんですよ」
卯川、ファンたちを見やる。
笈出「こういう見返りなしに純粋にひいきにしてくれているファンに支えられているんです」
卯川、変な顔をする。
小牧がいない。
卯川「あれ、あのお客さんどこに行ったんです」
笈出、探して更衣室を覗く。

○ 更衣室
小牧が携帯でメールを送っている。
笈出「(思わず叫ぶ)何してるんですかっ」
小牧「これだけ面白い話、一人で聞いているのはもったいない」
和田、小牧、畠山も覗いてくる。
笈出「誰に知らせたんです」
小牧「友だち」
笈出「なんという」
笈出「“友だち”って名乗ってる人で、本名は知らない」
和田「冗談じゃない」
小牧「大丈夫ですよ。他にはもらすなってメール打っておいたから」
和田「それって、他に知らせろっていうのと同じなんだけどな」
卯川「(ぼそっと)ファンはありがたいわ」
笈出、店に出ていく。

○ 店
笈出、表のカーテンを細目に開けて見る。
笈出「すごい、もう来た」
和田、飛んできて見る。

○ 店の向かいの物陰
携帯をのぞき込んでいる鮫島の姿が見える。

○ 店
和田「あの様子だと、戻ってきて、ずっと張り込んでるんだろう。
今のネタを知ったら、有無を言わさず突入してくるさ」
笈出「それも、時間の問題だ」

○ 物陰
携帯のメールを見ている鮫島。
はっとした様子。
飛び出してくる鮫島と犬山。
それを遮るように他のマスコミの車が乗り付けてくる。
ぞろぞろと飛び出てくる記者やカメラマンたち。
負けじと店に駆けつける鮫島・犬山。

○ 店
あわてて戸を押さえようとする笈出・畠山・和田。
しかし殺到するマスコミの勢いには勝てず、軽々と戸が押しあけられ、たちまち店の中はマイクとカメラを振りかざす連中でごった返す。
もみくちゃになる卯川。
笈出はなんとかしようとするが、どうにもならない。
   ×     ×
…という場面は、鏡の中の出来事だった。
悪夢から醒めて、冷や汗を拭う笈出。
卯川「ここから脱出できない?」

○ 更衣室
外を窺っている畠山。
畠山「こっちも張り込まれてる」

○ 裏口から少し離れた物陰
犬山が見張っている。

○ 店
秋月「(突然、ドスを効かせて)マスコミ気取りだな」
と、小牧の胸倉をつかむ。
秋月「おまえなど、ファンじゃない」
突然、地の“男らしさ”をむき出しにする秋月。
小牧、あまりの豹変ぶりに度肝を抜かれてしまう。
秋月「人は秘密だと言われたらもらしたくなるんだ。知らないわけじゃないだろう」
小牧「(へどもどして)いや…その…」
秋月「無責任に人を食い物にして喜んでやがる。おまえみたいな人間がいるから世の中が悪くなるんだ」
畠山「落ちついて」
笈出「暴力はいけない」
畠山と笈出、間に入って二人を分ける。
秋月「(肩で息をしながら)あたしが、これがファンだという見本を見せてやるっ」
一同、不思議そうな顔をする。
秋月「いけない、興奮するとメイクが崩れちゃう」
と、また席につく。
秋月「(笈出に)さ、メイク直して」
笈出「え?」
秋月「あたしがおとりになって、マスコミを引きつける。その間に卯川さんを脱出させて」
小牧「そんな」
畠山「無茶ですよ」
和田「いや、いけるかもしれない」
卯川「さっき、あなたさえ(イヤミ)間違えたもの、ね」
和田「(言い返す)そういうおまえはどうするんだ。ここで独立だなんだってごねて時間を無駄にしてマスコミの餌食になるか、とりあえず脱出して後で話し合うか」
卯川「後でって、いつもそうやって話を先伸ばししてきたじゃない」
和田「そうか、餌食になりたいんだな」
卯川「(やむなく)…わかった。出てく」
和田「よし、(笈出に)礼は後でする。急いでくれ」
畠山「俺に頼まないのか」
笈出「やりたい?」
秋月、思い詰めたように恐い顔をして鏡を睨んでいる。
畠山「…いや」
笈出、秋月のメイクを整えだす。
卯川「(秋月に)ありがとう。なんてお礼を言ったらいいか」
と、頭を下げる。
秋月「そんな…お礼だなんて」
と、すぐ感極まって思わずどっとまた泣き出す。
しゅうっ、という感じで涙が両目から噴き出した。
笈出「(あわてて)ちょっと、メイクが崩れますっ」
卯川「そうだ、あたしも変装しよう。
その方がいい」
畠山「イメージ・チェンジしますか」
卯川「(ちょっと浮き浮きしてきて)時間ないから、大ざっぱでいい」
メイクが始まる。
手持ち無沙汰になる和田。
ふと気づくと、また小牧がいない。
和田、急いで更衣室に飛び込む。

