晴れ、7度、77%
日本で売られている海外のチーズはヨーロッパのものが多いように思います。長い伝統のあるヨーロッパチーズはやはり深みが違うと常々感じます。大量生産ではないアメリカチーズも美味しいものがあります。
アメリカ、ウィスコンシン州の牧場のチーズです。量産でないと言ってもアメリカのことですから広大な牧場ではないかと想像します。ここのチーズをいくつかいただきました。コーヒーやチョコレートの香りがしました。今回は「ラズベリー」と書かれているのでてっきりベリーが入っていたり甘酸っぱい香りかと思い封を切りました。ところが、全くラズベリーの姿も香りもありません。裏書きを読むと「ラズベリーエール」なるアルコールに浸して作っているのだそうです。「ラズベリーエール」は知りませんが、エールですからビールの一種かと思います。
ヨーロッパチーズにもアルコールを幾度も吹き付けて作るウォッシュタイプのチーズがあります。ワインやブランデーを使うそうです。色はおしなべて山吹色、匂いのきつさも甚だしく熟成させますからやや柔らかめ、「マンステール」などがその代表格です。好きになるとこの臭さの虜になってしまいます。このウィスコンシン州のアメリカチーズはただ浸すだけ、熟成させないので強烈な臭みは全くありません。食べやすい、合わせやすいチーズです。口に含むとナッツの香りがしますが、エールを浸してあるのでシャープなチーズです。
日本の小さな農場のチーズもいただく機会が増えました。最初のひとくちふたくちは「美味しい。」と思っても食べた後に物足りなさがあります。合わせるのは決まって赤ワイン、料理も重いものが一緒のことが多いからでしょうか。チーズとワインだけでもやはり物足りない、私の好みですがもっと濃厚なチーズが欲しいと思います。日本人の嗜好、日本料理の淡白さからすれば日本のチーズはいい相性のはずです。
季節柄、こうした深い味わいのあるチーズとワインはいい時間を作ってくれます。