晴、16度、98%
売れ残った「ヒヤシンス」の球根を園芸店でプレゼントされたのは2月のことです。秋植えの「ヒヤシンス」です。すでに花屋さんでは芽出しの「ヒヤシンス」の鉢が売れれていました。そんな遅い時期からの栽培です。「花が咲くのは5月くらいかしら?」と園芸店のお兄さんのおすすめ通り水栽培を始めました。5球、赤が3個に白が2個。球根の色は花色に反映します。
栽培を始めて数日後、白い2球は水が濁りました。球根の水際が腐食が始まっていました。カビを取り除きましたが、1球は数日後には指で潰れるほどになり捨てました。もうひと球はカビを取りましたが、根を出す気配はありません。赤玉3球は根も芽も予想以上に早いスピードで成長しました。まるで待ち構えていたみたいです。もらって3週間後、一つ目の紫が咲きました。続いて残りの2球が赤紫の花をつけました。白球は根が出ないままです。にも関わらず頭頂部分の芽が緑に染まったのは数日前です。赤球の花たちは盛りでした。
根が出ないということは養分の吸収ができないこと、自分の中に蓄えている水分と養分だけで芽出しをしている白玉です。日に日に芽が膨らみました。昨日芽がはじけたように見えました。よく見ると、まだ2センチほどの芽の中から一粒の白い「ヒヤシンス」の花が開いています。
たった一粒、懸命に春に歩調を合わせるように咲きました。実はこの白球、腐ってしまうだろうと思っていたのです。「捨てなくてよかった。」
今部屋で花をつけている「ヒヤシンス」は、紫のひと球とこの一粒の白球です。一粒ですが「ヒヤシンス」の香りまでします。生命力を見せてもらいました。
先に咲いた紫の球根も花が終わっても捨てることができずに、 庭の蹲の水に挿してあります。
こちらは布袋草の甕です。布袋草は新芽がつく前、緑に見えているのが「ヒヤシンス」です。
売れ残った5球の「ヒヤシンス」は一番早く私に春を連れて来てくれました。花の色、香り、そして植物の本来持つ強さ、ひと月の心温まる時間を共にしました。この一粒の白い「ヒヤシンス」を最後までみとります。