雨、16度、59%
「ジャガイモとカボチャを送るからね。」その言葉で2週間、食べたいカボチャもジャガイモも買わずに待ちました。待ちに待った荷物が届きました。箱を開けると、ジャガイモとカボチャ以外にまるまると大きな玉ねぎもゴロゴロ。さあ、どうやって食べようかな?
毎日小さなバゲットを焼きます。バゲットの切り口を見ていたら、「そうだ、久しぶりにオニオングラタンスープを。」と思います。私が結婚したて、台所を預かり始めた頃はフランスの家庭料理のスープの代表格のような「オニオングラタンスープ」でした。最近はさっぱり作っていません。モモさんとはほとんどご飯が一緒でしたので、タマネギが我が家から遠のいていたからです。珍しく今年の初め香港のSOHOのビストロで「オニオングラタンスープ」を頼みました。ずいぶんガッカリなお味でした。玉葱の炒め方が少なかったのだと思います。
「オニオングラタンスープ」簡単な家庭料理です。大事なのは、ただひたすらタマネギを焦がさないように炒めるだけ。強火で炒める方もいますが、一番小さな火で気長に炒めます。かれこれ1時間、タマネギが透明になってだんだんきつね色に変わります。もっと炒めると飴色に変わります。その頃には鍋底にタマネギのエキスの塊が焦げ付き始めます。台所はタマネギの甘い香りでいっぱいです。
そこにスープを注ぎ入れ、大事なエキスを全部溶かします。耐熱容器に移したタマネギスープに薄く切ったバゲットを乗せて、 チーズを振ってオーブンに入れます。スープも熱々ですからチーズが溶ければ出来上がり。
熱いうちに食べなくては。チーズがビヨーンと伸びてまずはバゲットを一口。バゲットはタマネギの甘いスープを吸って、上はカリカリ、下はしっとり、そこにチーズの旨みが一体になります。微妙な感覚の美味しさです。決め手はタマネギの甘いスープ。一人分にタマネギ2個使いました。あれだけ元気の良かったタマネギです、バターと炒めることでありったけの甘みを出してくれました。
八百屋さんで買ったタマネギなら「オニオングラタンスープ」を思いつかなかったかもしれません。遠路はるばるやって来た大地の恵みいっぱいの野菜だからこそ、どうやって食べるか考えます。
日本に戻ってこの数ヶ月、日本中から美味しい旬のお野菜、季節のお菓子をいただきます。おかげで元気です。みなさんありがとう。