小雨、23度、82%
酵母の種から起こして天然酵母を作ったのは4月のことでした。以前使った天然酵母は市販のホシノ酵母です。レーズンから起こした酵母液で中種を作ります。天然酵母を使って焼くのは、やはりハードなパンと思います。粉の味と酵母の醸し出す香りを噛みしめたい、そんな思いです。そこで出来上がった酵母を使って、小さな丸いハードなパンを焼きました。私の酵母の力が分かりませんから、粉の配合、水の量を見ながら、毎日毎日焼きました。20個目ぐらいから、満足の行く配合が掴めました。イーストのように均一ではありません。中種を継ぎながら使っていますから、 酵母のその日の顔色をうかがいながらの仕事です。
毎日焼きましたから、少しハードなパンにも飽きました。そこで、久しぶりにこの天然酵母を使ってプルマンローフを焼くことにしました。ザックリと配合を出して、捏ねます。天然酵母を使うと生地はべたつきます。しかも気温が上がって来ていますから尚更扱い辛い、1次発酵の段階でいつもとなんだか違うなあと思います。こういう時は時間をとります。膨らみ具合が小さく感じます。生地に艶もありません。やや艶が出て来たところで、次の段階に移りました。二次発酵、型に入れて待ちますが一向に持ち上がってくれません。発酵温度もやや高く保ちます。3時間経過しても型の八分目まで持ち上がらないので、蓋をせずそのまま焼成しました。オーブンにれて5分後、驚くことにグングン大きく膨らみました。焼き上がった山パンは、中はべったりと握るとお団子のようです。このパンを焼いたのは日曜日。日曜、月曜と私の頭の中はプルマンローフのことで一杯でした。寝ていても夢の中で配合計算しています。何処が悪かったのか、あのオーブンに入れて膨らみ出したパンが教えてくれています。
さあ、気を取り直してもう一度。縦伸びが必要なプルマンローフには私の酵母はハード系より多く使うこと。生地の状態を見ながら兎に角気長に待つこと。昨日は気温が低めでしたので、室温も高めにと気を遣いました。発酵状況をこれぐらいでいいではなく、間違いなくこの状態という線まで待ちます。生きている私が作った酵母との付き合い方です。
出来ました。イーストとは違う モッチリと酵母の香りのするプルマンローフです。
失敗したローフは半分までパンプディングにしたりして食べましたが、流石に諦めて残り半分は鳥さん達に食べてもらいました。生きた酵母です。イーストの時より見る目、触った時の感触を大事にしてやらないといけないと学びます。そして、一番大事なのは酵母を好きになること、信じて待ってやることです。