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みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

性犯罪と裁判員制度~被害者守る司法体制を

2009-09-10 14:09:39 | ほん/新聞/ニュース
昨日の中日新聞【特報】に、青森地裁で審理された性犯罪の
裁判員裁判の記事が大きく載りました。

この裁判は、新聞各社の社説などにも取り上げられていて、
関心があって記事を集めているのですが、各社の記事を読むと、問題点が整理できます。

中日の記事は、webにないので、本紙をアップして紹介します。

【特報】性犯罪の裁判員法廷
露骨描写「ショック」 被害者守る司法体制を


厳罰化「感情より刑法改正」 背景に"分かりやすい裁判"
(2009.9.9 中日新聞)



毎日新聞「記者の目」にも、傍聴した記者の署名入り記事が出ています。

記者の目:性犯罪審理の裁判員裁判 「裁判員」選択権は被害者に/宮城
毎日新聞 2009年9月9日 地方版

  ◇国民の偏見取り除くチャンス 被害者の保護、最大限配慮を
 全国で初めて性犯罪を審理する裁判員裁判が2~4日、青森地裁で開かれ、仙台支局の裁判担当として取材にあたった。被害者のプライバシー保護が注目されたが、傍聴人に実名や住所を伏せるなどの配慮がなされていた。検察官が法廷で詳細な犯行内容を読み上げることに対し、「性犯罪は裁判員裁判の対象から外すべきだ」との声がある。だが、取材を通し、裁判員が入ることで国民の性犯罪に対する偏見をなくすことにつながるとの思いを強くしている。
 性犯罪は被害者の精神的苦痛が甚大で、市民である裁判員に犯行の詳細や名前が知られてしまうことで「二次被害を生む」との批判がある。今回の裁判では、まず青森地検が被害者に裁判員候補者の名簿を見せ、知り合いがいないかなどを確認。地裁も裁判員選任手続きの場では被害者の名前や犯行の詳細は伏せ、被害者の居住地に住んでいないかなどを質問した。
 また、被害者の意見陳述は、被告や傍聴人に顔が見えないよう、別室からモニター中継した。被害者の顔は裁判官や裁判員がモニターで見ることができ、法廷には被害者の声が流れた。この配慮は当然であり、今後も最大限努力されるべきだ。
 一方、検察官が法廷で読み上げた被害者の供述調書には、被告が犯したとされる強盗強姦(ごうかん)の犯行内容が詳細に記されていた。裁判員が見るモニターには、犯行状況を再現した写真も映し出された。裁判員を務めた男性の1人が「心が苦しくなった」と語るほど、せい惨な現場が再現された。
 これまでの刑事裁判では、裁判官が膨大な調書を読み込めばいいため、法廷では検察官が要旨のみ読み上げればよかった。だが、裁判員制度では、裁判員の負担を減らすためにできる限り法廷で読み上げることが原則で、検察官が詳細な調書を読み上げるのは必要なことでもある。
 被害者保護と「法廷で見て聞いて分かる裁判」のバランスをどう取るのか。傍聴して感じたのは、裁判員に被害者の顔を見せる必要はあったのか、声を機械で変えるべきではないかという点だ。犯行内容も被害感情に配慮し詳細な部分は伏せてもよかった。
 「性犯罪事件に対する過去の判決の例を見て、軽いと思った」
 裁判員を務めた男性は、判決後の会見で率直な感想を述べた。もし、裁判官だけで審理したなら、求刑の懲役15年よりも判決は軽くなったかもしれない。被害者の感情を最大限くみ取り、性犯罪を絶対に許さないという当たり前の市民感覚が、求刑通りの判決を導き出したと思う。
 性犯罪は非常にデリケートな事件だ。だがタブー視してはいけない。被害者は悩んだ末、「裁判員に思いを伝えることで少しでも刑が重くなるなら」と、勇気を持って意見陳述に臨んだ。だが、精神的な負担に感じる被害者もいるだろう。だからこそ、裁判員を入れるか入れないかは被害者が決める制度にしてもいい。法曹三者や報道に携わる私たちは、被害者の思いを尊重するべく、試行錯誤していくしかない。【鈴木一也】



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この裁判について、毎日新聞は詳細な記事を、連日、精力的に載せています。

社説:性犯罪公判 スティグマを消そう
毎日新聞 2009年9月5日 東京朝刊

 「ドアを閉める音や廊下を歩く音を聞くだけで心臓がドクドクしたり、ブルブル震えたり、涙がひとりでに出てくる」「道を歩いていると誰かにあとをつけられている気がして不安になる。また同じ事件に遭わないか心配で、何度も後ろを振り返ったり、怖くなってコンビニに入ったりしたことは数え切れない」
 青森地裁で開かれた裁判員裁判で強盗強姦(ごうかん)の被害にあった女性2人はそう証言した。性犯罪は裁判員裁判の約2割を占めるが、被害者のプライバシー保護の観点から市民が審理することには異論も強かった。しかし、性被害者の生々しい苦しみを裁判員が受け止めた意義は小さくない。判決は求刑通り懲役15年が言い渡された。性犯罪の実相を知り、被害者への理不尽な偏見を一掃する機会にしたい。
 今回、青森地検は裁判員の候補者名簿を被害者に見せて知人がいないかを事前に確認し、裁判所も裁判員選任手続きで事件の概要を説明する際、被害者の実名を伏せ、住所も詳しくは述べなかった。公判でも事件現場の写真や図を示す際には傍聴席から見ることのできる大型ディスプレーの電源を切った。被害者の意見陳述では精神的負担を軽くするためビデオリンク方式が採用され、傍聴人と被告には音声しか聞こえないようにした。
 ただ、6人の裁判員のうち男性が5人を占めたこと、検察による供述調書の朗読で性的暴行の状況が詳細だったことなどから、被害を届け出るのをためらう人が増えるのではとの懸念も指摘された。
 一方、裁判員からの質問は、検察があまり踏み込まなかった動機の核心部分を突くなど、改めてプロが独占していた司法の領域に市民の目が入ることの大切さを感じさせた。
 性被害をめぐっては「恥ずべきもの」「被害者にも落ち度があるのでは」などいわれのない非難や誤解が根強く、多くの被害者が泣き寝入りを強いられている。心身に重い後遺症を引きずり、世間の偏見から逃れるようにして生きている人も多い。恥ずべきは被害者ではない。性犯罪の卑劣さや悪質さについてもっと共通認識を深めなければなるまい。プライバシーには十分に配慮しなければならないが、安易にタブー視して目をそらし続けている限り、性被害のスティグマ(不名誉な烙印(らくいん))を消し去ることはできない。
 性被害者の肉声がこれだけ広く国民に伝わったことはこれまでなかったのではないか。まだ3件目だが、裁判員裁判は単に法廷内の改革にとどまらず、捜査や報道や国民の意識の変革へと広がっていく可能性があることを改めて感じる。

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裁判員裁判:性犯罪・初参加公判判決 会見の4人、複雑な胸中吐露 /青森
毎日新聞 2009年9月5日

 ◇「頭の中事件が駆け巡った」 充実感あるとエールも
 性犯罪事件で全国初となる裁判員裁判は4日、青森地裁での審理が終わった。全国から注目されるなか、被害者女性のプライバシーに配慮しながら四つの事件を短期間で審理した6人の裁判員たち。4人が地裁での会見に応じ、安堵(あんど)の表情を浮かべながらも複雑な胸中を語った。【宍戸護、後藤豪、坂本太郎】

 ■判決前夜
 青森市の牧師、渋谷友光さん(45)は判決前日の3日夜、家族といつもの生活をしながら、裁判のためにできなかった仕事を片付けていた。だが「頭の中は事件が駆け巡っていた」という。
 今回、唯一の女性裁判員だった60代の主婦は、家に帰ると仕事が山ほどあり、事件のことは考えないようにしていたという。しかし「夜中に目が覚め、被害者の気持ちを考えさせられた」と話した。
 29歳の男性は前夜、家族と過ごしたが、1人になると事件のことが浮かび、夜遅くまで起きていた。44歳の男性は、普段通りに妻と子供とで過ごし、なるべく裁判を家に持ち込まないように努めた。しかしテレビをつけると裁判のニュースが流れ、思い出してしまったという。

 ■判決を終え
 一夜開け、評議を経て出た結論は求刑通り懲役15年。裁判員の主婦は判決への感想を話した後、思い出したように「追加で言っていいですか」と切り出し、「被告と同じ環境の人間がたくさんいて、道を外れた人には真の友人がいないように思う。友だちを作れない人はどうしたらいいのか。それが私たち大人の課題ではないかと思う」と提起した。
 44歳の男性は「正直、ほっとしている。人を裁くということにかなり緊張したが、裁判官がみんなでしゃべれる環境を作ってくれた」。29歳の男性は「緊張がまだ取れない。帰ってから整理したい」と疲れた表情で語った。
 渋谷さんは「判決を出すことがこれほど難しいとは。『チームが考えた内容が彼に届いてほしい』との願いで一生懸命やったつもりだ」と話した。渋谷さんは地裁会見後の別の会見で思いがこみ上げて涙した。

 ■次の裁判員へ
 裁判員制度はスタートしたばかりで、今後、各地で裁判が開かれる。これからなっていく裁判員に対し、44歳の男性は「最後までやれば充実感がある」と話し、主婦も「裁判長や裁判官が私たちの視線で話してくれたので緊張しなかった。緊張せずに臨めると思うので頑張ってほしい」とエールを送った。
 29歳の男性は「今は騒がれているが、定着するまで時間がかかる。義務だと考えて責任感を持ってやってくれれば、常識になっていくのでは」との見方を示した。渋谷さんは「本当に重い仕事で、ストレスや精神的な疲れもある。(でも)一つの刑を言い渡すことは社会に対して小さくないメッセージを送られる」と話した。

 ◇地検「試金石になると思う」
 裁判を終え、地検と田嶋靖広被告の弁護人が相次いで会見した。
 地検の吉松悟検事正は「小規模な検察庁にとって初の裁判員裁判で自信はなかったが、リハーサルを繰り返して臨んだ。試金石になると思う」と話した。事件数が多かったため、いかに分かりやすく的確に裁判員に示すかに気を遣ったといい、犯行状況を法廷で詳しく読み上げた点については「手探りだったができる限りプライバシーなどに配慮し、犯行の悪質さを立証しようとした」と意図を語った。公判を担当した田野尻猛主任検事は「裁判員からは内容を理解してポイントを突いた質問があった。2日間、役割をしっかり果たしていただいた」と話し、最後は笑顔だった。

 ◇弁護側「被告の利益では課題」
 竹本真紀・主任弁護士は「性犯罪被害に対して、法律家が考えるより重く処罰すべきだという国民の気持ちが反映された」とし、弁護人の主張を考慮した上での判決で、主張が伝わらなかったとは考えていないとした。また、「裁判員裁判は弁護活動をする上で、事件を深く理解して分かりやすくしようとの意識付けになった」と感想を述べた。
 ただ被告は十和田市に拘留され、接見のために青森市から往復140キロを行き来しなければならなかったといい、「時間も限られ、被告の利益を考えると課題がある。制度を定着させるなら、支部でも裁けるようにするなど検討が必要だ」と提言した。【三股智子、山中章子】

 ◇傍聴人、意見さまざま「市民感覚反映」「刑軽減難しい」
 裁判を傍聴した人からは、被害者の意見陳述がビデオリンク方式で行われたことや判決の重さについてさまざまな意見が出た。

 県弁護士会の猪原健弁護士は判決について、「被害者の気持ちを最大限、すくってあげた結果だ。市民感覚が反映されたと評価してもいいと思う」とコメント。ビデオリンク方式に対しては「被害者は、裁判員に顔を見られて声も法廷に流れた。被害者保護が徹底されていない。傍聴人のいない場所で期日外に話を聴くなどの方法も今後、検討されるべきだ」と批判した。
 一方、一橋大法科大学院2年の松本吉広さん(34)=東京都小平市=は、「もう少し弁護人の意見を勘案した結果が出るかと思った。被害者の話を直接聞いた裁判員には、刑を軽くする判断は難しかったのではないか」と率直な感想を述べた。ビデオリンク方式については「被害者の表情なども重要な資料で、合理性があると思う。被害者のプライバシー保護に関してはそれなりに配慮されていると感じた」と話した。【鈴木一也、三股智子】

