みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

<空き家を生かす>生活保護受給者への賃貸物件(白井康彦)/<母乳ストーリー>母親の孤独

2015-08-13 15:18:22 | ほん/新聞/ニュース
中日新聞の木曜日の生活面の記事はシリーズ<空き家を生かす!!>、
「生活保護受給者への賃貸物件」。
執筆社会通念は、日曜日にお話を聞いたばかりの白井康彦三です。

この<空き家を生かす!!>、過疎地の空き家対策から、
生活保護受給者に住むところをつなぐ実践を紹介するなど、
とってもおもしろいです。

あなたの自治体での空き家も生かすことを考えてみませんか。

 
 <空き家を生かす!!> 生活保護受給者への賃貸物件
2015年8月13日 中日新聞

 全国の賃貸住宅所有者でつくる公益社団法人・全国賃貸住宅経営者協会連合会(東京都)は十月から、賃貸住宅の空き室を生活保護受給者に貸しやすくするための事前登録制度を始める。所有者が受給者への貸し出しを原則的に認める物件を、インターネットで簡単に検索できるようにして、住宅を探す受給者に便宜を図りながら、空き室の減少を目指す。

 生活保護の受給者が賃料が安い物件に転居しようとしたり、ホームレスの人が新たに受給して賃貸住宅に新規入居したりする場合、現状では不動産仲介業者が物件所有者に「借りたい人が生活保護受給者だが、貸してもいいか」と一軒ずつ確認している。しかし受給者OKの物件がどれなのか分からないため、何軒も断られ続ける受給者が多い。

 生活保護には家賃に当たる住宅扶助が毎月含まれており、所有者からすると「定期収入がある人」と見ることもできる。賃貸住宅の供給過剰などで古い賃貸住宅の空き室が増えていることから、「空き室にしたままより、受給者に貸し出したい」と希望する声が強まっている。

 連合会には、全国約四十二万件の空き物件を網羅したデータベースがすでにある。所有者の申し出を受けて、「受給者に原則として貸し出せる物件」という趣旨の項目を新たに付け加え、簡単に検索できるようにする。自治体ケースワーカーらが受給者の家族構成などの事情に合った物件を選び、受給者本人が入居申し込みをする。

 連合会が七月中旬から、物件の登録を呼び掛けるパンフレットを作ったところ、自治体や所有者からの問い合わせ、受給者からの空き室紹介の依頼などが約百件に達した。事務局長の稲本昭二さん(54)は「高齢の受給者から感謝の声が寄せられています」と顔をほころばせる。

 ただし生活保護受給者の場合、家賃滞納や、保証人や緊急連絡先を確保できないことが貸し出しのリスクとなっている。連合会は▽自治体が所有者に家賃を直接支払う「代理納付」を認めている自治体が多い▽保証人や緊急連絡先の代行サービスを活用できる▽孤独死を防ぐ安否確認サービスや孤独死に備える補償保険がある-などを所有者に知らせ、空き室減少に結びつけたいとしている。

 生活困窮者が生活保護を受給できるように支援してきたNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都)によると、七月から住宅扶助基準の切り下げが実施され、生活保護受給者の住宅探しはさらに難しくなっているという。理事長の大西連さん(28)は「賃貸住宅業界から対策が打ち出されたことは歓迎したい」と話す。

 愛知県の賃貸住宅所有者などでつくる公益社団法人愛知共同住宅協会(名古屋市)は、受給者らのアパート探しの手伝いもしている。理事を務める弁護士の杉本みさ紀さん(49)は「生活困窮者の相談を受ける自治体担当者などからも、アパート探しの支援要請がある。簡単に検索できれば、素早い支援に結びつけられるのでは」としている。
 (白井康彦) 


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もうひとつ、
中日新聞生活面の記事で紹介したいと思っていたのが、
シリーズ<母乳ストーリー>。

ちょうど勉強会の準備などでいそがしい時期だったので、
記事をとりためておきました。

わたしの<母乳ストーリー>は昔々のことですけれど、
母乳にまつわる苦労話は、どれも身につまされて
「涙なしには読めない」ですね。

 <母乳ストーリー>安全な「バンク」のお乳 早産児には命綱に(2015年6月5日 中日新聞)

