夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ナイアド その決意は海を越える』

2024年02月23日 | 映画(な行)
『ナイアド その決意は海を越える』(原題:Nyad)
監督:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ,ジミー・チン
出演:アネット・ベニング,ジョディ・フォスター,リス・エヴァンス,アナ・ハリエット・ピットマン,
   ルーク・コスグローヴ,エリカ・チョー,ジーナ・イー,カーリー・ローゼンバーグ,エリック・T・ミラー他
 
Netflixで「あなたへのオススメ」に出てくるたびにスルーしていました。
だって、アネット・ベニングジョディ・フォスターのシワシワの顔、見たいですか。
だけど第96回アカデミー賞主演女優賞助演女優賞にノミネートされて、スルーもしていられなくなりました。
 
監督は『MERU/メルー』(2015) や『フリーソロ』(2018)のエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チン。
後者では第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得。
このふたりは『ニルマル・プルジャ 不可能を可能にした登山家』 (2021)の製作総指揮も務めています。
これまでドキュメンタリー作品ばかりを手がけてきたこのコンビが、初めて長編劇映画に挑む。
ドキュメンタリーではないと言っても、そこはこのコンビらしく、実在の人物を描いた作品です。
 
「マラソンスイミング」という言葉があるのを私は知りませんでした。
海や川、湖などの自然環境の中でおこなわれる水泳競技のことだそうで。
 
アネット・ベニング演じるダイアナ・ナイアドは1949年生まれ、今年75歳。
マラソンスイマーとして数々の挑戦をしてきた人ですが、
28歳のときにキューバからフロリダまで泳いで渡ろうとして失敗。
それをなんと60歳になってからやり遂げようと思い立ち、再び挑戦。
その後失敗を繰り返すも毎年挑戦し、成し遂げたのが64歳のときのこと。
 
泳ぐったって、ただ泳ぐだけじゃないんですよね。
キューバからフロリダまでは約160キロ。サメもいれば、強烈な毒を持つクラゲもいる。
海路を知り尽くしている航海士あってこその挑戦で、
航海士の指示で船を動かす船長も、サメやハコクラゲの専門家も必要。
そして何よりも、ダイアナが最大の信頼を置くコーチ、ボニー・ストールなしでは無理。
 
すべてを用意するにはお金がかかります。
ダイアナのみならず、ボニーも、航海士のジョンまで自宅を抵当に入れて金を工面。
執念でこのマラソンスイミングを成功させようとします。
 
海流のせいで予定していた進路と異なる選択をしなければならないこともあるから、
64歳で成し遂げたときは全行程で177キロ。
62時間眠ることなく、誰も手を触れることなく、見守られて。
 
少女のときには水泳のコーチから性的虐待を受けていたことも明らかになっていて、
フロリダまでの間にそのときのことを思い出したりもしてしまったりする。
こんなにもつらいのになぜ挑戦しつづけるんだろうと思いましたが、
チーム競技としてのマラソンスイミングを成し遂げたときの皆の顔を見れば納得。
 
凄い人がいたものです。
実際の映像も織り交ぜられ、エンドロールでは愉快な彼女の姿を見られます。

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『ニューヨーク・オールド・アパートメント』

2024年02月22日 | 映画(な行)
『ニューヨーク・オールド・アパートメント』(原題:The Saint of the Impossible)
監督:マーク・ウィルキンズ
出演:マガリ・ソリエル,マルセロ・デュラン,アドリアーノ・デュラン,タラ・サラー,ジーモン・ケザー他
 
前述の『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』の後、同じく塚口サンサン劇場にて。
シネ・リーブル梅田で見逃した本作を鑑賞することができました。
 
監督はこれが長編デビュー作となるスイス出身のマーク・ウィルキンズ。
タイトルからセドリック・クラピッシュ監督の『スパニッシュ・アパートメント』(2002)のような群像劇を想定していたら、
そんなのほほんとした作品ではありませんでした。相当ヘヴィー。
 
シングルマザーのラファエラは、ウェイトレスをしながら双子の兄弟ポールとティトを育てている。
 
中華料理店のデリバリーのバイトをしながら英語学校に通うふたりは、
挙手しても教師から無視されるなど、まるで透明人間のような生活を余儀なくされていたが、
ある日、クロアチアからの移民だという絶世の美女クリスティンが転入してきてウキウキ。
 
