チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

セージの花

2020年05月18日 | クロスステッチ

大雨、20度、96%

 ハーブのセージは強い植物だそうです。ハーブは元来雑草、セージは暑さ寒さにも強く虫も付かないと聞きました。葉を潰すとあの匂いです。虫も寄り付かないはずです。繁殖力も旺盛らしく我が家のハーブの一角には植えずに鉢植えにしています。頻繁に料理に使うわけではありませんが、ローストチキンの詰め物をする時など内臓の臭みを消すにはなくてはならないセージです。

 3年前に鉢植えにして、そのままほっておいたセージに蕾がついたのは2週間ほど前でした。昨年はこの蕾開かないまま落ちてしまいました。どんな色だろうと花が開くのを待つことにしました。その時、「そうだ、セージの花を刺そう。」と思い付きました。確かゲルダベングトソンの図案を持っているはずです。

 帰国後初めて針を持ってどんと椅子に座ります。久し振りに見る麻布の目は思った以上に見え辛く、針を持つ指は庭仕事でこわばっています。この2つを乗り切るまでに数日かかりました。途中、読みたい本も出てきて中断。その間にセージの花が開きました。ブルーがかかった紫です。 セージは種類も多く、花色も違います。

ハーブの花はどれも控えめなものばかり大きさもさほど大きくはありません。花開いたセージに「もうすぐ刺し終えるからね。」と話します。

 昨日、花の色を入れて刺し上げました。細長く、スモーキーな葉っぱの色がよく出ています。額入れは予定しているあと3つを刺し上げてするつもりです。福岡にもいい額縁屋さんがあると教えていただきました。

 香港時代は刺繍をする度に大きなモモさんが膝の上で寝ていました。懐かしい重みと匂いです。ココさんも刺繍の間中、私の足元にいます。 家にいてもじっと座ることの少ない私が長時間座り続けているのを喜んでいるようです。

 次のための布張りも花糸選びも終わりました。今日から新しい花を刺し始めます。

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私の花の先生はクロスステッチです。

2020年05月16日 | クロスステッチ

大雨、20度、94%

 麻の布に艶のない「花糸」と呼ばれる木綿の刺繍糸のクロスステッチを始めて40年以上になりました。このクロスステッチはデンマークが起こりです。40年のうち一番多く刺して来たのは花の図案、しかも1995年に亡くなった「ゲルダベングトソン」という人の図案ばかりです。

 昨日、庭の「ジキタリス」のことを書きました。このクロスステッチをする古くからの友人から「ゲルダさんの図案にもジキタリスがあるね。」とメッセージが来ました。ジキタリスの額は家の壁にかかっています。 

 40年前の日本、まだ生のハーブなど売っている店はありませんでした。この刺繍の図案で初めて知るハーブの花や姿もたくさんありました。 「タイム」です。ひと針ひと針刺しながら、「タイム」ってこんな可愛い花を咲かせるのだと胸を躍らせました。香港時代も「タイム」の苗を幾度かプランターに植えましたが、あの高温多湿で花を咲かせるまでにはなりませんでした。私の庭造りの一番の目的はハーブの一角を作ることでした。今ではビワの木の下にたくさんのハーブが真冬でも緑をたたえています。もうしばらくすると蔓延った「タイム」も花を付けます。

 帰国して3年、やっとこの1週間ほど針を持つようになりました。細かい麻の目を取っていくこの刺繍は若い時のように手が進みません。ゲルダさんの花の図案の多くに見られる特徴があります。植物によっては「根」や「球根」まで描かれていることです。他の国の花の刺繍の図案には見られないことです。 「球根」が描かれていた「ホロールート」。 「根」が描かれている「ポピー」。 「瑠璃草」。

今のようにネットで調べればすぐに写真が出てくる時代ではありませんでした。花を刺しながら花を覚えていきました。そしてその花やハーブを自分の手で育てたいといつも思っていました。

 この「根」や「球根」をなぜゲルダさんが図案に入れたのか、いつも不思議に思っていました。庭仕事をする人なら、「球根」や「根」も含めて植物と付き合います。そして、土の下の「球根」や「根」もまた美しいことを知っています。このクロスステッチはデンマークの国の輸出の大きな部分を占めていることを知りました。そしてデンマークの輸出品の中で大きな稼ぎを得ているのは「ロイヤルコペンハーゲン」の食器だそうです。

