prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「夢のチョコレート工場」

2024年01月16日 | 映画
ジョニー・デップ=ティム・バートンによるリメイクや先日公開された前日談映画と比べて人工的なルックではなく、かなりフィルムのざらっとした質感が出ている。

ウンパルンパ(ウーパールーパーに似ているが、関係あるのか?)が大勢出てくるのだが、合成で増やしているのではない。というか、この時代は合成技術自体あまり発達しておらず、姿かたちが似た小さな人間を大勢出したらしい。

脚本は原作者のロアルド・ダール自身だが、クレジットされていないデヴィッド・セルツァー(「オーメン」)の手がかなり加わっているとのこと。




「サンクスギビング」

2024年01月15日 | 映画
サンクスギビング(感謝祭)といっても、クリスマスやハロウィンに比べると日本ではなじみがない。七面鳥を食べるといっても、大きすぎて持て余すだろう。
クリスマスならサンタクロース、ハロウィンならブギーマンみたいな有名なキャラクターがいるが、感謝祭のジョン・カーヴァーとは清教徒を乗せたイフラワー号の航海中の指導者で、プリマス植民地の初代総督でもあると言われてもピンと来ない。
16世紀から17世紀にかけて実在した人物で、メイフラワー号というあまりにアメリカ的な史実であることが足をひっぱっている。

とはいえ、ホラーとなるとすべては単なる残虐な見せ場のための口実になるのだが、犯人は誰かといったミステリ的な趣向も加えて飽きさせないのは定石。

主演のネル・ヴェルラックという女優さん、ずいぶん背が高いなと思ったら1m82cm。

母親役のジーナ・ガーションって、クリントン元大統領の元愛人のひとりでしたね、確か





「PERFECT DAYS」

2024年01月14日 | 映画
朝早くに目を覚ました役所広司が古い木造家屋の二階の部屋から階段を降りてきて玄関から出ると、そのままドアに鍵をかけないで近くの自動車の鍵を開けて乗り込むのにあれ?と思った。
玄関に鍵をかけなかったように見えたけれど見間違いかなと思っていたら、玄関のドアにはこの後も鍵がかけられることはない。仕事用の鍵がものすごく多いのが対照的。
盗むようなものなどないこと、それ以前に所有欲がない、少なくともモノにたいする執着がないことを表わしているといっていいだろう。
(と、思ったのだがプッシュしてから閉めると自動的に鍵がかかる仕掛けらしい。ホテルみたいで、見かけによらない)

公衆のトイレを掃除する仕事、というのを聞いて、どうかすると実際にトイレを素手で地位のある人が掃除する、あるいは子供にさせて精神的な修行・鍛錬にするといったそういう文字通りクサい話なのかと思ったし、製作面でそういった人脈が関わってもいるらしい。
渋谷区が建築としての公衆トイレを「売り」にしているのも、へえとは思う。
作中たびたび出てくるトイレのひとつが元宮下公園のMIYASHITA PARKの並びにある。
(実はMIYASHITA PARKから見下ろすと新宿の思い出横丁―ションベン横丁といった方がピンと来るが―みたいな二階建ての飲み屋が並んでいる。写真参照↓)

ボロい鳥居のある境内で田中泯のホームレスのブルーシートの「家」と警戒している割に立ち去ろうとはしない

魅力は主に半ば過去を描いたディテールで、部屋の棚に並べてあるのが本かと思ったらそれもあるけれどカセットテープだったり、文庫本、それもフォークナーの「野生の棕櫚」とか 幸田文の「木」とかハイスミスの「11の物語」といった有名な作者の割にマイナーな作品が並ぶ。
カセットテープはその後CDに取って代わられるが、今ではCDはすっかり駆逐されてアナログのLPの方がデカいせいもあってか人気らしい。

役所の部屋には明らかにテレビもビデオもない。二つ折りの携帯は持っているがスマートフォンは持っていない。

スマホの代わりにフィルムカメラを持ってわざわざフィルムを現像所に出している。浮世離れしているというか、ありえないというか、ここに描かれている街は東京らしいが「惑星ソラリス」の東京が未来都市に見立てられたように、過去にベクトルを向いた都市に見立てられているのかもしれない。