クールなことこのうえないクリスティンからちょっと声をかけられるだけでメロメロになり、
妄想を膨らませていたふたりは、毎日彼女と会いたくてたまらない。
そのせいで、仕事上がりのラファエラを迎えに行く日課をすっぽかすことも。
 
一方のラファエラは、店の客で小説家のエワルドに言い寄られ、部屋に連れ込むようになる。
やがてエワルドはラファエラに店を辞めてブリトーのデリバリー店を始めようと言い出す。
メキシコ人でもないのにブリトーなんてと渋るラファエラだったが、
資金は出す、これはチャンスだなどとエワルドに言われて乗り気になってしまう。
 
母親のことが気になりつつもクリスティンにぞっこんのふたりは、
自分たちがいつまで経っても透明人間なのはイケていない童貞だからなどと自嘲していると、
クリスティンからある条件と引き換えに童貞卒業を持ちかけられ……。
 
なんだかこうして書いていても軽い青春ものに感じられますが、全然そうじゃない。
 
冒頭、おでこを負傷したラファエラが友人らしき女性に伴われてやってきた部屋は、
保健衛生局から立ち入り禁止の貼り紙をされていて、中は荒れ放題。
そこにいるはずの息子たちの姿が見えず、ラファエラが動揺するシーンから始まります。
 
時系列をいじりながら物語は進行。
貧しいながらもまぁまぁ幸せに暮らしていた3人に思えましたが、
クリスティンとの出会いやエワルドの登場によってそれが少しずつ変わってしまう。
 
みんな恋をしたいし、より良い生活を送りたいと思っているのに、それが全部悪い方向へ。
良いことなんていっさい望んではいけないのだろうかと思わされます。
 
金だけは持っているのかと思えたクリスティンも、高級娼婦として体を売っているのには訳がある。
だけど金目当てに騙されていると知ったときの彼女の気持ちは計り知れません。
 
どう考えても行く先は暗い。それでも前向きに生きる人たち。
最後は少しだけホッとする。

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『燈火は消えず』

2024年02月07日 | 映画(な行)
『燈火は消えず』(原題:燈火闌珊)
監督:アナスタシア・ツァン
出演:シルヴィア・チャン,サイモン・ヤム,セシリア・チョイ,ヘニック・チャウ,ベン・ユエン,
   シン・マク,アルマ・クォク,ジャッキー・トン,ミミ・クン,レイチェル・リョン他
 
2日連続で仕事の後なんばパークスシネマに向かいました。
去年の暮れはそんな時刻になると新御大渋滞で、上映開始に間に合わなかったことも。
しかし年明けはたまたまなのか、がら空きとは言わないまでも空き空きで、
前日は18:05からの『レザボア・ドックス』、この日は18:00からの本作の上映開始に間に合いました。
 
タイトルの「燈火」は「とうか」ではなくて「ネオン」と読ませています。
香港夜景を彩っていたネオンサインが2010年の建築法改正によって撤去されるように。
2020年には元の約9割が姿を消してしまったそうです。
本作はネオンサインの職人だった夫を亡くした女性が主人公。
台湾出身の有名女優シルヴィア・チャンが監督。主演も彼女自身が務めています。
 
大好きだった夫のビルが亡くなり、妻のメイヒョンは悲しみの淵で立ち上がれずにいる。
ボーッとしたまま暮らしていたある日、夫の衣類の中から鍵を見つける。
それは昔気質のネオン職人だったビルの工房の鍵。
訪れてみると、そこでは今も誰かが作業している痕跡があった。
 
それを一人娘のチョイホンに話すと呆れ顔。
ビルがネオン職人を辞めてからもう長いのに、工房がまだ使われているはずがなかろうと。
しかし納得できないメイヒョンが再び工房に行くと、若者がいるではないか。
 
彼の名前はレオ。ビルの唯一の弟子なのだと言う。
ビルが死んだことを知らなかったレオは、家賃などの支払いに困り果てていた。
一方のメイヒョンは、夫に弟子がいたことも、まだ工房を開けていたことも初耳。
ビルは最後に作りたいネオンサインがあったらしく、
メイヒョンはレオに教えてもらいながら夫の願いを叶えたいと思うのだが……。
 