○ 更衣室
小牧、戸棚を開けてまわっている。
和田「(小牧に半ば怒鳴る)何してるんですかっ」
小牧「衣装を選んでるのよ。
変装には服装も大事でしょ」
と、悪びれない。
和田「あなた一体、なに考えてるんですかっ」
小牧「どうやったら、次面白くなるか、考えてるの」
和田、目をむく。

「ビューティ・パーラー」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11



「インファナル・アフェア 無間序曲」

2004年10月06日 | 映画
前作より時間が遡るので二人の主人公がぶつかり合って火花を散らすところがない。となると、アンダーカバーがらみのかなり辛気くさい話が平行して進むのを見せられることになってすっきりせず、役者も弱い。三作目の予告がエンドタイトルの後に出るが、こっちは前作のキャストにプラスがあるよう。
(☆☆★★★)


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こんな夢をみた

2004年10月06日 | Weblog
暗い窓の外に物干が見え、虎がうずくまっている。
夜が明けてくると、物干に人影が寝ている布団が敷いてあって、その中に虎がのそのそ入っていく。
と、ぱっと窓が開くといつのまにか物干は室内になっており、虎はぬいぐるみで、ごろごろっと中から小さな子供が転がり出て来て、じゃれてはしゃぐ。
部屋の奥の戸が開いて、その子の親が出て来て隣に引っ越して来た挨拶を述べる。

…このところ、深夜「24」を寝ぼけながら見ているうちに合間に見た夢。


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ビューティ・パーラー(7)

2004年10月05日 | ビューティ・パーラー(シナリオ)
○ 裏口・物陰
見張っている犬山。
細目にドアが開く。
はっと物陰に身を隠す犬山、ボタン一つで携帯で合図を送る。

○ 表
鮫島「(携帯に出る)出てきたか?」
   ×     ×
以下、カットバック。
犬山「ああ…いや、待て」
卯川に変装した秋月がドアの隙間に姿を見せる。
犬山「あれ、か?」
と、カメラをすでに向けている。
鮫島「予備のカメラは、あるな」
犬山「素人扱いするな。
そっちはどうだ」
鮫島「動きはない…」
間。
鮫島「一人占めするなよ」
犬山「そっちこそ」
鮫島「卯川、か?」
犬山「そうだ…いや、どうだろう」
間。
どっちが特ダネ、なのか。
卯川、しなを作って見せる。
犬山「(乗せられて興奮気味に、誇らしげに)いただき、みたいだな」
鮫島「…(焦る)」

○ 裏
女(?)…秋月が中に向かって合図する。
合図に応じて現われたのは、笈出。
犬山、カメラのフレームにツーショットを収めて、シャッターを切る。
ほとんど音はしない。
   ×     ×
鮫島「(耳を澄ます)来たか?」
犬山「来たが…誰だかはっきりしない」

○ 表・物陰
鮫島、浮き足立って、裏に回ろうと腰を上げかける。
しかし、まだ未練がましく見張るのはやめない。

○ 店の中
和田、カーテン越しに表の鮫島の様子を窺っている。
和田「早く行けっ」
傍らでは、卯川がスタンバイしている。

○ 更衣室・裏口
秋月「(いらだち、一人ごちる)まだどかない?」
ほとんど卯川と見分けつかないくらい変装しているが、声で秋月とわかる。
それを聞いた小牧、店に顔を出す。

○ 店
小牧「(勝手に伝言を中継する)まだどかない?」
和田「まだだ」

○ 裏口
秋月のいらだちが募る。
秋月「えーい。
こうなったら」
いきなり、笈出に抱きついてキスする。
秋月に抱きつかれて、目を白黒させる笈出。
   ×     ×
犬山「(それを見て、思わず)おっ」
と、立て続けにシャッターを切る。
遠目には、ラブシーンに見える。

