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雨、7度、85%
先日観たフランス映画「美食家と料理人」の中で美食家の言葉がいくつか心に残りました。その一つが、料理人の元に見習いに来ていた村の娘にオムレツの味見をさせている時の言葉です。フォークでオムレツを崩して口に運ぶ娘に「オムレツはスプーンで食べてごらん。」と言います。スプーンに持ち替えてオムレツを口に運んだ娘の顔がパッと輝きました。
食べ物を口に持って行くスプーンやフォークそして私たちにはお箸もあります。この美食家の言葉に私もハッと胸を疲れました。フォークやお箸はさほど口の中に入りませんがスプーンは口に入れます。私は毎朝食べるヨーグルトのスプーンを季節で変えて使っています。夏はシルバーのスプーン、冬は塗りのスプーン、味が違います。口当たりが違います。美味しいと私が思うものを求めます。お箸は唇に触れます。箸先が塗りの物、素の木の物とでは微妙に温かみが違います。温かみ、優しさでしょうか。
あと数年で70歳になります。残された食事の回数が少なくなって来ました。健康志向でこれを食べた方がいい、あれも食べた方がいいと情報過多な時代です。健康でいるための食事はもちろんですが、私は食べることが幸せだと思います。数年前からあまり好きでないものは食卓に載せなくなりました。家族が求めれば作りますが、自分は箸をつけません。好きなものを好きな量だけ満足して食べます。一食一食に楽しみと幸せをもらいます。
「美食家と料理人」の映画以来、オムレツはスプーンで食べます。卵の黄色さがより円やかに口に転がり込みます。普通のものを食べる時それを口に運ぶものを変えるだけでこんなに美味しく感じます。日常のほんの小さなことです。自分の残りの時間を大事に、美味しく、幸せを感じるものにしたいと思います。今朝の 私の朝ごはん。
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