 ◇性犯罪取り上げ、時期尚早と指摘--ウィメンズ青森
 傍聴してきた青森市の女性保護団体「ウィメンズネット青森」は4日、県庁で会見し、佐藤恵子副理事長らは「性犯罪を裁判員裁判の対象にするには早過ぎる」と裁判に疑問を呈した。
 会見には鹿内文子理事長ら3人が出席。佐藤副理事長は「現段階でのプライバシー保護は最大限、行われていたと思う」と一定の評価をしたが、「犯行状況の詳細な描写や再現写真は必要だったのか。裁判員の男女比のバランスも取れていない」と指摘し、ビデオリンク方式については「ビデオは有効だったが、詳細を語ることで被害者の心の傷がさらに深くなる恐れがある」と指摘した。佐藤副理事長はまた、今後の裁判のあり方について「起訴事実を争う場合、被害者の負担はさらに増す。裁判員裁判の対象から外すケースも考えていい」と述べた。【鈴木久美】
(毎日新聞 2009年9月5日) 


以下は、東北をフォローする河北新報の社説です。


【社説】性犯罪と裁判員制/吟味しなかった訳考えて
河北新報 2009年09月06日日曜日

 新しい制度を設計する段階で、関係者は起こり得るさまざまな事態を想定して検討する。新制度が新たな弊害を生んだのでは元も子もないからだ。
 最高裁、法務・検察当局、日弁連の法曹三者の経験と、刑事法学者の専門的知識も集めて、裁判員制度はスタートしたはずだった。
 その吟味はどうやら不十分ではなかったかと、まだ全国で3件目の青森地裁での審理が問い掛けている。性犯罪を裁判員裁判の対象事件に含めてよかったのか、という問いでもある。
 本格的な検証が必要だ。最高裁は既に有識者懇談会を発足させ、政府の検証機関も近く設置される。3年後の見直しの重要な課題に位置付けてほしい。
 法曹の「経験知」や学者の「専門知」に、この問題がなぜ反映されなかったのだろう。性犯罪被害への理解が、わたしたちの生活の場からの視線も含めて、社会全体にまだ行き渡っていない表れではないか。そんな問題意識も深めたい。
 青森地裁で求刑通り懲役15年の判決が言い渡された被告(22)は2件の強盗強姦(ごうかん)罪などに問われた。裁判員裁判の対象になる性犯罪はこのほか強姦致死傷罪、集団強姦致死傷罪などで、これまでの統計からは対象事件全体の2割に上りそうだ。
 政府の司法制度改革審議会で10年前に始まった制度設計は、裁判員裁判の対象を「刑の上限が死刑または無期懲役」など重大犯罪という枠組みで議論した。5年前の裁判員法成立まで、性犯罪を含めるかどうかが個別の大事なテーマとして意識されることはほとんどなかった。
 被害者の名前、住所を明らかにしないで公判手続きが進められるようになったのは昨年、刑事訴訟法が改正されてから。被害者の情報が裁判員候補者には伝わらないように配慮を求めて、最高裁が各地裁に通知を出したのはことし6月だった。
 被害者保護の対応を促す中心になったのは、「ウィメンズネット青森」など全国各地の女性団体。最高裁をはじめ各地裁への要望を重ねている。
 裁判官だけでなく、裁判員にも被害の実態を詳しく知られてしまう。二次被害の拡大を恐れて、犯人の処罰をあきらめてしまう人もたくさんいる。この訴えは、やはり重い。
 対象からの除外のほか、被害者支援団体などからは、事件の詳細な内容を法廷で公開しないよう求める声が上がっている。
 改善にはなお工夫が要る。犯行の細部にある程度踏み込まなければ、悪質性や残忍さを印象付けるのは難しい。裁判員が刑の重さを判断する上での影響を考えなければならない。
 被告が否認している場合、あえて言い換えれば冤罪(えんざい)の可能性があった場合、検察、弁護側の論争は細部に立ち入らないわけにはいかなくなる。開かれた正当な裁判を受ける権利。被告の立場への目配りも欠かせない。
 遅かったかもしれないが、性犯罪被害者へのまなざしに変化が表れた。定着を急ぐべき変化と受け止めて、制度の改善に反映させていこう。
河北新報 2009年09月06日日曜日



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妻の体に触れたいのに(66歳男性)/性欲?関係欲?「触れたい欲」?(上野千鶴子さん)

2009-09-09 09:55:02 | ジェンダー/上野千鶴子
花たちの開花に追いかけられて、庭の草刈り。
秋明菊や萩、ヤブランが咲くのに、なんとか間に合いました(笑)。

 


朝日新聞beの〔悩みのるつぼ〕、先週の土曜日の回答者は、上野千鶴子さん。
相談者は、66歳の無職男性「妻の体に触れたいのに・・・・」。

7月4日の「性欲が強くて勉強できません」という相談と回答を読んで、
上野さんに、自分の悩みを聞きたくなったようです。
 
 「悩みのるつぼ」2~性欲が強くて勉強できません:
上野千鶴子「むずむずしたら自分でほぐしましょう」(2009.8.5)


ということで、66歳の男性の「性の悩み」と上野さんの回答を紹介します。

〔悩みのるつぼ〕
妻の体に触れたいのに・・・・
(相談者 無職男性66歳)
 
 7月4日の「悩みのるつぼ」の欄に若い女性の性の悩みの相談があり、多少ふらちな興味で読んでしまいました。
 ところで、私は66歳の無職の男性ですが、性の悩みは決して若い人だけのものではなく、自分にもあることがわかってきました。私の妻は62歳で、長男夫婦と孫3人の7人で、現在暮らしています。
 私たちの夫婦仲は普通だと思います。ですが、すでに性生活はありません。
 私にとって不満が残るのは、妻が自分の体に触れられるのを嫌がることです、一切を拒否されるので、我慢ができなくなるのです。
 年齢を重ねれば、夫婦生活がなくなっていくのは自然の成り行きだとは思っていました。ただ、私としては、時には妻の体に触れてみたいという、性欲のようなものが残っています。この思いはどうすることもできず、ほかにあたることかあったりします。
 といって、いまさら、外で処理しようとは考えられません。思うに、私のような悩みを持っている同じような境遇の男性、あるいは女性が結構いるのではないかと思います。ただただ我慢するしかないのが、今の私の悩みです。
 ちなみに私は男性機能はなくなっています。それなのに妻の体に触れたい気持ちを持つのが異常なのでしょうか。

----------------------------------------------------------
(回答者) 社会学者 上野千鶴子
 

 また回答者のご指名を受けました。うれしいことです。
 この広い世界で触ってよい異性がたったひとりとは、ご不自由なことですね。それというのもあなたがそういう契約でご自分を縛ったらこそ。「結婚とは、自分の体の性的使用権をたったひとりの異性に生涯にわたって譲渡する契約のこと」とわたしは定義しています。こんなことを部数800万部の全国紙に書けるようになるなんて、よい時代が来ました。
 ところで、あなたが触れたいのは、妻でなくてもかまいませんか、それとも妻でなければなりませんか? それによって答えは違ってきます。もし前者なら、契約を解除するか、もしくは妻に契約違反を許可してもらわなければなりません。妻の方も、あなたに触れられるのがイヤなだけでなく、あなたが他のすべての異性に触れるのがイヤなのでしょうか。これも聞いてみなければ分かりませんね。
 もし後者なら、これは性欲というより、関係欲というものです。性器挿入がなくても親密さを表現する手段としてのスキンシップはあってあたりまえ。あなたの側に妻に親しみたい気持ちがあって、妻の側にないとしたら、これは「片思い」というものですね(苦笑)。
 でも、もしかして、妻がそうなるにはそれ相応の理由が過去にあったのではありませんか?
 「妻が自分の体に触れられるのをいっさい嫌がる」関係を、「普通の夫婦仲」とは呼びません。夫婦ってこんなもんだ、と思うそんなあなたの鈍感さを、妻は嫌がっているんじゃありませんか?
 触れるのが親密さの証なら、まずあなたと親しくなりたいというサインを妻に送り、過去を反省して、妻と関係を結び直すことです。夫婦であることに胡坐をかいてはいけません。
 それともこれはたんに「触れたい欲」というものでしょうか。それなら解決策はかんたん。小さい孫だの、ペットの犬猫だの、ふわふわしてやわらかいものを身近において、思いっきりさわり倒し、抱きしめてあげてください。体温のあるやわらかいものをさわる楽しみを、女性は子育ての過程でたっぷり味わっています。赤ちゃんが生まれてから夫に触れたい欲望がなくなったという女性もいるくらいです。孫のお守りをすすんで引き受けてはいかが? 喜ばれますよ。
(2009.9.5 朝日新聞)



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話しは変わりますが、
家の西に回ったら、イチジク・バナーネがたくさん秋果をつけています。
ネットや枝に巻きついたヤブガラシを退治してすっきり。
 
昨日は、熟している実もいくつか見つけました。
  
バナーネは、夏果は世界一大きいイチジクとしても有名な品種です。
西洋種なので口が開かず、実も青いまま熟すので、
収穫時期がむずかしいのですが、秋果は糖度が高くて激甘。

まだ少ないので、そのまま食べてしまうのはもったいない。
ということで、
     ことし初物のバナーネで「生ハム巻き」を作りました。
     イチジクの甘さと、生ハムの塩分がマッチして、美味です。


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『冬の兵士―イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実』/アフガニスタンからの米軍の撤退を求める手紙

2009-09-08 08:02:30 | ほん/新聞/ニュース
朝の心地よい涼風で目が覚めた。
昨日は24節気の「白露(はくろ)」 、
「野の草に露が降りて白く見え、秋の趣がひとしお感じられるころ」。

8月20日過ぎ、京都にいる関係者から、刊行されたばかりの、
『冬の兵士―イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実』が届いた。

友人が、この本を訳した「平和をめざす翻訳者たち」のひとりということ。

さっそく読み始めたけれど、米軍の元兵士たちがイラクでしたことを証言し、
イラク攻撃を生き延びた被害者たちの証言もあり・・・、
という重く生々しい内容で、胸がいたくて、途中何度も本を置き、
すらすらと読みすすめることができなかった。

被害者はもちろん、加害者も傷つき苦しんでいる。
命を落とした犠牲者は、語ることもできない。

これが、戦争という「国家による暴力」の現実。
一人でも多くの人に読んでほしい本です。


『冬の兵士  イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実』
(アーロン グランツ (著), 反戦イラク帰還兵の会 (著),
TUP (翻訳)/岩波書店 /2009/8/19)

 上官は言った.「最初の殺しがナイフで出来たら,休暇日数を増やしてやる」.想像してほしい.息子が娘が友人が恋人が,このような状況におかれたら.そして,その状況に生きるしかないイラクの人びとを.占領の実態,軍隊の異常さ,自らの罪を証言し立ち上がった「冬の兵士」たち.いま,戦争を終わらせるための闘いがはじまる.

内容(「BOOK」データベースより)
二〇〇四年に発足した反戦イラク帰還兵の会(IVAW)。「イラクからの即時無条件撤退」「退役・現役軍人への医療保障その他の給付」「イラク国民への賠償」の三つを掲げて行動を開始したIVAWは、二〇〇八年三月、「冬の兵士」と題した公聴会を開催した。―多くの兵士が戦場の実態を告発した。その証言をまとめたのが本書である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
グランツ,アーロン
フリー・ジャーナリスト。2003年から2005年にかけてイラク国内から精力的に報道し、帰国後は退役軍人問題を取り上げてきた。プロジェクト・センサード賞、調査報道記者編集者の会フリーランサー特別研究奨励賞、カリフォルニア・ジャーナリズム賞の各賞受賞。現在、カーター・センターの精神衛生プログラム及びコロンビア大学教員養成大学の特別研究員も勤める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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書籍の訳者紹介から
TUP: Translators United for Peace(平和をめざす翻訳者たち)
TUP 結成は2003 年.市民反戦運動の一つの形態として海外ニュース翻訳(主に英語)や論説活動をTUP 速報として配信し続けてきた.「冬の兵士」公聴会はマスコミからは無視されたが,独立メディア運動を率いるパシフィカ・ネットワークが全米に同時中継.ほ どなく『デモクラシーナウ! ジャパン』でも放送されることになり,その字幕作りを担当したのがTUP と「冬の兵士」との出会いである.同年7 月4 日に,TUP 速報で「冬の兵士」シリーズの配信を開始.緊急出版された証言集の翻訳も担当することになり,20 名が取り組んだ.