  このコーヒーカップに描かれた花は素朴な小さな花です。裏を返すと  ご覧のようにこの花の「根」が書かれています。「フローラダニカ」と呼ばれるこのシリーズは全て「根」が描かれています。

 ゲルダさんはきっとこの「フローラダニカ」のシリーズを模して「根」や「球根」を描きこむ図案を考えたのではないでしょうか。

 このコーヒーカップで紅茶をいただきながらそんな思いに至りました。あと数日で今回の刺繍を挿し終えることが出来そうです。もちろん花の刺繍です。

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京都みやす針のクロスステッチ針

2020年05月04日 | クロスステッチ

雨、19度、94%

 京都を訪れたのは2年前のことでした。どうしても買って帰りたいものが一つありました。市中三条にある「みやす針」のクロスステッチ針です。いえ、もう一つ「パグのフィギュアの付いた待ち針」。その2つを求めるために新幹線に乗る前に三条に向かいました。

 ここの針を教えてくれたのは京都に住む友人です。京都を訪れたのは長く香港で友達だった「みやす針」を教えてくれた友人のお姉さんの霊前を訪ねるためでした。友人が亡くなった時、私はまだ香港で葬儀にも出ることができませんでした。この訪問は帰国前からの私の心にあった一つでした。

 京風の中庭のある店構え、商店街から入り口を入るとこの中庭の向こうに針を売る店があります。いただくものはすぐに決まりました。現在の店主の方から針のお話をたくさんお聞きしました。急がなくては、新幹線の時間です。ちょうど通り雨が降り出しました。中庭を渡る私に先代の店主が傘を差しかけてくださいました。京都の雨の庭の匂いを胸に吸い込んで、しっかりと針を持ち帰りました。いい思い出です。

 クロスステッチを刺したいと思いながらグズグズ時間が過ぎました。ところが急に思い立つとこれまた長年刺し続けて来たクロスステッチの準備はあっという間です。明るい座敷の縁側のロッキングテェアーに座って、初めて「みやす針」の袋を開けました。

 刺し始めて2日、針の良さをつくづく感じています。日本の大手メーカーの針に始まって、イギリス、デンマーク、インドネシアの針を使ったことがあります。 針のような小さなものですが、手仕事をするときは小さな道具が肝心です。 仕事の早さにも影響が出ます。持ち易さ、布に刺さる時の感触、糸通し、「みやす針」の針は手によく馴染みます。手と針が一つになって仕事が進みます。夕方刺す手を止め、針山に針を戻します。

 一気に四つ挿す予定です。しばらくはこの手にしっくりと収まる「みやす針」の感触を楽しむ日々が続きます。

 

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みこみこさん、刺し始めました。

2019年09月27日 | クロスステッチ

曇、23度、84%

 私がこのブログを始めて今日で3987日目だそうです。つまり10年以上、ほぼ毎日キーを叩いて来たことになります。初めのうちは数人の方しか読んでくださっていませんでした。それが今では毎日500人を越す方が読んでくださっています。コメントをくださった方の中にはわざわざ香港まで私を訪ねてみえた方も数人います。今では親しくお付き合いさせていただいています。

 2日前、初めての方からコメントをいただきました。「クロスステッチ」で検索して私に行き着いたそうです。その方、2015年ごろからの私のブログを読んでくださって、コメントをくださいました。みこみこさんです。

 日本に帰ってきて、まだ一度もクロスステッチの針を持たずにいます。香港の最後の12年、私が刺繍を刺す時はどんな暑い夏であれモモさんが私の膝の上にいました。モモさんの匂いと暖かさといびきと一緒にひと針ひと針チクチク。一番大きな孫娘へのお雛様を刺すときも膝にはモモさんがいました。親しい友人も「真奈さん、なかなか乗り越えられないね。」と言ってくれます。最近、「刺してみようかな?」と図案を広げることがありました。そんな折、みこみこさんからのコメントでした。3年ぶりに、針を持つことにしました。

