クバの団扇

晴、26度、90％

　暑い日が続いています。電力の消費を抑えるようにとお触れが出ました。昼間は冷房を使わないで生活しています。古い日本家屋です。冷房しても冷気が隙間から出て行きます。香港のマンション暮らしで24時間半年以上冷房をつけたままだったのが嘘のようです。扇風機で家の空気を回しています。日差しを避けるため2階にはオーニングも取り付けました。私自身も朝の７時を過ぎると庭から引き上げて家にこもります。

　蝉たちが早朝から鳴き始めます。庭の地面には丸い穴、木や塀には蝉の抜け殻がたくさんです。蝉の大合唱を縁側に座って聞きます。小さい頃から馴染んでいるこの家の夏です。そんな時は扇風機でなく「団扇」で風を送ります。扇風機の音は蝉の鳴き声の邪魔になります。

　「団扇」の風はゆったりと身体に優しく感じます。汗ビッショリの時には物足りないかもしれません。我が家の「団扇」は子供の頃から「クバ」という椰子の仲間の葉で作られたものでした。大きなものです。父母の遺品をたくさん捨てたのに「クバの団扇」は2つ残しました。子供の頃母が「この団扇は手に入りづらくなった。」と言っていたのを覚えていたからかもしれません。綺麗なフォルムの「団扇」です。確かによそでこの「クバの団扇」を見たことがありません。

　「団扇」で風を求めていると、ココさん不思議そうに寄って来ます。　

扇いでやると、風が起こることが不思議だと思っているかのようです。

　大きな「クバの団扇」はのんびりとした気持ちにさせてくれます。「団扇」を使いながら蝉の声を聞く、「世の中忙しなくなったものだわ。」と思います。

　「クバの団扇」今での沖縄で細々と作られているそうです。残した「クバの団扇」半世紀以上も現役です。