みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「ガラスの天井」シリーズ連載開始。とらわれの私たち/1ママ苦しめる「良母幻想」(毎日新聞)

2015-08-22 10:40:23 | ほん/新聞/ニュース
8月19日から毎日新聞のくらしナビ面で、
「ガラスの天井:とらわれの私たち」の連載がはじまりました。

昨年から続いている「ガラスの天井 女性と政治」のシリーズです。
担当は、昨年取材に見えた田村佳子さん、
10年ほど前の岐阜支局が初任地だった中村かさねさんもメンバーです。

毎日連載で、きょう土曜日は4回目です。

まずはスタートの「1 ママ苦しめる「良母幻想」」の記事を紹介します。
この感じ、若かったわたしも経験したので、よくわかります。

  ガラスの天井:とらわれの私たち/1 ママ苦しめる「良母幻想」
毎日新聞 2015年08月19日 

 共働き世帯が専業主婦のいる世帯を上回って20年近くたつ。それでも、家事、育児の担い手は妻、夫は稼ぎ頭、という図式にあまり変化はない。私たちは堅固な男女の性別役割分担意識から自由ではないようだ。とらわれた意識は、変わりゆく社会の中で何を引き起こしているのだろうか。

 ●私はダメな母親…
 40歳になって恵まれた子どもは、かわいくて仕方ない。友人は「いいママだね」と言ってくれる。でも心の中ではいつも思っている。育児がつらい−−。

 洋子さん(43)=仮名=は難関大学を卒業後、専門職として働いてきた。夫は大手金融マン。一見不自由のない生活だが、育児は思うようにいかない。東京都心の山の手に構えた新居の周りに知人はおらず、ママ友もできなかった。実家は遠く、困った時の頼りは夫だけ。だが、産後まもなく体調を崩しても夫はさっさと出勤した。赤ちゃんを抱くのがつらい日も、帰宅は夜中だった。

 自分はダメな母親だと思う。子どもの泣き声にイライラする。長女は今2歳。かわいがろうと思っているのに「あっちに行って」と言ってしまう。本当は絵本を読み、ベビーマッサージをして、一緒に遊びたいのに、食事や身の回りの世話と家事をするだけで精いっぱいだ。

 「3歳までの子育てが大事」という言葉に焦りを感じる。「もう時間がない。心を育んであげてなくては将来きっと反抗的になってしまう」

 ●自分がオニババに
 アニメの「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」が理想の家庭像だった。優花さん(41)=仮名=は10年前に結婚した際、迷わず専業主婦になった。夫の望む「きちんとした」朝食のため、毎朝魚を焼いて、野菜のおかずを作り、白飯を炊いた。

 長男が生まれると、母子手帳を繰り返し読み、責任の重さを感じた。公園に足しげく通い「母の務め」としてママ友作りに励んだ。ママ友に「夜は○時に寝るのが普通」と聞けば、ぐずる息子の背中を激しくさすって無理やり寝かしつけた。保健所の育児講習も欠かさず、周りについていけないと「ママ失格」の烙印(らくいん)を押される気がしていた。

 将来の教育費に備え、パートの仕事を始めてからも食事はほぼ手作り。家計を案じ、仕事で疲れ果て、家事に明け暮れた。

 なんで私ばっかり−−。自己犠牲で成り立つ生活にいら立ちが募った。

 「あなたは働いているだけでいいわね」。夫に不満を言い、子供にもあたった。実母に愚痴を漏らすと「母親の責任があるから仕方ない」と諭され「産まなきゃよかった」とも思った。鏡の中の自分が「オニババ」に見えた。

 転機は3歳の長男のじんましんだった。「ストレスが原因」と診断され、はっとした。自分も夫も体調を崩していた。一度仕事を辞め、夫婦でカウンセリングを受け、自分の心と向き合った。

 ●家事育児しない夫
 午前8時過ぎ、香さん(40)=仮名=は小学校に行く2人の子どもを見送ると、パソコンを開く。インターネットで家具などを売るショップを運営するためだ。多い時で月10万円以上の収入を得るが、会社員の夫はその「仕事」を「趣味」としかみていない。

 長女の妊娠を機に家庭に入った。実家の両親の介護費用などを自力で稼ごうとして、夫に相談すると「家庭がおろそかになる」と反対された。自宅でできるネットショップは「ストレス解消」と説明してようやく認めてもらえた。

 夫は今も家事や育児は一切しない。家が散らかっていると「何をしてた」と立腹し、香さんが体調を崩して寝ていると小学5年の長女に「俺のご飯は?」と詰め寄った。

 「いずれは外にも出て、もっと稼ぎたい」という香さん。しかし「今は子どもを優先したいから」と、現状の生活に甘んじている。

 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という意識は根強い。内閣府の世論調査(2012年)では、賛成する人が過半数を占め、前回09年調査より増えた。こうした意識が女性に社会的役割と家事育児の両方を強い、男性が家事育児に関わるのを妨げる面もある。母親は子どもに尽くすものだという「母性愛神話」もなお女性を苦しめる。

 ●子に向くイライラ
 「お母さんたちと接して、いつも感じるのは不安」。学習塾「花まる学習会」の高濱正伸代表はこう話す。「昭和の良妻賢母幻想が今もプレッシャーになり、そうでない私はダメな母、という思いを引きずり、不安になっている」

 かつては母親を地域が支えた。母親が抱く「良い母幻想」は、実際の子育て体験や失敗談を聞く中で静まった。だが、地域コミュニティーが崩壊し、父親不在の核家族という「閉じたカプセル」の中で育った母親は、他者の目がなく「良い母幻想」にからめ捕られていく。

 「一人でまじめに子育てをしようとするほど、ダメな母と見られることに過敏になる。夫も理解者になれていない。母のイライラは大抵、無意識のうちに子どもに向けられる」と高濱代表は憂慮する。

 自分がオニババに見えたという優花さんはその後、自分を解放できる仕事を見つけた。疲れたら外食する。泊まりがけで友人の家にも遊びに行くし、9センチヒールの靴でおしゃれも楽しむ。8歳になった長男は、ガミガミ言わなくても宿題をやり、好きなスポーツを続けている。「もう世間の求める良い母、良い妻に戻るつもりはありません」=つづく

    ◇
 この連載は田村佳子、吉永磨美、中村かさね、中川聡子が担当します。 


ガラスの天井 女性と政治

応援クリック 人気ブログランキングへ してね 

講師二人で、10月末に開催する第2回の「議員と市民の勉強会」の
打ち合わせを終えて、ホットひといき。


冷しゃぶとマーボー豆腐を作理ました。


最後まで読んでくださってありがとう
  クリックを

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする