曇り、25度、84%
春から夏にかけて、香港の市場の魚屋さんの店先も賑やかになります。お野菜、果物は世界中から入って来ますから季節感がありません。それに比べて、お魚は季節を教えてくれます。回遊しているサバの子供が市場に並ぶのは春先、日に日にそのサバ子も大きくなり成長すると脂が抜けたパサパサのサバになります。美味しいのは10センチ程のサバ子です。日本のかつおより小振りのかつおも出ますが海水の温度の違い、ちっとも美味しくありません。鰆は一年中あります。イトヨリダイも一年中あります。私のこの季節の楽しみは、なんといっても桜鯛。小ぶりなチヌ(クロダイ)よりやや大きい30センチ程の桜鯛が魚屋の店先に並ぶと喜ぶのは、やはり私が日本人だからでしょうか。
鱗取りが大変な鯛、魚屋のおじさんに丁寧にとってもらうように頼みます。お腹を出してもらうとき、おじさんの手元を見ていると用心深く大きな釣り針を抜き脱しています。鯛はやはり一本釣りです。さて家に持ち帰り、何の料理にするか考えます。日本ならお刺身だって食べれますが、香港の近海魚、お刺身だけはこの私でも遠慮します。一匹買いすると、薫製がいいか、酒蒸しがいいか、グリルがいいか?と悩みます、主人に尋ねれば、最近のお好みでグリルとおっしゃいます。
酒蒸しだって、薫製だって、グリルだって、一匹丸のままの料理は簡単で主婦に取ってはありがたいものです。 オリーブオイルを薄く塗って、沢山赤いパプリカをしいた上に鯛をのせます。お腹の中に内緒で梅の清酒を振り入れました。軽くエクサンプロバンスの香草を振って、たっぷりオリーブオイルを垂らしてオーブンに。お魚ですから、焼き過ぎにご注意。
トロトロになったオリーブオイルと鯛の汁をすった赤いパプリカが白身の魚のいいソースになります。
もうひと回り小振りの鯛ならやっぱり鯛めしだわねと、丸々一匹をのせた鯛めしを思い浮かべているところです。