翻訳:荒井雅子,安濃一樹,岩間龍男,川井孝子,金克美,佐野真紀,シェンケンフェルダー喜子,寺尾光身,萩谷良,パンタ笛吹,樋口淳子,福永克紀,宮前ゆかり,向井真澄,村津蘭,山根美緒
校閲:藤澤みどり
アラビア語アラブ文化監修:岡真理
軍事用語監修:山崎久隆
運営協力:坂野正明


Translators United for Peace
平和をめざす翻訳者たち


イラク、アフガン帰還米兵の証言集を和訳 「過去のことではない」--岐阜の岩間さん
毎日新聞 2009年8月16日(岐阜版)

 イラクやアフガニスタンから帰還した米軍兵士が08年3月に米国で開かれた集会で、戦場の実態や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を告白した証言をまとめた和訳本「冬の兵士-イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実」が18日、岩波書店から出版される。和訳に携わった岐阜市鷺山東、高校教諭、岩間龍男さん(55)は「兵士の証言は現在のことで過去のことではない。戦争と平和を考えるきっかけになれば」と話す。
 集会にはアフガニスタンとイラクから帰還した現役・退役軍人のほか兵士の遺族、イラク人の被害者ら約50人が参加。08年9月、米国で「冬の兵士」のタイトルで出版された。和訳には、岩間さんら国内外に住む16人が03年に結成した翻訳ボランティア「平和をめざす翻訳者たち」が「ぜひ日本でも出版を」と呼びかけ、約9カ月をかけて完成させた。
 大学時代にベトナム戦争について研究していた岩間さんは01年9月11日の米同時多発テロに衝撃を受け、「何らかの形で戦争を止める手助けがしたい」と考え、戦争に関する書籍の和訳をボランティアで担当してきた。
 同書では、帰還兵の自殺者が年間平均6500人にのぼり、米兵戦死者の約4000人をはるかに上回るとの米国議会での報告や、帰還後にPTSDに苦しんで自殺した米兵の遺族の証言などが紹介されている。岩間さんは「人間が人間を殺すために、兵士自身が自分を『間化』し、自殺にまで追い込まれている。目に見えない戦争の恐ろしさを知ってほしい」と訴えている。
 同書は18日から全国の書店で発売予定。価格は1995円(税込)。【山田尚弘】
毎日新聞 2009年8月16日


イラク帰還米兵が残虐行為で勇気ある証言『冬の兵士』を見た
渡辺容子 janajan 2009/02/28



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翻訳者のひとりであり、友人の寺尾光身さんからの、
「オバマ大統領への、アフガニスタンからの米軍撤退を求める手紙」を、
と呼びかけたメール(速報)を紹介します。

転送・転載歓迎。
民意が届くか試金石

9月4日付け朝日新聞朝刊によると、アフガン駐留米軍司令官のマクリスタル将軍が「戦況評価報告」でアフガニスタン戦略の見直しを示唆したことを受けて、ゲーツ米国防長官が米軍のさらなる増派を検討している、とのことです。
アフガン米軍、さらに増派も 国防長官「まだ初期段階」
朝日新聞 2009年9月4日11時11分

アフガニスタンでの米兵の戦死者が増えていますが、何よりもアフガニスタンの民間人の犠牲が急増しています。9月4日には空爆によってアフガニスタンの市民ら90人以上が死亡、と9月5日付け朝日新聞朝刊が報じています(asahi.comにはこの記事は出ていません)。

9月7日から始まる週にもオバマ大統領がアフガニスタン戦争を今後どうするか検討するという緊迫した情勢に対応して、アメリカのVoters for Peace が、アフガン戦争に反対し米軍の即時撤退を求めてオバマ大統領にいそいでメールを送ろうと、以下のメール発送サイトで呼びかけています。
Voters For Peace

大統領へのメッセージの内容に一部疑問はありますが(「アルカイダはもうアフガニスタンに残ってもいません」の部分)、そのまま紹介します。
なお、このメッセージは編集することができ、手紙のタイトル「私はアフガニスタン戦争に反対します」の趣旨に反しない範囲で、消去したり、自分の意見を書き加える(もちろん英語で)ことができます。

メール送信の手順は以下の通りです。

右側の上から半角ローマ字で打ち込む。
First Name*(名)
Last Name*(姓)
Email*(メールアドレス)
Street*(町)
Street 2(丁目、番地、他)←書かなくてもよい
City*(市)
State/Province*(州を選択)←チェックをクリックして一番下の
Other を選択
Zip/Postal Code*(郵便番号)←半角数字でハイフン「-」を抜いた7
ケタで(123-4567でなく1234567のように)打ち込む。
*印は必ず記入。

左の手紙の下の Send My Message!(メッセージを送れ)をクリック
すると送信されます。


本速報の転送・転載を歓迎します。

寺尾光身/TUP

=================
私はアフガニスタン戦争に反対します

オバマ大統領 様

私の理解では、スタンレイ・マクリスタル将軍がアフガニスタンでの戦況見直しを行い、すべての前線で作戦をエスカレートするよう強く求めています。

どうかマクリスタル将軍の助言を採用しないでください。作戦をエスカレートすれば、抜け出すことの困難な戦争の泥沼により深く合州国をはめ込むことになるでしょう。今こそ米軍を即時帰還させるよう政策転換する時です。

アメリカ人の過半数がこの戦争に反対しています。国民のすべての階層でそうなっています。ジョージ・ウィルのようないつもは軍事行動を支持している評論家たちさえ、抜け出す時だと言っています。ウィルが指摘しているように、「この戦争は二つの世界大戦に参加していた期間の合計よりも約50%長くなっています」。戦争がこのような年月続いたことが、アフガニスタン戦略として行った軍事行動の失敗を実証しています。

アメリカ合州国は必要のないこの戦争を遂行するためのお金を借り続ける余裕はありません。米軍は疲れ果てています。米兵たちは酷使され、この戦争を戦うエネルギーを持っていません。更に数万の兵士を追加すれば確実にアフガニスタンで勝利する、ということを保証できるものは誰もいません。マクリスタル将軍さえそんな約束はできません。間違ったこの戦争にこれ以上命と富を勝手に使わないでください。

アメリカ人は多くの理由からアフガニスタン戦争に反対しています。ですが、この反対の根源はこの疑問「私たちは何のために戦っているのか?」です。率直に言って、この戦争は無意味です。アルカイダはもうアフガニスタンに残ってもいません。アメリカ合州国が民間人を殺す時、ますます多くの敵を作りアメリカの安全を損なっています。アメリカがアフガニスタンに居座る毎日が、国の安全にとって逆効果になっています。

どうかアフガン戦争政策を考え直し、米軍を今すぐ連れ帰ってください。

敬具。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
原文:I Oppose the Afghanistan War
翻訳:寺尾光身/TUP
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
TUP速報
配信担当 古藤加奈
電子メール: TUP-Bulletin-owner@yahoogroups.jp
TUP速報の申し込みは:
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/
■『冬の兵士──イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実』
 (TUP翻訳、岩波書店、8/18発売開始)
http://www.tup-bulletin.org/
■TUPアンソロジー『世界は変えられる』(七つ森書館)
 JCJ市民メディア賞受賞!!
http://www.pen.co.jp/syoseki/syakai/0480.html
■『世界は変えられるII』も好評発売中!!
http://www.pen.co.jp/syoseki/syakai/0375.html


と書いていたところに、
関連の岡真理さんからの案内メールも届きました。

来る9月11日、京都出町柳のカフェ「かぜのね」で、
市民有志によるガザの朗読劇『The Message from Gaza
-ガザ 希望のメッセージ-』
を上演します。
ぜひ、この機会に、「肉声の力」をご体験ください。
以下、詳細です。

お知らせ
●*○*●*○*●*○*●*○*●*○*●*○*●*○*●
朗読劇 「The Message from Gaza
         - ガザ 希望のメッセージ-」
      9.11 at かぜのね             
 と き:2009年9月11日(金)
      開場 18:15 /  開演 19:00~20:30
     ※書籍やパレスチナの刺繍製品も販売いたします。
 ところ:多目的カフェ「かぜのね」 
        出町柳駅(京阪・叡電)より東へ進み、1本目の路地を下る
        (両駅より徒歩1分)。
      http://www.kazenone.org  075-721-4522
 出 演: 「国境なき朗読者たち」
 参加費:学生300円 おとな500円

※会場の都合により、参加ご希望の方は下記へご予約ください。先着25人。
 主 催: つばめクラブ
      メール keukmi@yahoo.co.jp / 電話 090-3286-0523 (あんどう)

◆◇ Why we wanna play? ◆◇
昨年暮れから1月にかけて、ガザがイスラエルに攻撃されました。
攻撃は日々、エスカレートし、ついには水をかけても鎮火せずに皮膚を焼き続ける白リン弾まで使われました。
150万もの人々を出口のない空間に閉じ込めて袋のねずみ状態にして一方的に破壊し殺戮する。
そんな信じられない攻撃にガザの人びとは3週間にわたり見舞われたのです。
1400もの命が奪われ、大勢の人々が傷つきました。
そうして初めて、私たちは、「ガザ」に出会った…。

ガザの住民の大半が難民たちです。難民となってこの61年のあいだに、彼らはパレスチナで、レバノンで、ガザで、まるでエンドレス・フィルムのように、繰り返しこのような破壊と虐殺を生き続けてきました。

破壊と虐殺のなかで、みずからの命を賭して、今、そこで起きていることを世界に知らせようとした人たちがいました。そこには、この現実を知れば、人は決してこんなことを許しはしないという思いがこめられています。それは、この信じがたい殺戮のなかにあって、それでもなお、人は決して他者の痛みを見捨てたりはしないというメッセージ、人間が善なることを、世界が善なることを信じる、希望のメッセージです。

「忘却が次の虐殺を準備する」――韓国のある詩人の言葉です。
あれから8ヶ月がたって、ガザはもう報道されません。
ガザは再び忘却の淵に沈もうとしています。忘却にあらがい、このエンドレス・フィルムに「ジ・エンド」の文字を刻むために、ガザから私たちに向けて発せられた希望のメッセージを聞きとどけたい、そんな思いでこの朗読劇を作りました。
その思いを多くの方と分かち合えれば幸いです。
(国境なき朗読者たち おか まり)

◆◇ Who is "国境なき朗読者たち"? ◆◇
09月8月13日、イラク帰還兵たちの証言集『冬の兵士』(岩波書店)
の出版記念朗読会(@かぜのね)に集い、「肉声の力」を体験した者たちから有志がふたたび参集。聴き手の想像力を借りて成立する「朗読空間」の魅力と可能性をもういちど体験し、深め合いたいと考えます。

◆◇ Another Event information ◆◇
イラク帰還兵証言映画『冬の兵士』上映+証言集会

09年9月21日(月・祝)開場6:20 開演6:30~9:00 1000
 ひと・まち交流館京都(大会議室)
 ピースムービーメント実行委員会  090-2359-9278(松本)



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自民党ネガティブキャンペーン:注目集めて票集まらず・・・?(09総選挙)/酔芙蓉が咲きました。

2009-09-07 10:56:31 | 選挙関連
二日ほど出かけていて、帰ってきたら酔芙蓉が咲いている。

咲きはじめは純白で、
時間とともに花色が赤く変化するので、酔芙蓉。
    
植えてから6年目くらいで株も背丈を越え、花も大きい気がする。
 

つぼみをたくさんつけているので、これから毎日、花を見るのがたのしみ。
  


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けさの毎日新聞記事に、前にわたしも紹介した、総選挙のときの
自民党ネガティブキャンペーンのことが取り上げられていた。

自民党HP(ネガティブキャンペーン)

タイトルは、「注目集めて票集まらず・・・?」。
不愉快で感じの悪いネガティブキャンペーンだったが、
やっばり多額の金を使った割には、効果は少なかった、という評価。

ネガティブキャンペーン:衆院選 自民党、注目集めて票集まらず…?
毎日新聞 2009年9月7日 東京朝刊

 「政権選択」を争点に民主圧勝、自民大敗に終わった衆院選。各党とも今回もインターネットを使ったPRに力を入れたが、中でも大きな注目を集めたのは、自民党が積極的に展開した民主党へのネガティブキャンペーンだ。米国では頻繁な選挙戦術の日本での効果を検証した。【岡礼子】

 ■「政治活動」と
 「僕に交代してみないか。子育ても教育費もOK、高速も乗り放題」--。鳩山由紀夫・民主党代表に似た顔の男性がささやく甘い言葉に、女性が「お金は大丈夫?」と不安げに応じるインターネットのアニメーション。そのあとに、「根拠のない自信に人生を預けられますか」とナレーションが続いた。
 自民党が公式サイトに開設した「日本の未来が、危ない」というコーナーで、だれでも閲覧できる選挙向けアニメCMの一つだ。鳩山氏似の男性が登場するアニメCMは3作あり、冒頭は「プロポーズ編」。動画共有サイトのユーチューブでは3本合わせて130万回以上、再生された。
 自民党はサイトに民主党批判のアニメCMとパンフレットをアップし、パンフレットは自由にダウンロードできるようにした。サイトでは「甘い政策で国民を欺き、本心をひた隠す民主党の実態」と厳しく批判。「労働組合が日本を侵略する日」「民主党には秘密の計画がある」などと不安をあおった。自民党は「これまでは自民党が批判を受ける一方だったので、民主党のおかしさを知らせるために始めた」(広報本部)と説明する。
 ネットの利用者に受け入れられている動画を取り入れるべきだとの声が自民党内から上がり、実写と合わせて制作を決めた。テレビCMに比べ、コストがかからないことも利点の一つだったという。05年の前回衆院選までは法定ビラ以外の文書配布を禁じる公職選挙法に配慮して、公示後はホームページを更新しなかったが、自民党は「総務省はネットを使った選挙活動は認めていないが、政治活動は認めている。政治活動の範ちゅう」と更新を続けた。

