prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「浪花の恋の物語」

2004年11月23日 | 映画
原作は近松門左衛門の「冥土の飛脚」で、さらにこの元になった事件を片岡千恵蔵扮する近松が目撃して劇化する経過がはさまっている。
有名な封印切りの正念場からあと、すんなり心中できるのではなく男は獄門、女はまた廓に戻されるという苛烈な展開になるのはリアルで、これに劇化された時の人形振りから本物の人形浄瑠璃のイメージがはさまる。様式的な表現を入れた分、逆にリアリズムを追求できた観。

ぶ厚い画面の連続。それだけにプリントが褪色しているのは残念。
封印切りの場面での中村錦之助の泣き笑いのような芝居の見事さ。千秋実の無責任な遊び人ぶりもおかしい。
(☆☆☆★★★)


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肩凝り

2004年11月23日 | Weblog
やたらと肩が凝り、メンフラを十枚以上あっちこっちに貼る。ごわごわして気持ち悪いが仕方ない。パソコンに向かいっぱなしだから肩が凝るというわけでもなく、何をどうしたらこうなるのか、不明。
電動肩揉み機や風呂など色々やってみるが、貼り薬が一番てっとり早いみたい。

「透光の樹」

2004年11月22日 | 映画
今は恋愛もので障害をおよそ作りにくいのだが、ここではまず時間の隔たりが設定され、さらに金を貸し借りするという形で初めに観念的な垣根を作ってしまい、それを口実にしてからあとは肉体の方が追い抜いて勝手に燃え上がる観。秋吉久美子、永島敏行ともに肉体美があるので、かなり観念的なところがある内容に文字通り肉付けしている。
セックス描写がリアル。ふっと根岸吉太郎に「ノルウェイの森」を撮らせたらどうだろうと思った。

石川ロケのしっとりした風景が効果的。釣りに行ったら元亭主とばったりなんて世間の狭さがよく出ている。
「アラン」がどうのジョイスの「ユリシーズ」がどうのと、永島社長の会社のスタッフは結構教養主義的な傾きがある。
赤坂のシーンでちらっと取り壊し前の旧TBSの建物が写る。
(☆☆☆★★)


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様さま

2004年11月22日 | Weblog
市川雷蔵の特集上映が銀座で始まる。昔、ヨン様ならぬ雷さまと呼ばれてましたね。ジェラール・フィリップもフィリップさまと呼ばれてたし、ああいう優男が“様”づけで呼ばれる伝統ってあるのか。

「Mr インクレディブル」のメイキングをちょっと見る。CGキャラクターの服を本物の服同様に型紙を作ってから縫製したりとか、骨格や筋肉や脂肪(笑)の層をいちいち別に作って組み合わせたりとか、徹底してる。

私がシナリオを書いた「あなたの隣の恐い話」のビデオが送られて来たので見る。細かいところで直したくなるところがあるが、よくある心霊実話ものとは少し違うテイストは出たみたい。それがウケるかどうかはわからないが。

「暴れん坊街道」

2004年11月21日 | 映画
およそ内容とはかけ離れたお話。
不義を働いてできた子供を里子に出して主君の娘の乳母になった山田五十鈴が成長したわが子と再会するが、馬子になっていた子供は下賜品の宝刀を恩ある娘を助けようと盗み出し、不義の相手の実の父親佐田啓二が刀を取り戻して罰せられそうな子供を助ける代わりに自分が腹を切る。

原作は浄瑠璃で、まあ陰惨な話。馬方から買い取られた刀を取り返そうとした実父が馬方を殺してしまうあたりの長い移動撮影を生かした演出は迫力あるが、本来だったらそこからもっと凄絶な盛り上がりを見せそうなのになぜか駆け足気味に済ませてしまい、かえって陰惨な印象を残した。
子供の芝居が混ざると時代劇の様式を踏まえた上でのリアリズムを通すのが難しいからみたい。

監督・内田吐夢、脚本・依田義賢。
(☆☆☆)


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「自分の穴のなかで」

2004年11月20日 | 映画
三國連太郎の享楽的なエゴイストぶりは調子いいが、他のキャラクターの自分勝手ぶりは石川達三原作らしく(?)中途半端で、狙いを絞り切れず冗長。

写真は会場のフィルムセンターの入場風景。
(☆☆☆)


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「たそがれ酒場」

2004年11月20日 | 映画
東京フィルメックスの「内田吐夢映画真剣勝負」より。

題名こそ“たそがれ”だが、常時数十人の客が入っていて、全員が芝居しているのをパンフォーカスで撮っているのだから画面のヴォリュームは大変なもの。音楽を演奏する場を高くして、客が出入りするのを下からにするといった具合に立体的に作られたセット。
リメークの「いつかA列車に乗って」は演奏されるのはもっぱらジャズだったが、ここでは「さくらさくら」から軍歌から韓国の歌から「カルメン」の「闘牛士の歌」とすこぶるヴァラエティに富んでそれぞれが時代性を示している。
ドラマ上の理由付けを意外なくらいやっておらず、お話がとんとん進んですとんと落ちて終わりとムダがない。
(☆☆☆★★)