 図案を決めて、 花糸の入った缶の蓋を取りました。この糸たちを見るだけで胸の奥から高鳴りが聞こえます。優しい色、腰のある木綿の糸です。

 針は昨年京都に行った折求めておいた「みやす針」を下ろします。 今まではずっとイギリスの針でした。 ニードルブックに刺さっているのがイギリスの針、針山に刺さっているのは「みやす針」です。

 布はやはり目が一番綺麗に出る12目、小さいものを選びました。この数年、視力が落ちています。右手の親指と人差し指の力も思うように入りません。今までのような綺麗な仕事が出来るか不安いっぱいです。

 座敷の縁側のロッキングチェアーに座って刺し始めると、ココさんがやって来ました。ココさんは私が刺繍する姿を見るのは初めてです。「しばらく毎日ここに座るわよ、ココさん。」ココさんは私の足元で優しい寝息を立ててくれるはずです。綺麗な仕事をしたいので時間をかけてゆっくり刺しましょう。

 みこみこさん、ありがとう。あなたのコメントに背中をポンと押されました。こうしてこの10年以上、ブログを読んでくださる方の言葉に励まされています。久々のチクチクです。

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刺繍が額に入りました。

2016年11月29日 | クロスステッチ

曇り、18度、66%

 我が家のリビングの壁の一面は、コペンハーゲンの建物の刺繍が6枚かかっていました。その6枚以外に刺したいコペンハーゲンの建物の一つがチボリ公園の入り口の建物でした。その図案を見つけたのが今年の初め、全部で7つでは中途半端なのでもう一つ尖塔のある救世主教会の建物を選びました。救世主教会を刺し終えたのは先週、チボリ公園とともに額装に出そうと思います。家の壁を飾っている6枚の刺繍は、古い物は30年以上経っています。6枚を同じ額に揃えたのももう20年近く前のこと、よしとばかりに新しい2枚ともに全部額を揃えてもらうことにしました。

 昨日、額装ができたと連絡をもらいました。 8枚並べると刺繍のコラージュのようです。 この2枚が30年以上経っています。日本で作った額は白木のスクウェアでした。香港で他の4枚と一緒にやや横長の額に入れました。私の額の好みも年齢とともに変わってきました。なんでもないこのフラットな木の目の額は目障りになりません。肝心のチボリ公園の刺繍だけは一番小さな目の麻布を使いましたので、ひとまわり小ぶりです。 目の細かい麻布を使うと、ひと目ひと目が浮き上がって見えます。額は不揃いにならないように同じ大きさに揃えてあります。建物の図案はアイダウィンクラー、建物を囲む縁飾りがゲルダベングトソンの図案です。

 もう長年の付き合いの額屋さん、古い額のガラスを使って欲しいという私の頼みも聞いてくれます。以前にも書きましたが、この額屋さんは姉妹で額装をしています。この店に決めるまで何軒か額装屋さんを変えましたが、この店の仕事は綺麗です。女性的な細やかさがあります。

 この8枚の額は、私の日本の家への贈り物です。いつか一人でコペンハーゲンのこれらの建物を今一度見に行きたいと思っています。

 

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花糸 (刺繍糸)

2016年11月26日 | クロスステッチ

曇り、20度、83%

 「花糸」と呼ばれる刺繍糸があります。DMCやアンカーの刺繍糸のようにツヤツヤではありません。1本の糸の太さもDMCやアンカーのように細くなく、太めの刺繍糸です。この「花糸」はデンマーク製。フレメと呼ばれるデンマークの手工芸のギルドから出されている刺繍糸です。この「花糸」を初めて手に取ったのは36年ほど前のことでした。DMCの刺繍糸を見慣れた目には、その艶消しの色合いが優しく映ります。木綿の糸の捻が所々に見られる風合いが手に馴染みます。以来この「花糸」と細かい目の麻布で刺繍をしてきました。デンマークのクロスステッチと呼ばれるものです。「花糸」と呼ばれる由来は、デンマークのクロスステッチの第一人者のゲルダベングトソンが花の刺繍で広めたことからだそうです。数たくさんの図案創作者の中でも、ゲルダベングトソンの刺繍は優しさがあります。私が指し続けている花たちはゲルダの花です。