冒頭のビルとメイヒョンが一緒にいるシーンがとても好きだったのですが、
途中からなんだかメイヒョンに腹が立ってきます。
夫婦仲バッチリだと思わせられた冒頭だったのに、いつも不機嫌なチョイホンの話によれば、
おおらかで優しくて面白かった父親に対して、母親はまったく理解がなかった。
あれほどビルが情熱を注いでいたネオンサインの仕事も、メイヒョンは収入にならないと言って辞めさせた。
チョイホンが進学を望み、そのために金を工面しようとしたビルに対しても、
娘のために借金するつもりかと言い放ったメイヒョン。
 
つまり、ここでメイヒョンがしようとしていることは、ビルのためというよりも、
ビルのことをないがしろにしてきたメイヒョンの自己満足のためのように感じられます。
 
母親に冷たくしきれないチョイホンが、メイヒョンの老後を思って年金の契約などをしても、
そんなのは要らないから断れと言い、じゃあ生活費はどうするつもりかと聞かれると、
チョイホンに養ってもらうからいいとのたまう。そりゃ娘は呆れてしまうでしょう。
 
そんなこんなでイライラさせられはしたのですが、とても温かなエンディングに唸りました。
終わりよければすべて良し。なんかええ映画を観たなぁという気持ちに。
 
エンドロールでは何人もの本物のネオン職人の略歴と共にその作品が映し出されます。
ネオンサインぎらぎらの街なのに、下品ではない。どこか惹かれます。

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今年観た映画50音順〈な行〉

2023年12月29日 | 映画(な行)
《な》
『なまず』(英題:Maggie)
2018年の韓国作品。U-NEXTにて配信。
ある病院で、男女がSEXしているところを盗撮したレントゲン写真が流出する。
盗撮したのが誰かではなく、被写体のカップルは誰なのかと皆が騒ぐ。
看護師のユニョンは、これは自分と恋人ソンウォンの姿だと確信。実はそうではないのに。
噂の的になっているかもしれないとビビりながら翌朝出勤すると、
副院長のギョンジンしか出てきておらず、他の職員は全員体調不良だと言う。
そんなことがあるはずはないと怒るギョンジンをなだめるユニョン。
ちょうどその頃、街のあちこちにシンクホールが出没。
無職だったソンウォンはシンクホールの埋め戻し工事に職を得るのだが……。
『梨泰院クラス』でブレイクする前のイ・ジュヨンがユニョン役。
ソンウォン役のク・ギョファンが脚本と製作を担当。
ギョンジンを演じるのは、一気に作品の格を上げるムン・ソリ
なまず目線で描かれているのが面白くはあるけれど、オフビートすぎてちょっと困る。
ユニョンがソンウォンの元カノからの情報でソンウォンのDV気質を疑って振る。
すがるソンウォンがシンクホールに落っこちておしまいという驚愕のラスト。
思わず「えっ!?」と声に出ました。これで終わるのかよっ。
 
《に》
『苦い涙』(原題:Peter von Kant)
2022年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
フランソワ・オゾン監督がドイツ出身の映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの戯曲を映画化。
ファスビンダー自身がメガホンを取った『ペトラ・フォン・カント 苦い涙』(1972)のリメイクです。
ゲイの映画監督のピーター・フォン・カントは、恋人と別れて落ち込んでいたところ、
親友で大物女優のシドニーから紹介された青年アミールに一目惚れ。
俳優志望のアミールを自らの手でスターにしようと、自分のアパートに住まわせるのだが……。
40歳で巨漢、著名な映画監督でなければ男も寄ってこないだろうという外見のピーター。
確かに、痩せていたら格好いいかもしれないし、愛嬌のある顔立ちではあるけれど。
そんな彼が若くて美しいアミールにぞっこんになるところを見せられても私は嬉しくない。
アミールのほうは打算ありありだし、相手にされていないこともわからない中年男の情けなさ。
ピーターのことを本当に愛し気遣ってくれているのは秘書のカールなのに。
まったく、観ていて嫌になっちゃいました。
シドニー役には本当に大物女優のイザベル・アジャーニを起用。凄い大物感があります。
 