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こんな夢をみた

2004年11月20日 | Weblog
エレベーターに入るとなぜかボタンが全部取れていて上にも下にも行けない。
しょうがないので女子高生の集団とすれちがってエレベーターから出て行き、ビルの外に出るとなぜかほとんどズボンが裏返しになっているので脱いで着替えようとするが、いっこうに脱げないで片足でぴょんぴょん跳んでいる。

こっちは現実の話。
掃除しようとして掃除機を出してソケットを入れ、さていくらスイッチを入れても動かない。おかしいなと思ってよく見たら、近くの簡易電動あんま機のソケットだった。

「トーク・トゥ・ハー」

2004年11月20日 | 映画
アリシアが懐妊するのが処女懐胎と見える。映画なのだから、それくらいの奇跡が起こっていいだろう。
ベニグノが相手の無力につけこんでどうこうしたとはどう見ても見えない描き方。わざわざ童貞だと断っているのだし。出来事をオフで描いているというのではなく、描いていないことは存在しないと思わせる。
(☆☆☆★★)


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「光の雨」

2004年11月20日 | 映画
劇中劇の形式をとることで、見ていて連合赤軍事件のわからなさを強く感じたり、オウムなどと並べてわかったつもりになったりと気持ちが揺れ動くのが自分でおもしろかった。あと、あれだけ陰惨な事件を直接描かれたらたまらないだろう。
ただ「革命をしたかった」、社会を良くしたかった純粋な気持ちというのが実はピンとこない。
時代の違いというだけでなしに、純粋だからよしという考えがこっちにはないからだ。
(☆☆☆★)


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写真美術館

2004年11月19日 | Weblog
恵比寿の東京都写真美術館のマリオ・テスティーノ写真展「ポートレート」に行く。
有名人のポートレイトばかりだからか、誰のものなのか一切会場にはキャプションなし。だが結構誰だかわからないことが多い。

携帯の充電がうまくいかないので充電器をショップに持ち込んだらちゃんと使える。単に接触が悪かっただけらしい。アホか。

久しぶりに「週間金曜日」をぱらぱら見ていたら読者欄で、山田洋次と井上ひさしが文化功労者に選ばれたことに関して、二人とも文部科学省の方針を批判しているのだから辞退すべきだと主張しているのがいた。相変わらずプチ本多勝一の巣窟みたい。

解禁

2004年11月19日 | Weblog
このブログを始めて初めて批判的なコメントが16日の「笑の大学」に寄せられる。
これだけワルクチばっかり並べているのだから今までなかったのが不思議みたいなものだが。
御覧のようによっぽどのことがない限り削除したりしませんので、批判があったら無視するよりコメントをどうぞ。

ボジョレー・ヌーヴォー解禁。あっちこっちで勧める勧める。いいんですかね。


「コラテラル」

2004年11月18日 | 映画
夜景と音楽と傍役の顔が魅力的。
クライマックスは「ヒート」同様、西部劇以来の1対1の決闘になる。
しかし、それにしてもやたら混んだクラブでの撃ち合いにしても、呼吸が少しずれていたり、位置関係がなんだかわからなかったりで、ちょっとづつ不満が残る。
クルーズの殺し屋はなんかスキがないか? 劇中で運転手が「なぜ俺を殺さない」と言うけれど、本当になんででしょう。自分から自分が殺したと名乗ったら証人はすぐ消さないと。どこかで情が移ったのか?
潜入捜査官の末路がいやにあっけない。
(☆☆☆)


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お麩

2004年11月18日 | Weblog
京都土産のお麩を入れたうどん、おでんを食べる。思っていたものと違い、乾いたものではなくずいぶん粘り気が強い。香りがよく、三色ある。

また近くのビルにへばりついて塀で強引に囲われた柿の木に誰も食べない柿がなる。カラスもそんなに寄って来ていない。

「ゴジラ対ヘドラ」

2004年11月18日 | 映画
♪チクロ水銀カドミウム♪
公害の恐さとも今どきのホラー物の恐さとも違う、妙に歪んだ演出。
ヘドラがだんだん成長するのではなくて、小→大→中と変な順番だったり、科学者がずうっと顔に包帯を巻いたままだったり、全体に子供の夢の中のようなニュアンスがあったり。
アングラとサイケとヘドロと、70年初頭アイテムがもろに見られる映画なんて貴重だろう。
この監督はこれ一本。ゴジラものの異色作を通り越して、映画的にも怪作。
(☆☆☆★)


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