 麻布の持つ風合いと「花糸」の素朴さが決してきらびやかではない刺繍の世界を作ります。一体幾つ刺してきたのか、手元に残したもの、帰国の記念に刺してあげたもの、お誕生日に刺して贈ったもの、数しれません。この「花糸」に恋してしまったから続けてこれた刺繍です。

 「花糸」をしまってある缶の蓋を取ると、色の海が広がっています。しかもまだ枷を切っていない「花糸」の束がたくさんあります。身近にこの刺繍をする人があれば糸を差し上げたいと思っていました。もう私の残された時間で使い切ることのできないほどの「花糸」たちです。キルトを続けている古い友人がいます。彼女が先日、刺繍を刺したいと言っていました。もちろんクロスステッチなど彼女にとってはお手の物です。そこで、よかったら花糸を使って欲しいと申し出ました。気持ちよく即答、「いただきます。」長年の付き合いです。

 この「花糸」、日本で30年以上前は代理店でしか求めることができませんでした。お値段がDMCの5倍近くもしたと記憶しています。今ではネットでデンマークから送ってもらえます。手頃なお値段になりました。ただ、10年ほど前からこの「花糸」を作る会社が変わったのを機に、色が微妙に変わりました。昔のものの方が数段いい色でした。

 数日前、香港で刺す最後の刺繍が完成しました。 糸を整えて缶になおす時、友人に送る「花糸」を選びました。年の瀬も近づいてきました。私の香港生活も終わりが近づいてきています。一つ一つ悔いのないように後片付けをします。

 この刺繍を刺し終えるたび思います。「花糸」も麻布も高価なものです。それを黙って続けさせてくれたのは主人です。若い頃はお金がなかった我が家です。

 「花糸」来週には届きますよ。

 

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チボリ公園 コペンハーゲン

2016年07月12日 | クロスステッチ

小雨、26度、89%

 コペンハーゲンのチボリ公園を初めて訪れたのは、私が14歳の時ですから、1971年(昭和46年)のことです。福岡市で育った私にとって遊園地とは香椎花園ぐらいしかありませんでした。この前年に大阪の万国博覧会があり、遊園地ではないものの大規模な娯楽施設をを見た時は心底驚いたものです。規模の大きさ、夜になっても目映い位の照明、日本中の人が感激したと思います。

 チボリ公園を訪れたのは夜でした。北欧の国は夏の夜が長く、チボリ公園は夏の間しか開園されません。確か6月から9月ぐらいまでが開園期間です。チボリ公園の門の前に立った時もしかしたら口をあんぐりと開けていたかもしれません。暮れ始めた夜空を背景にライトアップが素晴らしく、その向こうに何があるのか胸が高鳴った覚えがあります。

 そのチボリ公園のクロスステッチをさし始めたのは、先月のこと小さな刺繍ですのですぐ終わるかと思えばなかなかじっと座ることが出来ない日が続きました。昨日刺し終えました。私が刺すクロスステッチはデンマークの物です。大好きなゲルダベングドソンのデザインした野の花を始め、アンデルセンの童話、デンマークの有名な建物、その中のひとつがこのチボリ公園です。この建物の図案はアイダウィンカー、周りの縁飾りがゲルダベングトソンのデザインです。小さな麻の目を埋めて行くのは針を持つ者の楽しみ、このデンマークの刺繍を始めて30数年、刺繍糸の艶のない風合いが好きです。麻の布の持つ張り感にコットンの刺繍糸が彩りを添えます。好きですから細々と長いこと続けて来ています。

 もう一度訪れたいデンマークです。主人が「行っておいで。」と言ってくれたのは4年程前のこと。はい、一人で行くつもりですからデンマーク語をかじったり、チボリ公園の開園期間中つまり春から夏の間に行くつもりにしていました。ところが実家の改築を始めました、母が逝きました。義父が逝きました。主人の仕事の関係でヨーロッパに行くことがあっても行って帰って来るだけ、モモさんがいますから余分な時間などありません。私が今座っているデスクの前にはコペンハーゲンの地図が壁にかかっています。45年前私がコペンハーゲンを歩く時手に持っていた地図です。 街の中心部、チボリ公園の所には刺繍で刺した建物が描かれています。TIVOLIの下にボールペンでアンダーラインが引かれています。私が45年前に引いたものでしょう。