 ■低い好感度
 有権者はどう受け止めたのか。東京都内の投票所で聞いたところ、無職男性(66)は「非難するばかりじゃだめ」と厳しい。大学院生の男性(27)は「野党と逆転したみたい。ここまできたかと思った」とあきれた様子。このほか、「知らない」「(投票には)関係ない」といった声が目立った。主婦(37)は「若者向けに分かりやすくしていると思った」と話すが、好意的な意見は少数だった。
 ネットマーケティングを手がけるカティサーク(東京都)の押切孝雄社長は「セミナーで紹介すると、鳩山氏似の顔の登場人物がずっと出ているので、民主党のCMかと思ったという人がいる。政党を意識せずに見た人も多いのではないか。逆に民主党に注目を集める結果になったとも考えられる」と指摘する。
 これに対して、党内からは「選挙が終わってみれば結果は芳しくなかった」(広報本部)との声もあり、麻生太郎首相は先月31日の会見で「選挙戦で効果はあったか、なかったか。両方だ。一概に悪かったとも言えないし、一概によかったとも言えない。ネガティブキャンペーンを主にやって当選した人もいる」と述べるのが精いっぱいだった。
 民主党は泥仕合を避けて、取り合わなかった。

 ■「永田町学院小学校の太田くん」反響--公明「ユーモアで」
 公明党は今回、テレビCMをやめて、代わりにネットを重視する戦略をとった。同党ネット企画部によると、テレビCMは1本15秒と短い上に、コストがかかり何本も流せない。しかし、ネットは低コストで動画を流せ、見る人も関心を持って検索しているケースが多く、主張が届きやすいと考えた。「多くの有権者にとってネットが不可欠になっているので広く伝えられるのでは」という。
 「永田町学院小学校」のまじめな「太田くん」が登場する動画など、実写とアニメを含め16本を公開。ガラスを割った同級生が、やったのは誰かと問い詰められ「秘書が……」と言い訳するものが注目された。党ホームページのウェブムービー欄では、「太田くん」には、お坊ちゃま育ちで「マンガ好き」の同級生がいると紹介していた。動画は「マニフェストに掲げた『清潔政治を実現』を、ネット向けにユーモアを加味して表現したもので、ネガティブを狙ったものではない」。
 票に結びついたかどうかは検証方法がないが、党のホームページだけで計約100万回再生されるなど一定の効果はあったと分析。しかし、敗北を受け「次回のCM戦略は再検討したい」としている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 早稲田大大学院教授で、政策動画を掲載する「e国政」を運営する早大マニフェスト研究所長の北川正恭氏と、選挙プランナーで、コンサルティングを手がけるアスク社長の三浦博史氏に、今回の選挙のネット戦略について聞いた。

 ◇ネット戦略、進化これから--早大大学院教授・北川正恭さん
 最近の選挙ではマニフェストが重視され、企業や団体ではなく一般有権者に訴えなければならない。インターネットは伝達手段の一つになった。ネガティブなものもポジティブなものも、ネットを使ったキャンペーンは広がっていく。
 自民党のネットCMはその一つの兆しではないか。ネットの影響力にようやく気がついて、ネガティブキャンペーンに乗り出したのかもしれないが、戦略的なキャンペーンには見えない。マニフェストなどと合わせ、一貫したキャンペーンが打てれば、ネットCMも投票に結びつく。
 今回は、急に思いついてこわごわ展開したという印象で、ネガティブキャンペーンとしては中途半端だった。若干プラスになったかもしれないが、すでに政権交代の大波が来ていたこともあり、「さざなみ」程度の影響だったのではないか。もっとウイットが利いて格好いいとか「まいった」とひざを打つような内容なら、少しは違ったかもしれない。批判パンフレットの方はセンスが悪い。CMは毒にも薬にもならないが、パンフレットは毒になる。
 ネットを使ったキャンペーンはスタートしたところで、進化はこれからだとみている。ネガティブなものだけでなく、政策動画のようなポジティブなキャンペーンも、もっとうまくなっていくだろう。

 ◇信頼取り戻す努力が先では--アスク社長・三浦博史さん
 ネガティブキャンペーンの本質は、事実に基づいて相手を攻撃することで、別に悪いことではなく、日本でも普及しつつある。
 自民党は96年の衆院選で、当時野党の新進党に対して新聞広告で見事なネガティブキャンペーンを展開した。消費税3%の公約について、新進党がかつて増税論を主張していたことを揶揄(やゆ)してそれは成功した。しかし、今回は失敗だ。ネガティブPRで自民党の票はさらに減ったと思う。票田だった農林水産業や高齢者の支持を失っていたのに、信頼を取り戻す努力をせずに民主党を批判するのは戦略として間違っている。
 唯一、ネットのアニメCMは良かった。ネガティブであってもユーモアがあった。インターネット利用者に対しては、戦術を分けた方がいい。勤労者が多く、自民党の支持層は少ない。どちらかと言えば民主党が強いが、それ以上に圧倒的に無党派層が多い。そこでネガティブキャンペーンを展開しても自民党の票は減りにくい。ネガティブキャンペーン発祥地の米国では、選挙戦略に基づいたネット戦術があり、動画配信やブログによる口コミでネガティブキャンペーンを展開するケースが急増している。大統領選でも、候補者の行動を一つ一つ対比させ、勝たせたい方をほめ、負けさせたい方を批判する、という戦術をブログなどを使って無数に展開した。
毎日新聞 2009年9月7日 東京朝刊



北川さんの、「批判パンフレットの方はセンスが悪い。CMは毒にも薬にもならないが、パンフレットは毒になる。」は同感。
これって、選挙の鉄則なんだけど、マサカ!自民党は知らなかったの?!
それとも、あれでセンスがよいと思っていたの?
なら、負けるのは当然。

長年、組織型選挙にどっぷり漬かってきた自民党にとって、
ひょっとしたら、有権者に対して、ちょくせつ政策やメッセージをだす選挙は、
はじめてだったのかもしれない。

市民ひとりひとりに対してメッセージを発信する「市民型選挙」の手法を、
教えてあげたいものだ(笑)。


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なぜ自分たちか、まず胸に刻め(山口二郎さん)~政権交代 民主党で大丈夫か(朝日新聞)

2009-09-06 05:00:00 | ほん/新聞/ニュース
出先にいるので、予約投稿です。

9月3日の朝日新聞の「09政権交代 民主党で大丈夫か」に、
政治学者の山口二郎さんの長文の寄稿が載っていました。

紹介したいと思っていたら、山口二郎さんのブログに
全文がアップされていましたので、転載させていただきます。


09政権交代 民主党で大丈夫か 
なぜ自分たちか、まず胸に刻め


 国民自身の手によって政権交代が実現した。民主党が結成されてから十数年、この党が軸となる政権交代こそ日本の民主政治に不可欠だと主張してきた者としては、個人的にも感慨深い。
 民主主義とはそもそも革命の制度化であり、昨日の少数派が今日の多数派になるというダイナミズムこそ、民主政治の本質である。政策選択以前に、国民の手によって権力の担い手を入れ替えることは、それ自体が民主政治にとって不可欠である。自民党が時には権力から離れる普通の政党になれば、メディアも国民ももっと自由にものが言えるようになり、社会の風通しはよくなるに違いない。
 政策の全体的な方向付けについても、多様な観点からの議論が活発になり、国全体として環境変化に対する感受性や対応力が高まるはずである。
 しかし、無邪気に喜んでいる場合ではない。この勝ち方を見ていると、民主党政権について様々な不安が湧いてくる。
 最大の疑問は、民主党の議員が、国民が一票に託した思いを的確に理解しているかどうかである。国民は、自民党を罰するために民主党に投票したのであって、民主党に全面的な支持をしたのではない。その判断の根底には、単なる自民党政治に対する飽きではなく、過去数年の改革路線に対する否定的評価が存在している。
 親の経済的事情で学業を断念した若者の無念。介護に疲れて親を殺すことまで考える人の絶望。まじめに働いてきたにもかかわらず職を奪われた人の怒りと不安。
自民党政権時代に人間の尊厳を無視して顧みない社会が現れたことへの怒りが、責任などという言葉を平気で使う恥知らずの自民党を完膚無きまでに打ちのめしたのである。民主党の議員は、自分が誰を代表するのか、政治活動を始めるに当たって深く胸に刻むべきである。
 もし民主党政権が国民の窮状を救うことができなければ、国民はたちまち民主党に幻滅するであろう。そうなれば、今回の選挙に表れた国民の不満や怒りは、政党政治そのものへの拒絶に向かうであろう。メディアにおけるパフォーマンスだけが得意な怪しげな政治家が、既に出番をうかがっているのかもしれない。政権交代という好機を逸すれば、日本の民主政治はたちまちもっと大きな危機に陥ることを、
民主党は銘記すべきである。

    ■   ■
 政権交代の機会を生かし、政治の可能性を広げていくために民主党が何をすべきか、いくつかの提言と注文をしたい。
 第1は、統治システムの刷新である。民主党は、政治主導を唱え、政治家を100人以上、行政府に送り込むと言っている。その点に関して、私は形から入る政治主導の危うさを感じる。初めての与党経験に舞い上がった民主党の政治家が各省の指導的地位に就き、これ見よがしのパフォーマンスを行って大きな混乱を生む情景が目に浮かぶようである。機構や手続きをつくれば、ひとりでに政治主導が実現するわけではない。
 政治主導を実現するために何よりも必要なのは、政治家の意思である。更に、その意思の根底には、これから自分が取り組もうとする社会の不条理に対する怒りと憤りが存在しなければならない。かつてマックス・ウェーバーは官僚について、「怒りも興奮もなく」仕事を淡々とこなすところに本質があると評した。その官僚を使いこなす政治家には、逆に怒りや興奮が必要である。何かを実現したいという意思があって、初めて組織や人事における政治主導は意味を持つ。
 政治主導は行政官の排斥と同じではない。行政官はそもそも自分の持ち場で必死に仕事をする習性を持っている。今までその能力が無意味な事業に浪費されたのは、政治家が行政官に対して的確な役割をあてがってこなかったためである。
 また、行政官、特に中堅以下の人々は、自分の組織の問題点を理解しており、個人的に変革の志を持った人も多い。たとえば職員から大臣あてに手紙を書かせ、問題点をえぐり出すとともに、現場からの提案を募るなど、行政官の貢献を引き出すことも政治的手腕である。
 民主党は実体的な政策転換を急ぐべきではない。その前に情報公開によって統治システムを刷新することこそ、あらゆる政策形成の大前提である。
今、非核三原則をめぐる密約の存在が話題になっている。この種の二重帳簿を暴くことは、政権交代をテコにすることでしか実現できない。公共事業など予算が大きく動く分野には、様々な伏魔殿が存在する。昨年の道路特定財源をめぐる議論で、その一端が明るみに出たが、野党側からの追及には限界があった。
 あの時に鋭い追及をした有能な政治家をそのまま各省の要職につけ、その権力を行使するならば、伏魔殿の実態を明らかにすることができるはずである。最初の100日を集中的な情報公開期間と定め、積年の腐敗をえぐり出すことができれば、民主党政権に対する期待も高まるであろう。
 第2は、実体的な政策論議についての注文である。私は、今回の選挙においてマニフェストが大きな役割を果たしたとは思わない。国民がマニフェストを読み比べて民主党を選んだなどという神話を信じてはならない。世論調査によれば、民主党の政策各論について、必ずしも国民が高い評価をしているわけではない。
ということは、律義にマニフェストの項目を実現し、自分で合格点をつけるなどという発想をするべきではないのである。政権運営と試験勉強は違うのだ。
 数値目標だの財源だのを過度に強調すれば、政治家が本来持つべき構想力がしぽんでしまい、官僚の発想に近づくことになる。官僚批判が売り物の民主党にとって、何とも皮肉な現象ではないか。
 今の閉塞感を打破するためには、大きな社会ビジョンを提起することこそ、政治家の使命である。たとえば、従来の日本の社会保障制度や税制は、自民党政治家の保守的な家族観を反映し、父親が一定水準の給与を得て、母親は専業主婦として家族の世話をするというモデルを前提としてきた。経済の現実はこのようなモデルから離れて動いており、たとえば保育所不足という形で、実態と政策の乖離に多くの人々が苦しんでいる。
 政治家の仕事は、政策の前提となる家族像を転換し、多少賃金は下がっても夫も妻も働いて、家族の生活を支えるというモデルを示し、それを具体的に支えるような税制、社会保障制度、さらに介護、保育などの社会サービスの整備を構想するという点にある。
 社会保障に限らない。国土の姿、環境政策のあるべき方向。多くのテーマについて、21世紀にふさわしいビジョンを語ることが求められている。

