晴、31度、74%
まだ香港にいた時に求めた「NEWS of the WORLD」を読み終えました。読みさしの本を数冊一気に読み終えました。
時は1870年代、場所はアメリカ南部の話です。まだ馬車生活をしていた頃のことです。主人公の70過ぎの男性キッドは馬車に乗りアメリカ南部の田舎町を旅しながら、新聞を読み聞かせる仕事をしています。テキサスなどの都会とは違い田舎では新聞が手に入らない、または読めない人たちのために木戸銭をとって教会などで新聞の記事を読んで聞かせる仕事です。そういう仕事があったことに驚きました。思い出したのは、中国、香港の壁新聞です。つい数年前まで香港のワンチャイにある「大広報」の会社の壁にはその日の新聞が張り出されました。道行く人が食い入るように立ち止まって新聞を読んでいたのは、20年前までのことでした。中国でもそうした光景を幾度か見ました。新聞、新しい知識を人々が求めるのは時代、人種を超えて同じです。
旅をしているキッドは、原住民に連れ去られた10歳の女の子を親戚の元に連れ帰る仕事を頼まれます。当時は原住民インディアンなどに子供が連れ去られるケースは多かったようです。子供を連れ去る時、親たちを殺したり火を放って行く様をその子供たちは見ていたと書かれています。それにもかかわらず、発見され親戚の元に連れ帰られた子供は皆んなが皆んな原住民との生活の方がいいと言ったのだそうです。たった数ヶ月の連れ去られた生活ですら元の言葉を忘れてしまうほど強烈な何かがあったのだろうと思います。
親を惨殺され6歳で連れ去られたジョアンナを連れ、南部アメリカを下って親戚に届ける間の話です。ドイツ系の親の元で生まれたジョアンナはすっかり元の言葉を話せません。子供連れしかも白人の女子を狙う盗賊たちとの戦い、やっと親戚の元に連れて行くことができました。ところが連れていった叔父、叔母は労力として姪っ子を引き取ったのです。それを察知したキッドはこっそりとジョアンナを連れ戻しに行きます。そして自分の子供として育てます。
アメリカは移住者の多い国です。南部にはヨーロッパからの移住者の町が多くあったそうです。言葉も違い原住民との戦いもあり大変な生活だったと想像します。
ポーレットジルズの数冊の本はまだ翻訳が出ていません。ただこの「NEWS of the WORLD」は映画化されることになっています。キッドを演じるのはトムハンクス。映画が上映される頃にはきっと翻訳も出ていると思います。