
晴、16度、80%
映画「土を喰らう十二ヶ月」を観ました。水上勉の「土を喰らう日々」を基にした話です。太ってしまった沢田研二を見るのは辛いけど、見たいことがたくさんありました。出てくる料理を土井善晴さんがディレクトしています。土井さんの話口、話されることが好きですが実は一度も作られるお料理を見たことがありませんでした。その料理をのせる器も楽しみでした。
公開初日の朝からの上演、中心部から少し距離のある映画館は空いていました。 オンラインで予約すると紙のチケットが印字されます。
チケットに映画の写真がないのは残念です。
話の筋は置いておきます。白馬での12ヶ月に及ぶ撮影だったと聞いています。自然が素晴らしく、景色も水の流れも山にかかる雲、木々の影までが匂いを感じるほどに撮られています。確かに「ジュリー」は太ってしまいました。目の周りは目袋ができています。それがアップで映し出されます。ファンとしてはグッと来ます。
自分で作った野菜を自ら食す、それがこの映画の主題です。原作者水上勉は、幼い頃禅寺の雲水をしていた人です。調える食事の無駄がなく美しいこと。掘り立てのタケノコの煮物が出て来ました。皿に盛られた「タケノコ」はそのままの色です。醤油の色が染みていません。この時「土井善晴」さんの料理というものを知りました。濃い口の醤油で炊いた「タケノコ」はそれは美味しいのですが、色と香りを濃い口の醤油が邪魔をします。美味しそうに「タケノコ」を頬ばるシーンに思わずゴックリ。
台所周りの品々も興味がありました。かまどで羽釜を使って炊くご飯、ここまではよかったのですが、台所で使う柄杓、おたま、アルミの鍋、ご飯を移す飯盒、それらがどれも新品でした。手垢のついていないピカピカです。台所の場面の度、その真新しさに気が行きます。味噌壺、塩壺も手擦れた感がなく真新しさが目立ちます。作家の住む田舎家、時代は昭和です。狭い台所だから尚そのチグハグが気になりました。
器は土ものは伊賀土楽窯の「福森雅武」さんのものだとクレジットで知りました。福森さんの焼き物は土の匂いのする手に馴染む陶器です。山奥の家、囲炉裏端、くり抜きの独楽模様の丸盆に映える皿の数々でした。
お話的には頷けないところもありましたが、山の自然、料理に2時間があっという間に過ぎました。最後にこの映画の主題歌がクレジット共に流れます。あの甘い「ジュリー」の歌声でした。ああ嬉しい。
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