    ■   ■
 この種の社会像を理解可能な形で提起するためには、政治家が生きた言葉で自らの理想を語らなければならない。新政権への期待が高いうちにビジョンを語ることはできるはずである。
 そのためには、少なくとも国会や国際会議での演説の原稿を政治家自身、および政治家が個人的に任命したスタッフが書くという原則を譲るべきではない。従来の政策との整合性、継続性などと官僚が口出しをしても、聞く必要はない。そもそも、この政権は政策を転換するためにつくったのである。政治家が遠慮してはならない。
 今回の政権交代を契機に、日本に本当の意味での競争的政党政治を確立する必要がある。民主党が単に自民党に取って代わって永続与党を目指すのでは、意味はない。大勝したばかりの民主党に
とって、自らが再び野党になった時のことを視野に入れて新しい政党政治の慣行、いわば21世紀の「憲政の常道」を作り出すことが、むしろ急務なのである。
 新しい「憲政の常道」は、次のような原理から成るべきだと考える。
 第1は、多数の専制に対する自制である。民主党が野党時代に、政府を追及しても、まともに質問に答えないまま審議時間だけが過ぎていく、という不満をしばしば聞いた。ならは、民主党政権の下では、野党のまともな質問には丁寧に答え、論戦を復活させなければならない。
 第2は、第1の点とも関連するが、野党を尊重することである。たとえば比例代表部分の定数削減という公約はむしろ棚上げにして、与野党で新たな議会政治の慣行づくりに取り組むべきである。
 第3は、批判的なメディアの自由な活動である。そもそもメディアは権力を監視し、批判することが本来任務である。権力を取れは、メディアの厳しい批判を受けることが運命だと、民主党は覚悟しなければならない。
 自民党が、深い反省の上に再び政権奪還に取り組む態勢を整え、政治の世界で多事争論が花開く時、日本の政党政治はようやく本物になるのであろう。選挙だけが民主政治ではない。国民の多様な参加が政党政治を鍛えていくのである。
-------------------------
山口二郎 
北海道大学教授(政治学)
58年生まれ。93年から現職。民主党を中心とした政権交代を訴えてきた。
日本政治学会理事長。
最近の著書に「内閣制度」「若者のための政治マニュアル」「政権交代論」など。
-------------------------
(朝日新聞2009.9.3)



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前にも山口さんのことは紹介しましたが、
関連で、山口二郎さんの著書の書評です。

ポスト戦後政治への対抗軸 [著]山口二郎
[掲載]2008年02月10日
[評者]小林良彰(慶應大学教授・政治学)

■透明なルールで「平等」の理念を再び
 小泉政権以降、国内の政策では平等の崩壊が進む。著者は、英国の政治学者クラウチが命名したこのような「ポスト・デモクラシー」という現象のなかで、なぜ西欧左派が政権を奪取でき、日本では政権交代が起きなかったのかという問いに答えようとする。
 19世紀から20世紀初頭の一定の要件を満たした少数者による議会政治という「プレ・デモクラシー」の時代を経て、20世紀後半には社会福祉や社会保障による平等化が進み、デモクラシーの最盛期を迎えた。
 しかし、90年代以降、経済のグローバル化による競争激化で終身雇用や企業年金などの企業内福祉が見直され、政府の財政悪化もあって社会全体が小さな政府へ向かった。その結果、平等よりも自己責任という名の「リスクの個人化」が横行している。
 英国労働党に代表される西欧左派は、公共事業で雇用を作り出す従来の方針を転換し、教育政策や労働政策で個人の能力を強化する方針に移行した。また、右派以上に経済競争や成長を重視し、英国保守党のような右派から政権を奪い返した。
 一方、日本では自民党が支持率を減らし続ける中でも、社会党が旧来型政策から転換できなかったと批判する。自民党主流派も社会党も「大きな再配分政治」という点では共通し、共にグローバル化や財政悪化という時代状況への対応が遅れたことになる。
 このため、市場原理を重視する新自由主義を指向した小泉改革だけが、旧来政治に対する唯一の対抗軸となり、一世を風靡(ふうび)した。
 これに対し、著者は新自由主義の結果、セーフティーネットや安定した老後設計が崩壊すると共に災害や環境破壊へのリスクが増え、民のモラルハザードも起きていると指摘する。そして、今こそ明示された財源と透明なルールを伴う再配分や公共セクターの信頼回復を目指し、「平等」の理念に立脚した対抗軸を創(つく)るべきであると訴える。
 小泉改革から距離を置きつつある福田自民党や小沢民主党の本質を考える枠組みを与える洞察力溢(あふ)れる書である。
    ◇
 やまぐち・じろう 58年生まれ。北海道大学教授。著書『大蔵官僚支配の終焉』など。 



で、民主党でほんとに大丈夫なのか?
~『政権交代論』山口 二郎著(評者:山岡 淳一郎)岩波新書、780円(税別)

nikkeibp 2009.6.2

 バクゼンと「政権交代したほうがいい」と感じている人は多いだろう。
 「小さな政府」を至上命題として規制緩和、市場開放路線を突っ走った小泉政権の負の遺産(医療崩壊、貧困の固定化、地方と中小企業の衰え、公教育の質の低下など)を清算するのは、小泉純一郎という「勝ち馬」に乗ってきた自民党には無理だろうとわたしは思う。自民党は、反小泉路線を明確に掲げた瞬間、変節漢の集団になってしまうからだ。
 しかし、現実にはリーマンショック後、小泉流の新自由主義は破綻した。「小さな政府」の権化だった米国にオバマ政権が誕生し、凄まじい財政出動をしている。この半年で、世界は変わった。
 日本は、環境や資源対策を前面に出した産業政策と、食糧と国土の安全保障に係わる農林水産業、人的資産を支える医療、介護、教育などの分野に集中的に資本投下し、社会の底力を鍛える段階にあると思うが、117億円もの「アニメ美術館」(お台場)建設費用を今年度補正予算に計上するなど、麻生政権はピンボケ状態である。自分の趣味でハコモノを造るのは、晩年にさしかかった政治家がよくやるパターンだ。
 なので、政権交代、と言いたいのだが……反射的に「民主党でほんとに大丈夫なのか」と懐疑の念も膨らむ。憲法、経済、社会保障、外交、どれをとっても民主党がまとまっているとはいえない。民主党が政権を取れば、「政党再編」は必須だろう。
 その結果、米国の共和党と民主党、英国の保守党と労働党のように政策の違いが対立軸として見える二大政党が生まれるのか、それとも烏合の小党分立となるのか……。
 本書は、著者が小沢体制での民主党への政権交代を支援した政治学者であることを割り引いても、頭を整理するのには、恰好のテキストだった。

「選ばれた独裁制」が社会を閉塞させる
 そもそも政権交代は、なぜ必要なのか? 一般には長期化した政権は腐敗し、官僚組織と一体化して暴走しがちになるので、それを防ぐため、といわれる。
 著者は、日本や英国のように下院(衆議院)で多数を占めた政党が内閣を組織する「議院内閣制」では、与党に立法と行政の権力が融合し、権力分立が働きにくいと記す。英国では〈議院内閣制がしばしば「選ばれた独裁制(elected dictatorship)」に陥ると言われている〉と紹介したうえで、本来、政党間で中立でなければいけない官僚機構をチェックするためにも政権交代が必要だと説く。
〈一九五五年以降の日本の場合、本格的な政権交代を経験していないので、官僚機構が異なった政治指導者に従順かどうかという意味での中立性が試されたことはほとんどない。しかし、官僚機構が自民党の持つ政治的志向性を内面化し、それを維持するために権力を振うという意味で中立性を自ら否定することは起こりうる〉
 わかりやすく言えば、官僚は自民党の族議員のもとには「ご説明」と称して、情報をせっせと届けにいくが、野党議員に対しては「呼ばれたら行く」程度である。明らかに自民党の「政治的志向性」に忠実だ。この自民党よりの権力意識は、検察や警察などが「権力を振う」とき、市民との衝突をも招くという。
〈……同じデモ行進でも、その主張の中身に応じて、戦争反対や貧困に抗議するといった現政権に批判的な運動であれば、厳しく規制されしばしば逮捕者が出る一方、燃油の高騰に抗議する漁民のデモのように自民党の支持者によるデモ行進は放任される〉
 著者は、日本流の「選ばれた独裁制」を批判しつつ、〈政権交代がない状態が当たり前となれば、その社会は社会主義国のように閉塞していく〉と警鐘を鳴らす。
 ここで「西松問題」が、ふと頭をよぎる。話はそれるが、考えてみてほしい。東京地検特捜部は、ある種の内部告発をきっかけに政治資金規正法違反(虚偽記載など)で小沢前民主党代表の公設秘書を逮捕、起訴した。検察の捜査は、政権をめぐる権力闘争と無縁といえるだろうか。この捜査には、いくつもの疑問符がつけられている。
 まず、本件は裏献金ではなく、政治団体からの寄付の事実が収支報告書に記載されている点。政治資金規正法で収支報告書への記載が求められているのは寄付行為者であり、資金の拠出者ではない。秘書がカネの出所が西松建設と知っていたからといって、それだけで「違反」と決めつけられるのか。
 違反とされても、罰則を適用するほど「悪質」かどうかは意見の分かれるところだ。同じ政治団体から多くの自民党議員にもカネは渡っており、収支報告書には西松建設が団体の所在地になっていた例もあったという。これを意識してか、漆間官房副長官は「自民党側は立件できない」といち早く予防線を張った。政治団体と西松建設が「一体」だったことは、政界では「周知の事実」ととらえる関係者も少なくない。公然の秘密を法律どおり処理していたとしたら、その悪質性をどう問うのか?
 今回の捜査は検察OBからも「検察の横暴」や「見込み違い」を指摘する声が上がっている。小沢前代表は、かねがね政権を取ったら与党議員を100人以上、行政府に入れると主張していた。そこには当然、検察も含まれる。民主党が政権を取れば、霞ヶ関に激震が走りそうだ。検察官僚に組織防衛の本能が働いたとしても不思議ではない。官僚にとっても、政権交代は驚天動地なのである。
 話を本題に戻そう。著者は英米の政権交代を解説し、1955年以降、なぜ日本に本格的な政権交代がないのか、と問いかける。(以下略)



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卵料理いろいろ冷凍/薄焼き卵、卵そぼろ、卵焼き

2009-09-05 07:10:47 | ひよこ育て/自然卵養鶏
ちょうど夕飯の秋刀魚の塩焼きを食べていたとき、
テルテルさんから、沖縄ガラスが届いた。


さっそく包みを開きました。素敵な赤のビードロ。
ありがとう! うれしいです。


おろし大根とゴーヤー炒めを盛り付けました。
ゴーヤーは、沖縄ガラスにぴったし、とひとりで満足。

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30羽ほどの鶏が卵を毎日産むようになったので、
まどかくんが手作りの産卵箱を新築。


