晴、23度、93%
「カルネ」という調理パンをご存知でしょうか?京都のパン屋さんが作っている、ロースハムに軽く火を通した玉ねぎを挟んだ調理パンです。 このパンは私の友人の大好物でした。8年前、友人は若くして逝きました。友人の命日にご家族が「カルネ」を送ってくださいました。
友人とは香港で知り合いました。彼女は帰国する度にたくさんのお土産を持って来てくれました。和菓子、洋菓子、お野菜、お漬物、そして必ず「カルネ」。ちょっと早口な声で電話がかかります。「真奈さん、今日時間あります?」香港に着いてすぐの電話です。なぜなら「カルネ」はその日のうちに食べないといけません。我が家に届けてくれることもありますが、大きな袋を抱えて電車の改札口で受け取ることもしばしばでした。お土産を手渡され、「真奈さん、温め直してくださいよ。」と念を押されます。「カルネ」のことです。
「カルネ」を見ると急いで食べなくてはと思います。早速、 一つ目は焦がしてしまいました。 半分に割るとふかふかのバンズの間から玉ねぎとハムの香りがします。普通のように見えますが、この「カルネ」の美味しさは見えないところに潜んでいます。パンに塗ってあるのは「マーガリン」と「ラード」です。これが美味しい決め手です。「このマーガリンがいいんですよ。」という友人の声が耳に聞こえます。
気丈な彼女でした。せっかちに話すのにどこか悠長、きちっとしているのにぽっかりとおかしなことをする人でした。スペインが好きで、ピカソが好きで。久しぶりの「カルネ」を食べながら彼女のことを思い出します。
はるさんありがとう。