曇、6度、76%
結婚して四十年を迎えました。四十年、あっという間に過ぎたようですが、孫娘も4歳になりました。やはり短かったように思います。いろんなことがありました。今、わかっていることは、これから四十年も主人と一緒ではないということだけです。
私はモモさんのことがありましたから、香港生活を三十年で切り上げて帰国しました。主人はまだ香港でお仕事です。離れて生活するようになって、負担が大きいのは主人の方です。一人暮らし今年で二年生です。ひと月かふた月に一度、戻って来ます。顔を見るとホッとしますが、戻って来ている間はお休みなので一日家にいます。私は随分疲れます。
先日、ぼーっと庭を眺めていました。お外は寒く、家の中は暖かです。お昼ご飯のあとだったと思います。美味しいものを食べて、暖かく、何の不自由もありません。こうしていられるのも、主人のおかげです。
朝晩ご飯をいただく時は一人でも、「いただきます。」と声に出して言います。最近は、「ひろごちゃん、いただきます。」と言うようになりました。「ひろごちゃん」と主人を呼ぶようになって二十年近く経つでしょうか。息子を日本の高校に返してから二人だけの生活が始まった頃からです。口喧嘩をした後など、「あなた」では語気が強過ぎます。「ひろごちゃん」は言葉の緩衝役です。
60歳を越した頃から、あと十年と先を考えるようになりました。あと十年これを使うかな?と自問して物を買います。あと10回、おせちを作ろうと思います。あと10回、桜が見られると思います。考えたらたったの10回です。モモさんを亡くしたことも、私の考え方に影響しています。あちらに行くまで、毎日を大事にしなくては、もったいない。その毎日を骨身を惜しまずに支えてくれる「ひろごちゃん」に感謝です。
「ひろごちゃん」も最近は大きな病気をしません。ありがたいなあと思います。まずはあと十年、お互い健康で仲良く過ごせたらと思います。四十年前、暖かな日差しが射す六間道路を婚姻届を出しに区役所に向かって歩いていた時のことを思い出しながら、「ひろごちゃん、ありがとう。」
見出し写真は、モモさんと私が帰国する日、香港国際空港に向かう車の中です。この写真が好きです。