 <母乳ストーリー>臓器移植後に出産 薬のリスクで葛藤(2015年6月19日 中日新聞)

 <母乳ストーリー> 新米ママの悩み(2015年7月31日 中日新聞)

  <母乳ストーリー> 母親の孤独 助産師も医師も悩んだ
2015年8月7日 中日新聞

 裸ん坊の赤ちゃんが、体重計に乗せられた。「あ、大きくなってる」。母親の顔がほころんだ。東京都港区の産婦人科「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」で、先月下旬に行われた「新米ママクラス」。助産師の福山真優子さん(30)が優しく見守っていた。

 クリニックで母乳外来を担当する福山さんは、長男(3つ)を出産後、母乳で悩んだ。切迫早産の危険から、妊娠中は胸のマッサージができなかった。二〇一二年五月に、里帰り先の石川県七尾市の病院で生まれた長男は、体重二五〇〇グラムで小さめ。乳首をうまく吸えなかった。「吸ってくれないと母乳が出ない」。乳首を刺激するため、一日十回も搾乳した。

 「おしっことうんちが一定回数出ていれば、母乳は足りているから大丈夫」。日頃、新米ママにこう指導していた。それなのに自分は不安で、授乳のたびに長男の体重を測定。体重は思うように増えず、粉ミルクを足した。母乳育児を勧めてきた助産師としての誇りはズタズタ。「一日中おっぱいを出して、母乳を飲めない子どもと格闘していた。孤独だった」

 三週間後、都内に住む指導役だった助産師に泣きながら電話で相談した。「このままじゃ母乳で育てられない」。助産師は石川県まで来て、胸や背中をマッサージして吸わせ方も一緒に考えてくれた。一カ月ほどすると長男は徐々に強く吸えるようになり、母乳は安定して出るようになった。

      ◇
 「産んだら母乳は勝手に出ると思っていた。母乳育児には、ものすごい苦労が伴う」。こう話すのはクリニックの産婦人科医、海老根真由美さん(44)だ。

 海老根さんも長男(7つ)を出産後、母乳育児でつまずいた。産婦人科医といえども、母乳に関しては素人だと痛感した。「母乳で悩み傷ついた経験から、母親たちに寄り添いたい」。別の病院で一緒に働いたことのある福山さんに声をかけ、一三年六月に開業した。

 クリニックには、母乳で苦労した産婦人科医がもう一人いる。同年九月に第一子の長女(1つ)を産んだ医師(43)。高齢の帝王切開で母乳が出にくく、患者としてクリニックの母乳外来に通院していた。

 「産婦人科医院はお産で忙しく、母乳指導する余裕がないところが多い。短い入院中に母乳育児を軌道に乗せることは難しく、退院後こそ支援が必要だと気付いた」。一四年二月、クリニックの仲間に加わった。

 クリニックは土日祝日も含め毎日開いている。「助産師も医師も母乳で悩んだ経験から、いつでも誰でも駆け込める場所にしたいと思った」と海老根さん。働いている人や父親も参加できるように、妊婦向けの母親学級は日曜日に開催。妊娠中から、母乳が出る仕組みなどを教えている。

 産後の育児支援に力を入れるのは、もう一つ理由がある。海老根さんは以前、埼玉県内の大学病院に勤務し、切迫早産など緊急性の高いお産を担当した。だが退院後に赤ちゃんが虐待で亡くなったり、母親が虐待で逮捕されたりする事件を目の当たりにした。

 厚生労働省の調査でも、一三年までの十年間に虐待で死亡した子ども五百四十六人のうち、一歳未満が44%の二百四十人。生後一カ月未満は百十一人で、加害者の91%が実母だった。海老根さんは「核家族化で、一人で育児を背負いがちの母親たちを救っていきたい」と話す。
 (細川暁子) 


産後うつの一因は「完全母乳」思想にあり?(2015年07月31日 東洋経済オンライン)

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