○ 表・物陰
鮫島「(携帯に耳を押しつける)一人占めするなっ」
と、やっと腰を浮かせ、裏に回りそうになる。

○ 店・中
和田「(それを確認して)行った!」
間髪を入れずに、外に出て行く卯川。

○ 裏口
我慢する笈出。
やっと秋月を引き離し、平静を装って、 笈出「成功か?」
と、そっと小牧に聞く。

○ 店
小牧「(また顔を出して中継)成功?」
和田「成功…」
と、言いかけた時、卯川が戻ってくる。
和田「どうしたんだっ」
卯川、外を示す。

○ 表の道路
別のマスコミの車が乗り付けられる。

○ 更衣室
和田「(入ってきて)駄目だ、別口が来た」
笈出「ちっ」
小牧「せっかく我慢したのにね」
笈出、あきらめて引っ込む。
しかし、秋月はまだ引っ込もうとしない。
笈出「どうした」
秋月「まだあたしを卯川つばさと思っているかもしれない。
そのつもりで、今の写真が雑誌に載ったらどうする?」
笈出「間違えりゃあ、しないよ」
   ×     ×
犬山「(意気揚々と)やった!」
と、カメラを目から外す。
しかし、まだ戸口の秋月からは目を離さないでいる。
   ×     ×
すると、秋月はおもむろに服を脱ぎ出す。
人に見られているのを十分承知の上で、わざとらしくスター然と振る舞う。
びっくりする犬山。
秋月、わざとらしく、暑そうに半裸になってばたばた扇ぐ。
もちろん、見えているのは男の身体だ。
犬山、びっくりしてカメラを覗いて確認する。
秋月の、これ以上なく人の目を意識した動き…それが、突然ふっと白けたように醒めて気が抜けかける。
が、また気を取り直してストリップ(?)を続ける。
出番を終えて、わざとらしく悠々と引っ込んでドアを閉める秋月。
犬山「くそっ、ふざけやがって!」

○ 表・物陰
鮫島「(携帯に向かって楽しそうに大笑いする)…そうか、そりゃいいもの撮ったな! 御苦労さま」
と、言いながら見張り続けている。
他に、同業者の馬場、鮎川が後ろに詰めている。

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「華氏911」

2004年10月05日 | 映画
ブッシュがビンラディン一族やサウジアラビアとつるんでいるという説はこれまでも聞いていたが、それを画にして見せると逆にビンラディン一族やサウジ全般がブッシュみたいなワルモノとグルになっている印象にもなる。ビンラディンの兄弟は54人もいるし、サウジにいたのはオサマだけで、あとはさまざまな国に分布しているのが一くくりになっている感じ。
期せずしてたとえばアラブ系の人間はみんなテロリストのように捕らえる目とそっくりになってしまっているのだ。

…の一族、とか、…と学校で同窓、とか、…の会社の役員というつなぎ方は、何やらユダヤ陰謀本の類でよく使われる論理(?)。そういうつなぎ方をしたら何だってつながる。金持ち同志は金儲けのためにはつるみやすいものだ、という以上の証拠はない。他につるんでいる相手がいないわけでもあるまいに。

またビンラディン一族が9.11以後アメリカを出発できたのはおかしいというが、そこに写る新聞の日付けは2003年のもの。2年も足留めしていたら、そっちの方が問題。
あるいは推測の内容そのものは正しいのかもしれないが、こういう方法では逆効果だ。
いくら作者が一面的な切り取り方をしても、被写体はそれ自体別の面を持っているので、どんどん作者の意図を裏切ってくる。

後半、やっと兵士やその家族のインタビューをじっくり見せるあたりで落ち着いてくるが、しかしテレビでも見られる以上の突っ込みはない。

NHKテレビで手嶋龍一がレポーターを勤めた、キューバでアメリカ軍が使っているグアンタナモ基地での魔女狩りじみたイラク人尋問のルポの方がはるかにアメリカの無法を印象づけていた。口を割らないとイスラムの戒律で禁じられている食事をとらせて、話すと緩めるという調子なのだ。
(☆☆★)


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