曇、19度、76%
私に種を送ってくれる友人が数名います。小さな種です。荷物から出てきた種を見ると嬉しく思います。彼女たちの庭で育って花を咲かせ、実をつけて、種になる、その種を彼女たちが自らの手で取って、細かい殻を取って送ってくれる、友人たちの手の動きが見えるようです。手を動かしながら、「真奈さんに。」と思ってくれる気持ちまで感じます。送っていただいた種は、いつ頃蒔くのか書いて缶に入れます。 ココの上にある黄色い缶には、香港から持って帰った種、庭で採れた種、友人たちからの種が入っています。
札幌から帰ってきたら種が届いていました。種以外にも、「ほうずきトマト」、プリッキーヌと呼ばれる唐辛子、一見、種には関係なさそうですが私にはこの2つも種につながる記憶があります。
この送り主から珍しい「ほうずきトマト」の種をいただいたのは日本に帰国して間もなく、寒い頃でした。種の育て方までプリントして添えられていました。時期がきて種を蒔きました。ところがこの貴重な種は一粒も芽を出さないままでした。同じ頃、彼女の庭に蒔かれた「ほうずきトマト」はたくさん実をつけたのです。 カラカラの紙のような外皮を開くと、中には橙色のトマトの味がする実が入っています。この「ほうずきトマト」が実をつけた様を想像します。可愛いだろうなあ。
プリッキーヌの赤い唐辛子の種は、彼女と共通の知人から同じ時にもらったものです。香港の私の方が早く芽を出しました。随分大きく育って、白い花をつけ唐辛子の先っぽが見え始めた頃、私の留守中に枯れてしまっていました。この時の私の落胆。涼しい土地で育った彼女のプリッキーヌは、小さな辛い辛い赤い実をつけました。それを乾燥して送ってくれたのです。
花を咲かせることができなかった種、芽すら出なかった種、たくさんの失敗があります。種の小袋の一つが見事な朝顔の種です。朝顔って小学生でも育てて花を咲かせるのに、冬に「ほうずきトマト」の種と一緒にもらった朝顔の種も芽を出しませんでした。朝顔も失敗、かなりショックでした。彼女はきっと一度くらいの失敗にへこたれない私をご存知です。「また、やってみて。」とこうして種を送ってくれました。
プリッキーヌは赤い色がアクセントです。 台所にぶら下げて少しづつ使います。秋蒔きの植物の種まきのシーズンです。種を蒔き、水をやり、害虫と戦って、また実りが回ってきます。地味な作業です。種のつながりは、心のつながりに思えます。