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アリスマンローがノーベル文学賞を取ったのは数年前のことです。確か村上春樹も候補に上がっていた年でした。ノーベル賞を取ったからと言ってその人の本を読むことはあまりないのですが、マンローが描く女性像について書いたものの読み気になって代表作の「イラクサ」を手に取りました。マンローはカナダ人、すでに80歳を越しています。短編作品が主です。
短編ですから「イラクサ」は短編集です。短編なのですんなりと読み終えると思っていたら大間違いでした。一つ一つの話が重く、その上彼女の英語の難しさで読み始めてずいぶん時間が経ちました。私に取ってはイギリス人作家の書く英語はアメリカ人作家の書く英語より難儀に思えます。そして、このカナダ人マンローが書く英語は初めて読むせいもありますが難しく思いました。
主人公はほとんど女性、マンローも女性、私も女性、それがあって読み終えることが出来たのかもしれません。要するに女性が持つ共通の何かが英語の難儀さを乗り越えさせてくれました。本を読みながら、この作品は映画に出来るなあと思うことがあります。そんな時キャストまで考えるのですが、この「イラクサ」映画には不向きに思えます。単なる心理描写でもない、不思議な空気を持つ作品です。そしてその辺りがマンローの書くものの魅力なのかもしれません。
「イラクサ」をはじめマンローの本は翻訳本が出ていますので内容はお読みください。この本の最後の「クマが山を越えてきた」は男性が主人公です。認知症の妻を施設に入れたところ、その妻が同じ入所者の別の男性を恋するようになる話です。あり得る話なのにその話の運びに感じ入りました。そのうち、マンローの別の本も手に取ることになりそうです。