鶏は安心できるくらいところで卵を産む習性があるので、
団地のように一部屋ずつ区切って、入り口にはえさ袋のカーテンも、

産卵箱の中は傾斜がつけてあって、産んだ卵は
汚れないうちにころころ転がって裏にたまります。

よく考えてありますねぇ(感心)。
わたしたちが育てていたときは、鳥小屋の中に入って、
鶏がはいる表から手を入れて、卵を集めていました。

8月中は初産み卵のお試し期間。

卵がたまってきたので、卵料理をたくさんつくって
冷凍保存してみることにしました。

調べてみたら、生卵は冷凍できるけれど、
ゆで卵を冷凍すると黄身は食べられなくなるようです。
砂糖を加えた液卵にすれば大丈夫とのことなのでやってみましょう。


まずは、錦糸卵用の薄焼き卵をつくることにしました。

薄焼き卵は、白身を多めに配分。
黄身は割りほぐして少し砂糖を入れて、次のヒヨコの育すう用に別に冷凍。
  
白身2対黄身1の割合。
銅製の卵焼き器に流しいれ、弱火でじっくり加熱。
  
ペーパータオルにはさんで水分と油分を取り、ラップで一枚ずつ冷凍。
  

定番の卵焼きもつくりました。
卵焼き一個に、5個の卵を使用。

ふだんは砂糖を入れないのですが、冷凍するときは、
少し味を濃くした方がよいので、だしと砂糖で味付け。
  
ラップに包んで冷めてから、一個ずつ切り分けて冷凍します。

次に作ったのは「卵そぼろ」。
15個の卵を割りほぐしてフライパンに入れ、

お箸4本で、焦げ付かないように弱火でかき混ぜて、
最後は余熱でぽろぽろに、卵そぼろを作りました。

炊き立てご飯にのせて、卵そぼろご飯。

ほんのり甘くておいしいです。
食べすぎてしまいそう。

薄焼き卵は解凍して、千切りの錦糸卵にして冷やし中華にのせたら、
白身が多めだったからか生より歯ごたえがあり味はgood。

冷凍できそうな卵料理だけにしましたが、
卵焼きとそぼろもおいしく食べられるでしょうか。
冷凍庫はいっぱいになりましたが、ちょっと楽しみです。


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原告団控訴へ「県民への背信行為」「納税者として控訴したい」~岐阜県庁の裏金・80億円返還請求訴訟

2009-09-04 10:22:21 | 岐阜県裏金問題
9月になって、陽がかげると、夕方はずいぶん涼しくなってきた。
5時ごろから2時間ほど、庭に茂った夏草を刈っている。
やぶ蚊がブンブンとつきまとうので、帽子に防虫ネット、手袋、長靴の完全防備。
秋の蚊はしつこくて閉口する。

    夕日に映えて萩のみどりが美しい。
    
夏の間、休んでいたランタナの花も復活。
  


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本題は、一昨日、一審の判決があった岐阜県庁ぐるみの裏金訴訟のこと。
地裁判決は「却下」だったけれど、納得できないので「控訴」します。

速報!判決は「却下」/「岐阜県庁裏金損害賠償履行請求住民訴訟」(2009.9.2)
 
中日新聞は、2日の名古屋の夕刊にも載ったと愛知の友人からの知らせ。
3日は、社会面にも県版にも写真入で詳報が載っていたが、webにないのでタイプしました。

以下に、新聞各紙の報道を紹介します。

【社会】岐阜裏金訴訟、住民ら敗訴 81億円請求を却下 
中日新聞 2009年9月2日 夕刊

 岐阜県庁の裏金づくりの責任は梶原拓前知事ら当時の県幹部にあったとして、住民約320人が古田肇知事に対し、約81億円を元幹部らに請求するよう求めた住民訴訟の判決が2日、岐阜地裁であった。内田計一裁判長は住民側の訴えを却下した。
 訴えたのは、市民グループ「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」の寺町知正代表ら。「裏金づくりを放置、容認し、何の調査もしなかった」として、梶原前知事ら歴代の副知事、出納長らの責任を追及。1986年度から20年間分の裏金の総額を計45億7000万円と算定し、遅延損害金などを加えた80億8500万円を、当時の幹部ら70人に損害賠償請求するよう古田知事に求めていた。
 県は裏金づくりについて「可能な限り真相解明に努めた」「住民監査請求を経ていないので、住民訴訟の要件を満たしていない」などと主張。返還すべき裏金の総額を19億1775万円と算出、すでに全額が返還されたとしている。
-----------------------------------------------------------------------
【社会面】住民らの賠償請求却下
岐阜裏金 地裁、適正と認めず
 
中日新聞 2009年9月3日

 岐阜県の裏金づくりの責任は当時の県幹部にあったとして、市民団体のメンバーらが古田肇知事を相手に、独自に集計した過去20年分の裏金など81億円余りの賠償を梶原拓前知事らに請求するよう求めた住民訴訟の判決で、岐阜地裁は2日、「適正な住民監査請求を経ていない」と訴えを却下した。
 地方自治法では、住民訴訟を起こすには、住民監査請求を経ることが必要とされる。住民側は2006年に県監査委員に同趣旨の請求をしたが、県による裏金づくりの不正行為を特定できないとして却下された。内田計一裁判長は、この監査請求について「個々の不正支出を具体的に示していない」などとして適正な請求と認めず、訴えの前提を欠くと判断した。
 原告は、市民グループ「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」の寺町知正代表ら住民320人余り。1986年度から20年間分の裏金の総額を計45億7000万円と算定。遅延損害金などを加えた80億8500万円を、当時の幹部ら70人に損害賠償請求するよう知事に求めていた。
 県側は、返還すべき裏金の総額を19億1775万円と算出。県職員やOBが既に全額を返還しており、不正行為を具体的に特定しなければ、訴訟は成立しないと主張していた。
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【岐阜県版】 裏金住民訴訟 「納税者の一人として控訴」
敗訴の原告団 「県民への背信行為」

中日新聞 2009年9月3日

 県の裏金づくりで、梶原拓前知事ら当時の県幹部の責任を問いかけた住民訴訟の原告団は2日、訴えを却下した岐阜地裁の判決について「裏金づくりは県民や国民全体に対する背信行為。素朴な納税者の一人として控訴したい」と語った。
 「現在の公務員やOBに反省してもらいたい」。市民グループ「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」の代表で、原告団の一人の寺町知正さん(56)=山県市西深瀬=は記者会見で訴訟の意図をあらためて強調した。
 裏金問題は、2006年7月に発覚。県は1992年度から12年間に捻出された裏金の総額を17億円とし、利息を含めた19億2千万円を、職員やOBが全額返還した。一方で、原告住民は返還すべき対象期間を遡り、20年間で計81億円余りと算定。裏金づくりを見過ごしてきた当時の県幹部らに損害賠償するよう古田肇知事に求めてきた。
 訴えにあたって問題となったのは、裏金づくりの不法行為を特定時ない点。カラ出張など個々の行為を立証する書類は保存期間を過ぎ、大半が現存しない。判決でも、その点を指摘され、訴え自体が不適当と判断された。原告代理人の山田秀樹弁護士は、「全く不可能なことをやれということか」と判決を憤った。
(中日新聞 2009年9月3日 )



住民側控訴へ~岐阜県の裏金訴訟
朝日新聞 2009.9.3

 県の裏金問題をめぐり、県民325人が梶原拓前知事ら当時の県幹部に、計約81億円を支払うよう古田肇知事に求めた訴訟で、2日の岐阜地裁の判決は、県民側の請求を全面的に退けた。「裏金は許せない」と訴える県民側は、控訴する方針を明らかにした。
 訴訟で県民側は、梶原拓前知事らが監督義務を怠ったために裏金づくりがなされたと主張。しかし、判決で内田計一裁判長は、行政訴訟の前提となる住民監査請求について、「個々の不正支出を具体的に示さず、適法でない」と述べ、訴訟そのものが不適法だと「門前払い」にした。
 県民側の山田秀樹弁護士は、判決後に会見し、「不正支出を裏付ける資料はすでになく、できないことを課す判決だ」と批判した。
(朝日新聞 2009.9.3) 



県の裏金問題:80億円返還訴訟 地裁、市議らの訴え却下/岐阜
◇「提訴に必要な監査請求経ていない」

毎日新聞 2009.9.3

  県庁の裏金問題で、寺町知正・山県市議ら県民325人が古田肇知事を相手取り、過去20年間の裏金と遅延損害金の計約80億円を歴代の県幹部に返還させるよう求めた訴訟の判決が2日、岐阜地裁であった。内田計一裁判長は「提訴に必要な監査請求を経ていない」などと訴えを却下した。
 原告側は「歴代幹部は裏金の存在を認識しており、適正な予算執行が確保されるように指揮監督すべき注意義務を怠った」として、「民法で損害賠償請求権がある過去20年間の裏金を全額返還する責任がある」と主張していた。
 判決は、裏金や幹部の退職金の返還を求めた住民監査請求が「個々の不正支出の対象を具体的に特定していない」と却下された点を指摘。適正な監査請求を経ていないとして訴えを不適法と判断した。
 ◇「納得できぬ」控訴の考え示す
 寺町氏は判決後の記者会見で「裏金作りは県民への背信行為。納税者の立場からみて納得できない」と話し、控訴する考えを示した。【三上剛輝】
毎日新聞 2009年9月3日 地方版
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県裏金訴訟…住民団体側の返還請求を却下
岐阜新聞 2009年09月02日14:21 

 2006年に明らかになった県の裏金問題に絡み、裏金がつくられたのは歴代の県幹部に責任があるとして、住民グループらが古田肇知事を相手取り、梶原拓前知事ら過去20年間の知事や副知事、出納長らに裏金計約80億円を返還請求するよう求める訴訟の判決言い渡しが2日、岐阜地裁であり、内田計一裁判長は原告の訴えを却下した。
 原告は、「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」(代表・寺町知正山県市議)のメンバーら県民325人。
 判決によると、原告は、前知事ら県幹部は予算執行の適正確保に注意、監督義務があったと主張。梶原前知事と歴代の副知事、出納長、監査委員の計約50人に、古田知事が民法に基づいた過去20年分の裏金の返還を請求するよう求めていた。
岐阜新聞 2009年09月02日
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岐阜県庁裏金問題の損賠訴訟、原告側が敗訴
読売新聞 2009年9月2日13時26分

 2006年7月に発覚した岐阜県庁の裏金問題を巡り、市民団体「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」(事務局=寺町知正・山県市議)のメンバーら県民325人が、古田肇知事を相手取り、梶原拓前知事や歴代の副知事、出納長、監査委員ら約80人に総額約80億8500万円の支払いを請求するよう求めた訴訟の判決が2日、岐阜地裁であり、内田計一裁判長は原告側の訴えを却下した。

 訴状によると、前知事らは予算執行の適正を確保するよう注意、監督すべき義務を怠り、裏金作りを容認し、県に損害を与えたとしていた。原告らは06年12月に提訴。請求額は、民法の損害賠償請求権の時効20年に基づき、1986年度から05年度までの裏金の推定額約45億円に利息や遅延金などを加えて算出した。
読売新聞 2009年9月2日



裏金返還訴訟で住民側敗訴 岐阜地裁「具体的でない」
47news 2009/09/02 13:51 【共同通信】

 岐阜県で2006年に発覚した県庁の裏金づくりは県幹部が監督を怠ったことが原因として、市民オンブズマンら住民約300人が古田肇知事に対し、約81億円を梶原拓前知事ら元幹部に請求するよう求めた訴訟の判決で、岐阜地裁は2日、住民側の訴えを却下した。
 内田計一裁判長は判決理由で「(住民側は)不正支出を個別的、具体的に示していない」と指摘した。原告側は控訴する方針。
 訴状によると、原告は民事請求権がある過去20年間で、利息を含めた裏金の総額は少なくとも約81億円と見積もった。1986年度以降の知事、副知事、出納長、監査委員の計約70人を返還請求の対象とした。
 知事側は答弁書で、個々の支出が具体的に示されなければ訴訟は成立しないと主張。「81億円という損害額も憶測にすぎず、請求には根拠がない」と棄却を求めた。
 原告の一部が起こした、20年間の知事ら特別職計10人が退職金計約3億1千万円を返還するよう求めた訴訟は8月、岐阜地裁で却下された。
(2009/09/02 【共同通信】)



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性犯罪を審理する裁判員裁判に異議あり/全国初、青森地裁/男女「5対1」波紋

2009-09-03 13:41:12 | ジェンダー/上野千鶴子
東北地裁で全国初の性犯罪を審理する裁判員裁判が始まった。

昨日、テレビを見ていたら、5人が男性で女性が一人だけ、
という裁判員の構成に「えっ」とおどろいた。

        

        

       