 何時になるか、必ずまたコペンハーゲンに行くつもりです。その日を心に描いて、今日からデンマークの建物の8作目を刺し始めます。

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チクチク始めました。

2016年06月15日 | クロスステッチ

 曇り、28度、89%

 久しぶりにチクチクを始めました。昨年はお正月もないくらいの心持ちで、孫のためにお雛様の額を刺しました。大きさといい使った色の数といい、私が刺した物の中でも苦労した物のひとつです。今回は小さな15センチ四方の物を二枚刺します。昨年から心準備していた2つです。

 針を持つのが好きです。縫い物は得意ではありません。それなのに縫い針も刺繍針も編み針も持つと気持ちが落ち着きます。針を持ってウロウロ出来ない、針を持てばじっと座るしかないのも落ち着くひとつの理由です。針仕事をしない時は狭い家の中をクルクル良く動いています。

 手を動かしてひと針ひと針刺すのは一見無心に見えますが、ゆっくりと心の中の物を反芻しながら整理する時間でもあります。ひと針ひと針刺す行動は、攻撃的ではありません。心の中にくすぶっているもの、イライラと小さな火が心の中で付いているものも針を動かすうちに納まります。昔から針仕事をする女性達はこうして心を調えていたのかもしれないと思うのも、自分が針を動かしている時です。

 ゆっくりした時間が流れます。私だけではありません。 針を上下に通すのに膝の上でびくともせずに寝ています。クーラーを付けて心地よいのですが私の膝は汗がじっとり。しびれても動けません。ちょっと立ってお茶でも煎れて戻ると、 私の座る場所まで占領しています。期限なしの刺繍は気が楽です。少し家を空けますが、そう遠くないうちに出来上がりをお見せ出来ると思います。

 

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お節句の額、2つ。

2015年02月05日 | クロスステッチ

曇り、13度、65%

 ひと月以上もかけてチクチクしたお節句の額装が出来上がってきました。我が家の初孫は、ひな祭りの半月前に生まれた女の子です。半月でお節句といってもね、とお嫁さんのご実家とも話し、初節句は一年延ばすことにしました。

 私が刺し続けているクロスステッチは、デンマークのものです。細かい目の麻布に、花糸と呼ばれる艶のないコットンの刺繍糸を使って刺していきます。この刺繍は、ゲルダベングトソンという女性が、素晴らしい野の花を刺したことで世界中に広まったといわれていますが、昔からしっかりしたギルド制の中、デンマークの長い冬を過ごす人の手仕事だったと思います。身につける物、持ち物に花柄を持たない私は、せっせとこのゲルダベングトソンの花を刺しては家に飾っています。根っこや球根までデザインされたその図柄は、花を愛した人にしか描けないものに思います。ロイヤルコペンハーゲンの最高のシリーズ、ボタニカ、あの食器の絵柄の通じる花たちです。このゲルダベングトソン、花ばかりかデンマークの地図やアンデルセンの物語を題材に取った図案も作っています。

 さて、初節句にとデンマークにおひな様の図案を頼んだのは昨年の4月でした。そして、半年かけて刺し上げようと、最初のひと針を落としたのは昨年の9月。そのまま放ってあった刺繍をこれは間に合わないと火が付いた様に刺し始めたのは、年末の少し前のことでした。一月半、来る日も来る日もチクチク。

 この図案も色選びも全て、デンマーク人のアイダウィンクラーに依るものです。アイダウィンクラーは、ゲルダベングトソンとともにデンマークのクロスステッチの世界では有名な人で、デンマークの町中の風景をゲルダとともにデザインしたものもあります。

 ひと針ひと針進めて行くうちに、全体像が見えてきます。その頃から、毎日不思議に思うことがありました。デンマーク人のアイダさん、この雛人形の飾りをどのくらい見たのでしょうか。何回、何時間。日本人と変わらぬ感覚で選ばれたこの緋毛氈の色、水浅葱の色。例えば、緋毛氈は、86番の花糸で刺していますが、88番の花糸でもよさそうなところを86番を選んでいる、その目の利き方に驚きました。要するに、日本の色調を日本人でない人が、ここまで再現していることへの驚きです。