あたかも「こんにちは母さん」で山田洋次が隅田川近辺とスカイツリーを描いたような二律背反的なまなざしを感じる。

銭湯に浸かったあと浅草駅の地下鉄につながる汚い(しかし外国人受けしそうな)地下街でサワーを呑んでテレビの野球中継を見る。
そこの酔っぱらいたちとの距離感が絶妙。

前半では役所広司はほとんどセリフがなく、無駄なく的確な動作は「ベルリン天使の詩」の天使みたいな透明さに達している。

高速道路を走るカットがたびたび出るのが、ヴェンダースのロードムービー。を思い出させる。





MIYASHITA PARKの上階から二階建ての飲み屋街を見下ろした眺め。



「土を喰らう十二ヵ月」

2024年01月13日 | 映画
都会から地方に移動するオープニングにかかるジャズが洒落ていて、出てくる食事が食材からして自分で採ってくるのが今になると凄い贅沢。
贅沢すぎるくらい。

室内シーンが思い切って画面を暗くして、それでいて鮮明に撮れている。
沢田研二が老けてなお艶っぽい。エンドタイトルの歌がまた艶っぽい。

水上勉の原作は「美味しんぼ」で名前を知ったのだけれど、雁屋哲の臭みはここではついていない。




「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」

2024年01月12日 | 映画
シリーズもので時間的に遡った作りというのは今や珍しくないが、もともとシンボリックなキャラクターとして出てくるウォンカをはっきり主役に据えたのは思い切りがいい。

ティム・バートン版のリメイクは今にして思うとかなりビサールなケレン味の強いアレンジだったけれど(ジーン・ワイルダー主演版はそうでもない)、今回はおとぎ話か童話っぽいテイストに寄せている。チョコレートを食べるとふわふわ宙に浮くなどファンタスティックな情景。

主役のティモシー⋅シャラメは少女マンガから抜け出てきたみたいとかなり言われたものだけれど、人食い役の「ボーンズ アンド オール 」ですらロマンチックな持ち味を保っていたのを生かして、優男でも腐らずへこたれない。

ヒュー・グラントがこれまでのウンパルンパ役とは違ってキャラクターを単一にして立てている。
草刈正雄ではないが、若い時の二枚目が歳をくってから三の線に寄せて大成功したいい例だろう。





「シャクラ」

2024年01月11日 | 映画
映画の途中から新しい登場人物が出てきたりするもので、これはシリーズものの再編集版か、それに類するものかと思ったら、果せるかなぴしっと終わらない。
韓国映画の「The Witch 魔女」とかアメリカ映画の「テリファー」の劇場公開版がストーリーでいうと始まりではなくドラマ版の続きにあたるようなものだろう。

これだけ登場人物や部族や国の名前で、ひどく難しいなじみのない漢字が頻出するのも珍しい。振り仮名ふってありますからね。
基本アクション映画なのだからもうちょっとシンプルなのかと思った。

中盤、ドニー・イェンが敵が集結している真っ只中に乗り込んでいって、敵対者たちと酒を酌み交わして縁を絶つという矛盾した儀式を行った後このまま命を落として終わるのかと半ば本気で思った。
後で思うと、ここからペースが乱れる。

いろいろ不満を述べているけど、壮大な風景に建てられたオープンセットや、何よりアクションの振り付けの数々の魅力はもちろん絶大。





「ダークグラス」

2024年01月10日 | 映画
盲人が盲導犬に引かれて殺人鬼に狙われる姿は「サスペリア」そのまんま。あれほどいい意味でのハッタリも効いていない。

殺人鬼の姿を見せないでおくのかと思うと中途半端に顔を見せ、実は顔はもう見せていたのでしたとネタバレ?するあたりは「サスペリアPART2」なのかなあ。

ダリオ・アルジェント10年ぶりの新作といってもかなり前に全盛期は過ぎている印象。





「アリスの恋」

2024年01月09日 | 映画
この映画の日本公開時のポスター↑では、監督マーチン・スコルセーゼと表記されていた。それが「タクシードライバー」の時はマーティン・スコシージになり、今のスコセッシ表記に落ち着いた。