性犯罪を裁くのに、男性が多いというのには違和感がある。
というより、わたし自身は、被害者保護の立場から、
「性犯罪審理に裁判員裁判はなじまない」と思っている。

と思っていたら、今日の毎日新聞に「性犯罪審理 男女「5対1」波紋の記事。


 裁判員裁判:性犯罪審理 男女「5対1」波紋
毎日新聞 2009年9月3日

 全国で初めて性犯罪を審理する青森地裁の裁判員裁判は、6人の裁判員の構成比が男性5人、女性1人となった。選任手続きに出席した裁判員候補者34人から抽選した結果だが、女性被害者が圧倒的多数の性犯罪事件で、男女比が偏ったことは、さまざまな議論を呼んでいる。
 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「性犯罪は性差で受け止め方が違う。被害者、被告とも、どこまで理解してもらえるか不安だろう。性犯罪は裁判員裁判の対象から外すか、被害者の意向を聞く選択制にすべきだ」と話した。
 1例目の東京地裁(殺人)の裁判員は女性5人、男性1人(審理途中で体調を崩した女性裁判員が男性の補充裁判員と交代)。さいたま地裁(殺人未遂)は6人全員が男性。いずれも男女比が偏っており、3例目の今回でも同様のケースが起きれば、判決に影響するのではないかという懸念が出ていた。
 だが、一橋大法科大学院の村岡啓一教授(刑事法)は「裁判に市民の常識を反映させる意味では、男女比にこだわるべきではない」と指摘。「東京とさいたまで、男女比が偏ったからといって、(判断に)アンバランスが生じているとは考えられない」と述べた。また、アジア女性資料センターの本山央子事務局長は「女性だから性犯罪被害者の気持ちが分かるわけではなく、個人の理解力の問題。男女比を指摘する前に、性犯罪事件の被害者に対する偏見をただすことが大切」と訴えた。【山本佳孝、喜浦遊】
毎日新聞 2009年9月3日
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裁判員裁判:性犯罪で初 「デリケートな事件」 不安訴える声も/青森
毎日新聞 2009年9月2日 

 ◇選任手続きに34人参加
 性犯罪事件で全国初となる青森地裁の裁判員裁判。1日の裁判員選任手続きでは、6人の裁判員と3人の補充裁判員が選ばれた。呼び出し状が地裁から届き、選任手続きに足を運んだ人たちは「人の人生を左右する判断はできない」と不安を漏らし、「人生の経験」と期待し、「控訴されれば裁判員の判断は意味がなくなる」と制度を疑問視する声を漏らし、市民参加の裁判制度を前にしてさまざまな意見や思いを交錯させていた。初公判は2日午前10時からある。【山本佳孝】
 呼び出し状を受け取ったうちの34人の候補者が午後0時半ごろ、ネクタイにワイシャツの正装や、ジーパンなどラフな格好などをして次々と姿を見せた。地裁前には大勢の報道陣が集まり、避けるようにして足早に建物に入る人もいた。
 選任手続きは午後1時半に始まり、見込み通り午後4時ごろに終了した。
 十和田市の損保代理店部長、松田満さん(53)は選任手続きに入る前、「性犯罪事件はデリケートだ。普通に被害者女性の顔を見ることができるだろうか」と不安な心境を話していた。松田さんは結局、裁判員を選ぶ抽選で漏れ、「無差別に選んでいるから仕方ない」と話した。
 野辺地町の無職の女性(69)は選任手続き前、「あまりよく分からずに来てしまった。すごく不安」とし、「理由もなく欠席すると過料もあり、負担になるから」と地裁に来たわけを話した。女性はまた、「人の人生を左右する判断ができるだろうか」と曇った表情で話していた。
 一方、八戸市尻内町の会社員、田名部渉さん(23)は上司と相談して「裁判員休暇」をもらったといい、手続き前に地裁前で「ここまで来たらやってみたい」と積極的だった。
 田名部さんは結局、裁判員に選ばれず、「滞在時間が長くて疲れた」と話したが、「今、選ばれなければ何年後か分からない」と残念そうだった。裁判員制度については「自分たちで決めても控訴されれば判断が変えられる可能性がある。正直、どこまで意味があるのかと思う」と疑問も呈した。
 また、辞退を要求して認められたという津軽地域のサービス業の男性(48)は「会社が忙しかった」と話していた。

 ◇「人権侵害の制度」 市民団体、廃止訴え--地裁前
 青森地裁前ではこの日、弁護士や市民団体の関係者ら約10人が、「人権を侵害する制度だ」などとして裁判員制度の廃止を訴えた。
 メンバーは8月に東京地裁であった全国初の裁判員裁判などでも反対の声を上げており、この日も署名を募ったりビラをまくなどし、マイクで「多くが反対している制度をなぜ続けるのか。人権やプライバシーが侵害される」と訴えた。
 東京都江東区から来た金沢良昌さん(62)は「性犯罪を裁く際に被害者の個人情報が市民にさらされる恐れがある。被害者も裁判員裁判を望んでいないのではないか」と話していた。
 2日午前11時には青森市柳川1の市民ホールで、市民団体「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」が制度に反対する勉強会を開く。講師は東京弁護士会所属の高山俊吉弁護士。無料。【鈴木久美】
==============
 ◆候補者の話◆
 ・田名部渉さん(23) 八戸市の会社員
 (待ち時間は)自由で、お茶を飲んだりたばこを吸いに行く人もいた。裁判所から特急券代が出ないので交通費はマイナスになる
 ・男性(48) 津軽地域の会社員
 「仕事が忙しく人繰りがつかない」と言ったら辞退が認められた。選任手続きに来るのがおっくうだった。若い人が少ない印象だった
 ・松田満さん(53) 十和田市の自営業
 負担だったのは時間と距離。移動時間がもったいない。裁判員選任の日と公判の日を分けたのはいいと思う。待っているときに居眠りしている人もいた
 ・男性(50) 三沢市の会社員
 私はあまり物事を深く考える人じゃないので、選任手続きで漏れてほっとしている。私より賢そうな人がいっぱいいた
毎日新聞 2009年9月2日 


今日の新聞各紙の、青森で行われた裁判員裁判の記事を読んで、 
性犯罪事件は、裁判員裁判からはすずべきだという思いを強くした。


余談だけど、前に高村薫さんが中日新聞に、裁判員を取り入れるなら、
税金の使い道を正す住民訴訟から、と書いていたけど、まったく同感。
昨日の、市民感覚からかけ離れた不条理な裏金事件の判決を見ると、余計そう思う。

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以下は、青森地裁の裁判員裁判の審理の様子です。

再現詳細、嫌悪感も 裁判員、性犯罪初の審理

 「被害者の名前を絶対に口にしないように」。小川賢司裁判長が冒頭、被告にくぎを刺した。全国で初めて性犯罪が審理対象となり、青森地裁で2日始まった裁判員裁判。公判初日から、地裁や検察側は随所で被害者の女性のプライバシーに配慮を見せた。一方で、検察側は強盗強姦(ごうかん)罪を立証する以上、詳しい状況も法廷で明らかにせざるを得ない。一般市民から選ばれた裁判員は露骨な表現に面食らい、嫌悪感を示す場面も見られた。
 小川裁判長が被告に注意を促したのは開廷直後。「被害者の名前はAさん、Bさんと呼ぶ」とも告げ、プライバシー保護を理由に挙げた。性犯罪を審理する公判で地裁や検察、弁護側が被害者情報を秘匿するのは一般的だが、被告が漏らしてしまうケースもあり、積極的に意識付けを図ったとみられる。
 検察側も被害者保護に腐心した。個人情報を伏せるだけでなく、証拠調べで被害者に関する内容を朗読する際も「プライバシー保護のため(傍聴席から見える大型の)モニターの映像を消してください」と何度も地裁職員に要請するなどした。
 被害者の自宅周辺の地図が一時的に映し出されるトラブルもあったが、法廷では最大限の被害者保護が徹底された。
 ただ、裁判員らの前に置かれたモニターはついたまま。検察側は事件発生時の細かい状況を読み上げて立証に力を込める。裁判員はモニターで性犯罪の再現写真を見せられ、被害者の体験を詳細に聞かされた。
 裁判員の男性の一人は検察側の立証中、額に浮かんだ汗を手でぬぐい、落ち着かない様子。別の男性裁判員も鼻の下を手で覆い、つらそうな表情を見せた。
 「ただただ早く終わってほしかった」という被害者の調書が朗読されると、裁判員の女性は検察官を見て何度もうなずいた。
 「当初は窃盗目的で被害者方に侵入した」と主張している被告に、女性は「なぜ被害者が帰宅した時に逃げなかったのか」と質問。「逃げていたら、こんな悲惨な事件にならずに終わったと思う」とも述べた。

◎手錠・腰縄姿見えず 地裁先行2例より配慮進む
 青森地裁で2日始まった全国3件目、東北で初の裁判員裁判では「有罪判決確定までは無罪と推定する」「裁判所は白紙の状態で公判に臨む」という刑事裁判の原則を徹底するため、先行2件の裁判より一歩進んだ配慮が見られた。
 報道機関による裁判官3人の法廷内撮影後、3人は退廷。刑務官に付き添われ、手錠・腰縄姿の被告が入廷すると、裁判長が別室から内線電話で書記官に手錠や腰縄を外してもらうよう指示した。解錠された被告は弁護人の隣の席で、裁判官と裁判員の入廷を待った。
 東京地裁で8月にあった全国初の裁判員裁判では、裁判員と陪席裁判官は被告の入廷前に別室で待機したが、裁判長は初めから施錠された被告の姿を見ており、一部の弁護士が「中途半端な方法だ」と指摘していた。
 今回、入廷する被告の手錠は紺色の布で覆われ、腰縄はスーツの上着で隠れていた。いずれも傍聴人には見えず、地裁の配慮がうかがえた。

◎「被害者情報流出なお懸念」「保護の概念とは対立する」/傍聴した専門家ら指摘
 全国で初めて性犯罪事件が審理された2日の青森地裁の裁判員裁判。傍聴した中京大法科大学院の柳本祐加子准教授(ジェンダー法)は「被害者のプライバシーを守る努力は感じた」と地裁の公判運営に一定の評価を与える一方、「性犯罪を対象事件から外すべきだという思いは変わらない」との考えを示した。
 柳本准教授は理由として「法廷で事件を詳しく述べることで、傍聴人が被害情報をインターネットなどに掲載することも懸念される」ことなどを挙げた。
 裁判員6人が男性5人、女性1人の構成になったことにも触れ、「あらゆる市民の視点を入れることが必要で、裁判員の性別のバランスも考えるべきだ」と強調。裁判員選任手続きに疑問を投げ掛けた。
 刑事弁護に詳しい猪原健弁護士(青森県弁護士会)も傍聴。「裁判員が審理するためには、リアルな情報が必要。ただ、被害者が見ていたらとても耐えられない情報で、被害者保護の概念とは対立する」と指摘した。
河北新報 2009年09月03日木曜日



裁判員裁判:5裁判員が被告に質問 青森地裁
毎日新聞 2009年9月2日

 全国で初めて性犯罪事件を審理する裁判員裁判の公判が2日、青森地裁(小川賢司裁判長)で始まった。被害者のプライバシー保護が注目されたが、検察側は名前を「A」「B」と表現し、年齢を伏せて起訴状を朗読。また、男性5人、女性1人の裁判員のうち、5人が被告の心境や証言内容を質問した。補充裁判員は男性1人、女性2人。3日は被害者が別室からモニターを通して意見陳述し、論告求刑と最終弁論を行って結審する。4日午後に判決を言い渡す。
 審理対象は住所不定、無職、田嶋靖広被告(22)。09年にアパートで女性に性的暴行を加え現金約5万円を奪うなどした2件の強盗強姦(ごうかん)罪を含む四つの事件で起訴されている。
 検察側の起訴状朗読にあたり、小川裁判長は「被害者保護のためAさん、Bさんとして住所と年齢は読みません」と田嶋被告に説明。起訴内容を「間違いありません」と認めた田嶋被告は、小川裁判長に「法廷では被告も(被害者の)名前を口にすることは絶対にしないでください」と注意され、うなずいた。
 被告人質問では、女性裁判員が、不在時に部屋に侵入した06年の強盗強姦事件に触れ、「Aさんが帰って来た時になぜ逃げなかったのか」と聞いた。田嶋被告が「足がすくんで動けなかった」と答えると、「窓から逃げていれば(被害者は)凄惨(せいさん)な事件に遭わなかったんじゃないか……」とつぶやいた。
 また、傍聴席から見て右端の男性裁判員は「最初は人と接触することを避けていたが、Bさんの事件では人がいると分かっていて家に入った。心境の変化は」と質問。「葛藤(かっとう)があったけど(借金の)支払いをしなければならず、悪い方向に決断した」という答えに、「支払いを優先したということですね」と念を押した。【鈴木一也、坂本太郎、銭場裕司】

 ◇検察側、事件の内容を詳細に説明
 公判で検察側は、被害者のプライバシーに配慮して名前や年齢を伏せたが、事件状況については被告や被害者の供述調書を読み上げるなど詳細な説明をした。被告の悪質さを示すには一定の説明は避けられないが、裁判員制度の「口頭主義」と、被害者保護のバランスの難しさが浮かんだ。
 従来の裁判は書面審理が中心。事件によっては、裁判官は膨大な書面を読む必要があったが、法廷の場では供述調書の内容などは要旨だけが読み上げられるケースが多かった。しかし、裁判員裁判では、一般市民が書面を読み込む負担の軽減と審理期間の短縮を図るため、「法廷で見て聞いて分かる立証」を原則としている。
 検察側は証拠説明で再現写真などを示す際には、傍聴席から見える大型ディスプレーの電源を切断。被告の供述調書の読み上げでは一部を省略し「調書の写しをご覧ください」と説明したが、性的暴行の内容については詳述した。
 傍聴した中京大法科大学院の柳本祐加子准教授(ジェンダー法)は「供述調書をそこまで読み上げる必要があるのか」と疑問を投げかけた。ネット上に流出する可能性も指摘し「警察に届け出ない人がますます増えるのでは」と懸念した。
 青森地検の吉松悟検事正は「被害者には、やむを得ないことだと納得してもらっている」と説明。ある刑事裁判官は「検事から『犯人を重く処罰するために必要です』と言われれば被害者は嫌と言えない。『こんなに詳細に語られるとは思わなかった』と感じた可能性はある。ただ、証人尋問で本人の口から語らせるよりは良かったかもしれない」と話した。【喜浦遊、鈴木久美】
毎日新聞 2009年9月2日 22時31分




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速報!判決は「却下」/「岐阜県庁裏金損害賠償履行請求住民訴訟」

2009-09-02 13:52:41 | 岐阜県裏金問題
速報です!