  こちらは、20年近く前に自分のために刺した、立ち雛。このデザインは、当時日本で唯一この刺繍を扱っていたところのものです。つまり日本人のデザイン。着物の量感は立ち雛の方がありますが、色調の素晴らしさは今回のものが遥かに上だと思います。

 初節句のお祝いです。私がいつも作る額装とは全く違う色合いを選びました。赤のマットは緋毛氈の色に合わせました。この赤のすぐ下に3ミリ程金のマットが入っています。そして、額は少し掠れたシルバ−です。

 想像以上の出来映えです。そして、思ったより大きな物になりました。ハンドキャリーで運びます。

 

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チクチク 始めました

2014年09月13日 | クロスステッチ

雨、27度、95%

 私のブログのタイトルは、チクチクテクテクです。テクテクは、毎日、否が応でもモモさんと朝夕出かけます。実際にはテクテクではなく、チンタラチンタラとみえるそうです。モモさんの行くままにチンタラチンタラ。

 ところが、チクチクは年に1度か2度しかしません。主人のズボンの当てをチクチク、裾上げをチクチクではなく、クロスステッチです。クロスステッチ用の大きな枡の刺繍布に刺すものなら、こんなに長く興味を持っていられなかったかもしれません。私が刺すのは小さな目の麻布です。この穴9点で、ひとつの枡と想定しながら刺していきます。このデンマークのクロスステッチが日本に紹介されて以来始めましたので、かれこれ30数年。刺した数は家にあるもの以外にも、人に差し上げたものもあり、さて、どれくらいでしょうか。

 麻布を木枠に張ります。 今回はかなり大きな作品ですので、横40センチはある四角い木枠を使います。上下を横棒に仮縫いして、クルクルと回してスライドさせながら使います。この木枠、なかなか見つからないそうです。どこのものかは知りませんが、香港に来て間もなく、イギリス人のおばさんが一人でひっそりとやっていた手芸店で買い求めました。香港島南のスタンレーの村はずれ、なんであんな場所でお店をしていたのか、不思議です。珍しい刺繍の図案も沢山ありました。ところが土地開発にかかったそのお店、次の月で閉めるとおっしゃいます。慌てた私は、四角い木枠大小2つに、沢山の図案を買い込みました。木枠ばかりは出何処が明らかではありません。木枠にピンと麻を張ると、気持ちが緊張します。この瞬間が大好きです。

 糸は、デンマークのギルドから出ている花糸を使います。 花糸、自然素材の染料で染めているかと思っていたら、このデンマークのクロスステッチを世界に広めた、ゲルダベングトソンが花の刺繍で有名なので、花糸と呼ばれるようになったそうです。数年前から花糸を作る会社が変わりました。糸は染めるお釜が変わると、色が微妙に違います。ロットの違いと言いますが、以前の会社の色よりやや鮮やかな糸に変わって来ました。この缶に入っているのは全て古い糸です。

 私はほとんど、ゲルダベングトソンの図案を使いますが、今回は別の人の図案です。何を刺すかは、内緒。これを刺し終えるのにどれくらいかかるでしょうか?この刺繍と辞書を見る時だけは、眼鏡が必要になって来ました。刺繍をずっと続けたい、本をずっと読んでいたい一心で、目を大事にして来たつもりですが、やはりいいお歳ですから、眼鏡のお世話になります。この作品、期日があります。皆さんにお見せするのは、ずーっと先になりそうです。

 針を持つと、気持ちが納まります。音楽もかけません。ビデオも見ません。ただ、私が座り込むと、モモさんがこれ幸いと、膝の間で昼寝を始めます。聞こえるのは時計の音とモモさんの寝息だけです。さあ、夕方のテクテクに出かけようと立ち上がるとき、いけません、10キロ近くのモモさんのおかげでしびれが切れています。

 じっとして、手を使う仕事は根を必要とします。時々、この根が底をつきそうになりますが、ひと針ひと針に気持ちを込めて、長い仕事が始まりました。

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