オープニングの人工的な大セットと赤い照明は「風と共に去りぬ」ばりで、スコセッシのシネフィルぶりを見せる。

歌手として売り込もうとするアリスがものすごくダサいグリーンのワンピースといういでたちなのがかなり可笑しい。
アリスがジャムがついたナイフを拭いた布でそのままテーブルを拭くのはずいぶんと無神経で、アメリカ人らしいというか。

だいぶ前にテレビで見たときはクリス・クリストファーソンとの関係がハッピーエンドに見えたけれど、今見るとちょっと引っかかる。またアリスの連れ子に手を上げるのではないかと思ってしまう。
ハーヴェイ・カイテルのウブな若者と暴力男との二重人格みたいなコワさ(今見るとこっちの方がスコセッシ節なのだが)が目に残っていたせいかもしれない。

小さなレストラン(というよりダイナー)の中の客とウェイトレスとの芝居の密度がすごく濃い。
アリスのウェイトレス仲間がおそろしく手際が悪くて三人の客の注文がどれがどれだかわからなくなって、客の方もまたかという悪慣れした対応している。

ジョディ・フォスター(若っ)が出てきた時は男の子みたいで、出番の最後ではロングスカートをはいているあたりの変化のつけ方が芸が細かい。




「ロアン・リンユィ 阮玲玉」

2024年01月06日 | 映画
実在のロアンが25歳という若さで亡くなっているので、それをだいぶ過ぎた主演のマギー・チャンが振り返る形で半ば自分を通したイメージで捉えている感じ。

白黒サイレント映画の中の姿として交錯しながら現れるのが若くして亡くなった人の伝記映画というスタイル自体凝っている割に明快で、全体に良い意味で回顧的。




「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」

2024年01月05日 | 映画
今さらだけれど、時代設定が漠然と現代ではなく、おそらくスパイが跳梁していた冷戦期のイメージで、敵の母船がギガントみたい。

こういうとダサいが、これも「血がつながっていない」家族の話なのね。アーニャが一応両親のことを「チチ」「ハハ」と呼ぶのが可笑しい。




「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」

2024年01月02日 | 映画
幽霊が祟る時に相手に幻覚を見せて(東海道四谷怪談とか)その相手が殺してはいけない人を殺させるという手を使ったりするが、それに近いことを幽霊の存在を前提にしないで、使っている。

イヤだなあ。





2023年12月に読んだ本

2024年01月01日 | 
読んだ本の数:23
読んだページ数:5291
ナイス数:0




読了日:12月04日 著者:春日 太一




読了日:12月07日 著者:井上 純一




読了日:12月07日 著者:井上 純一




読了日:12月07日 著者:適菜 収




読了日:12月08日 著者:唐沢 なをき




読了日:12月09日 著者:佐藤 泰志




読了日:12月10日 著者:橋本 ナオキ




読了日:12月11日 著者:椛島 健治




読了日:12月14日 著者:周司 あきら,高井 ゆと里




読了日:12月15日 著者:杉浦 日向子




読了日:12月15日 著者:杉浦 日向子




読了日:12月17日 著者:河合 隼雄,松岡 和子




読了日:12月21日 著者:荒川 弘




読了日:12月21日 著者:ちばてつや




読了日:12月21日 著者:ちばてつや




読了日:12月21日 著者:ちばてつや




読了日:12月22日 著者:ナンシー・フレイザー




読了日:12月24日 著者:中沢 啓治




読了日:12月24日 著者:國友 公司




読了日:12月24日 著者:橋本 ナオキ




読了日:12月28日 著者:前川 裕




読了日:12月31日 著者:ダリオ・アルジェント