きょう午後1時5分から岐阜地裁で、岐阜県の裏金80憶円の返還を求めた
「岐阜県庁裏金損害賠償履行請求住民訴訟」の判決言い渡しがありました。

判決は「却下」。
いわゆる「門前払い」です。





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1時半から岐阜県弁護士会館で、弁護団事務局の山田秀樹弁護士と、
原告団代表の寺町知正さんによる記者会見がはじまっています。





山田弁護士の説明によると、判決は、
「不適法な監査請求。適法に監査請求を経ていない。
だから、却下」とのこと。



「とても納得できないので、原告団は控訴の方針。
弁護団も控訴したい。」

詳細はあらためて、報告します。

追伸:翌日の新聞各紙の報道です。
原告団控訴へ「県民への背信行為」「納税者として控訴したい」
~岐阜県庁の裏金・80億円返還請求訴訟(2009.9.4)



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新型インフルエンザには「麻黄湯」が効く?/重症化防止のために/新型インフル関連本も紹介

2009-09-02 10:43:30 | 健康/くらし/薪ストーブetc
けさのNHK「生活ホットモーニング」をみていたら、
「新型インフルエンザQ&A」をやっていた。
かなり感染が広がっているのだろう。

総選挙が終わったら、次は新型インフルエンザの話題が沸騰するだろうと思って、
わたしも昨日久しぶりに岐阜県図書館に行って、借りてきた関連の本を読んだところ。

今回の豚インフルエンザ(H1N1)の本は、6月に出たばかり。

       
『豚インフルエンザの真実―人間とパンデミックの果てなき戦い
(外岡立人著/幻冬舎新書) 』


『Xデーにそなえる新型インフルエンザ完全対策ブック』は、1月に「本よみうり堂」のブログでも紹介されていた。
       

 『Xデーにそなえる新型インフルエンザ完全対策ブック』(岡田晴恵)
本よみうり堂 2009年1月26日

 ちまたでは11月末頃からインフルエンザが流行してきておりますが、みなさんは対策の方はいかがでしょうか?
 今年のインフルエンザは例年に比べパワーアップしているようで、治療薬のタミフルの利かない種類が発生してきたりと、一筋縄ではいかない様子。
  その一方で、最近では混合予防接種など様々な医療技術が発達してきており、今年のような流行が絞れない年でも有効なワクチンも開発されてきてはいるようです。
 しかし新型のインフルエンザとなると話は別。
 有効な治療薬がないとまで言われ、最悪大流行すれば国内で64万人が死亡するのではと言われている最強ウイルス。
 中国などの感染例のニュースを見る機会も増え不安は募るばかりです。
 流行しなければそれにこしたことはありませんが、その際に役に立つのがこの1冊。
 予防法から発病の際の対応策。指定病院なども記載されております。
 万が一に備えて一度読んでおいてはいかがですか?
 願わくは、このインフルエンザが大流行しないことを祈るばかりです。
(文教堂R412店 会田正臣)
出版社:朝日新聞出版
書名:Xデーにそなえる新型インフルエンザ完全対策ブック
著者:岡田晴恵  定価:1260円(税込み)


前に紹介した、『H5N1型ウイルス襲来』の岡田晴恵さんの本だけど、
こちらは実践編で具体的な対策などが書いてあってとても読みやすい。

       
『H5N1型ウイルス襲来 新型インフルエンザから家族を守れ! 』
(岡田 晴恵/角川SSコミュニケーションズ/2007)



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本を読んだだけで「対策はばっちりで安心」、というわけにもいかず、
新型インフルエンザにかかってしまったときにはどうするのか?

すぐに医者に診てもらえればよいのですが、10月には2500万人が罹患するといわれ、
患者が殺到して、医療機関の機能が麻痺することも考えられます。


5月にも紹介しましたが、週刊朝日に「新型インフルエンザは漢方で治る」の記事が載っていて、
漢方薬の「麻黄湯(まおうとう)」はタミフルと同じくらいの効果があるらしいのです。

インフルエンザに麻黄湯? - 教えて!goo

最新!57年以前生まれに免疫か/「弱毒性」ならではの対策/
漢方で治る/新型インフルエンザ(2009.5.21 )


ということで、さっそく買ってきました「麻黄湯」。



探したらバローに併設している三共薬局においてあり、
売り切れるといけないので、多めに購入。

麻黄湯(マオウトウ)/漢方薬

ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用)
【効能又は効果】
悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症
:感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難


ほんとは、効能に「インフルエンザ(初期のもの)」と書いてあるツムラの麻黄湯がほしかったのですが、
こちらは、医療用なので薬局では手に入らないみたい。

風邪の初期症状には「葛根湯」が有名ですが、
こちらはインフルエンザには効果がないようなので、
インフルエンザ?と思ったら、「麻黄湯」のほう。
これで、急な発熱に対応できそうです。

ちなみに、わたしは、
喘息の発作がおきたときの頓服に、秒単位で「すぐ効く」ということで、
「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」を処方されていたのですが、
こちらにも「麻黄」が入っていて、少しは効果があるようです。

わたしは、咳に効く漢方薬「麦門冬湯」を飲んでいるときに、
ひどい咳がでて呼吸が苦しくなり、たまりかねて頓服として「麻杏甘石湯」を飲んだあとに、
救急外来を受診したら、「血圧と脈拍」が異常に高くなっていました。
その後、「発作性の高血圧」ということで、検査と治療をしていましたが、
甘草を含む漢方薬を立て続けに飲んだことによる、
「偽アルドステロン症」だったのではないかと疑っています。

麻黄にはA型インフルエンザウイルスの増殖を抑制し
免疫増強作用の報告も数多いのですが、小児の安全性は確立されていません。
「麻黄湯」にも甘草が配合されているので、「偽アルドステロン症」の副作用もあり、
甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは注意が必要。

とはいえ、
わたしは呼吸器が弱くて(今はおさまっていますが)喘息もあり「高リスク群」、
やっぱり新型インフルエンザに罹るのはこわいのです。
かからないように最新の注意をしていても、万一感染したときには
まず「麻黄湯」を飲んで、それから医療機関に対応を相談しようと思っています。

漢方薬は副作用が少ないと思われていますが、一般に
効果が強いものほど反作用も強いのです。
漢方薬には、「証」があって、「麻黄湯」は実証の人にはよいのですが、
虚証の人には合わないといわれています。
使う際には、じゅうぶんな注意が必要です。


タミフルは医師の処方箋薬で備蓄しておくわけにはいかないので、
今度は「麻黄湯」が薬局から消えるかも知れませんね(笑)。

以下は、「麻黄湯」関連の記事です。

漢方「麻黄湯」、インフルにタミフル並み効果…福岡大病院
(2009年5月8日 読売新聞)

 インフルエンザの治療に漢方製剤の麻黄湯(まおうとう)を使うと、抗ウイルス薬のタミフルと同じ程度の症状軽減効果があるという研究結果を、福岡大病院の鍋島茂樹・総合診療部長らが明らかにした。
 新型インフルエンザへの効果は未確認だが、タミフルの効かない耐性ウイルスも増える中、注目を集めそうだ日本感染症学会で4月に発表された鍋島部長らの研究は、昨年1月~4月に同病院を受診し、A型ウイルスを検出した18~66歳の男女20人の同意を得て実施。うち8人はタミフル、12人は麻黄湯エキスを5日間処方した。ともに発症48時間以内に服用し、高熱が続く時は解熱剤を飲んでもらった。
 服用開始から平熱に戻るまでの平均時間は、タミフルが20・0時間、麻黄湯が21・4時間でほとんど違わなかった。解熱剤の平均服用回数はタミフルの2・4回に比べ、麻黄湯は0・6回と少なくて済んだ。
 麻黄湯のインフルエンザへの効能は以前から承認されており、健康保険で使える。



タミフル代わりに使える漢方薬か
麻黄湯に注目集まる、解熱効果でタミフル上回る報告も

日経BP 2007. 3. 29
野村 和博=日経メディカル

 タミフルの処方を控える医師が増えている中、にわかに漢方薬の麻黄湯(まおうとう)が注目を集めている。麻黄湯にインフルエンザの適応があり、しかもタミフルとの比較試験で優位性を示すデータも報告されていることは、意外と知られていない。タミフルの服用を避けたいという患者のニーズに応えるには、リレンザやアマンタジンだけでなく、麻黄湯も選択肢に入れてもいいかもしれない。(以下略)
------------------------------------------------------------------------
インフルエンザの症状に効く麻黄湯
日経BP 2005年01月13日

 毎年、冬になれば、インフルエンザの流行が気になってくる。インフルエンザは普通の風邪と異なり、のどの痛みや鼻汁に加えて、39℃の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など、全身に症状が出て、けん怠感も強いのが特徴だ。
 さらにインフルエンザは、しばしば細菌感染を伴う気管支炎や肺炎などを併発して重症化することがあるため、やっかいである。特に、成人に比べて体が弱い子どもや高齢者では、インフルエンザの流行が始まると気が抜けない。
 これまで、インフルエンザの治療は難しかったが、現在はインフルエンザウイルスを短時間に検出できる診断キットや、さまざまな抗ウイルス薬が登場し、以前より診断も治療も容易になった。
 このように、西洋医学での治療法は充実してきているが、漢方医学でも、忘れてはいけない有効な薬がある。それが、「麻黄湯(まおうとう)」である。
 麻黄湯は、医師用の漢方エキスの添付文書にも、「インフルエンザ(初期のもの)に効果がある」と記されている。麻黄湯は古くから、発熱や頭痛、首筋・肩・背中・腰など全身の筋肉や関節の痛み、動悸(どうき)、息切れ、寒け、咳、鼻詰まり、のどの痛みなど、さまざまな症状に効くといわれてきた。こういった症状が、現在のインフルエンザでみられる症状と一致していると考えられ、医師にも広く使われている漢方薬だ。
 漢方医学の考え方では、インフルエンザのような症状は、体の表面部にある水毒によって起こると考える。そこで、水毒を取り除く作用を持つ麻黄湯が選ばれてきた。ただし、作用が強いので、子どもや高齢者など、体力が衰えている人に使うときは注意が必要である。
 最近、A型インフルエンザだと診断された患者を対象に、抗ウイルス薬、総合感冒薬、麻黄湯のそれぞれを投与して、効果を比較した研究が報告された。この研究によれば、麻黄湯を投与した群で、総合感冒薬に比べると、急性気管支炎、肺炎の発生率が低下することが明らかになった。
 さらに、発熱日数を比較したところ、麻黄湯を投与した群は、抗ウイルス薬と同じくらいの短期間で済んでいることが分かった。最も発熱期間が長引いたのは、総合感冒薬だった。古くからある漢方薬は、新しく登場してきた薬に負けず劣らずの力を秘めているのかもしれない。
(天野 宏=医療ジャーナリスト)


新型インフルエンザ関連のほかのニュースもご参考まで。

【新型インフル大流行に備えを(5)】重症化対策 持病との合併症に注意(産経新聞 2009.9.1)

【新型インフル大流行に備えを(3)】ワクチンは間に合わず 抗ウイルス薬備蓄完了(産経新聞 2009.9.1)

【新型インフル】「医療従事者優先に」 舛添大臣がワクチン方針
(産経新聞 2009.9.1)


 新型インフルワクチン「持病ある子が優先」 小児科学会(朝日新聞 2009年8月26日)


社説 新型インフル/重症化防止に万全期して(河北新報 2009.8.21) 


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