《ぬ》
『ヌーのコインロッカーは使用禁止』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
脱サラに失敗した挙げ句、保険金詐欺で捕まって懲役刑を食らった黒迫和眞(上西雄大)は、
出所後、息子の大学入学資金を工面しようと、知り合いのヤクザを頼る。
ヤクの売人となった和眞は、その受渡場所に指定されているコインロッカーへと向かうが、
“ぬ5515”を使用しようとすると、そばにいた那須叶(なすかなえ)(古川藍)が怒る。
ヌーと呼ばれている彼女は、生まれてすぐに“ぬ5515”に捨てられていたらしい。
発達障害のあるヌーは、絵を描きながら毎日“ぬ5515”を見張っているのだ。
彼女に興味を持った和眞が、自作のふりをしてSNSに絵をUPすると反響があり……。
上西監督の作品は相変わらずVシネマちっくなのですが、人情があって面白い。
最初はどうだかなぁと思っていたヌー役の古川藍も良いものに見えてきます。
彼女を妹のように思うソーシャルワーカーには上西作品の常連、徳竹未夏。
ラーメン店主役の菅田俊にも味があるし、検事役で登場する田中要次も○。
もしも発達障害者への虐待シーンを見せられたら目を覆いたくなるところでしたが、
そこはなくてありがたかった。でも現実にはそういうことが多々あるでしょうね。
 
《ね》
『劇場版 ねこ物件』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
同名TVドラマシリーズの劇場版。
2匹の猫と祖父とともに暮らしていた二星優斗(古川雄輝)。
祖父が亡くなり、気持ちの整理をつけられずにいたが、
親切な不動産屋の広瀬有美(長井短)にシェアハウスの再開を促される。
最初は断ったものの、自分には生き別れの弟がいると祖父から聞いたことを思い出し、
シェアハウスの様子を全国に発信すれば、弟を見つけられるのではないかと考える。
そこで、シェアハウスの入居者を大々的に募集して、SNSをフル活用するのだが……。
猫が好きです。猫を見ているのは確かに楽しいけれど、この劇場版だけではどうかなぁ。
人間関係もイマイチわからないから、ぼんやり眺めるだけになってしまいました。
TVでじゅうぶんかもしれません。
 
《の》
『ノーウェア:漂流』(原題:Nowhere)
2023年のスペイン作品。Netflixにて配信。
財政難に悩むスペイン政府は、労働力を見込めない妊婦や子どもを殺すという暴挙に出る。
身重のミアとその夫ニコは、国外へ脱出することを決意。
仲介業者に高い金を払い、アイルランドへ向かう貨物船で密出国することに。
ところが同様の者が押し寄せたためにひとつのコンテナには収容しきれず、ミアとニコは離ればなれに。
しかもミアが入ったコンテナが検問でひっかかり、なんとか隠れたミア以外、全員射殺されてしまう。
出港した貨物船は嵐に遭い、ミアはコンテナごと大海原へ放り出される。
かろうじて繋がった携帯電話でニコに救いを求めるが、ニコのほうも大変な状況。
やがて産気づいたミアは、水位が増してきたコンテナの中、たったひとりで出産。
生まれてきた赤ん坊と共に漂流を続けるのだが……。
冒頭ではボーッとしているミアにイライラさせられましたが、その後は逞しさ全開。
コンテナ内で水に浮かぶ積荷から使えるものを探し出し、必死で生き延びます。
食べるものがなくなってへその緒に齧りつく姿はホラー。
コンテナから外へ出ようとしたときに太ももが切り裂かれるシーンはこっちも絶叫したくなる。
最後はちょっとジーンと来た。あ、でもニコとの再会は叶いませんのであしからず。

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『ナポレオン』

2023年12月10日 | 映画(な行)
『ナポレオン』(原題:Napoleon)
監督:リドリー・スコット
出演:ホアキン・フェニックス,ヴァネッサ・カービー,タハール・ラヒム,ベン・マイルズ,リュディヴィーヌ・サニエ,
   ジョン・ホリングワース,ユーセフ・カーコア,フィル・コーンウェル,イアン・マクニース,ルパート・エヴェレット,
   ポール・リス,キャサリン・ウォーカー,マーク・ボナー,サム・クレイン他
 
『エクソシスト 信じる者』だけ観て帰るのは怖いので、本作も鑑賞。
同じく109シネマズ箕面にて。
 
85歳を過ぎてもこんな作品を撮る体力があるんですね、リドリー・スコット監督。
『グラディエーター』(2000)以来の同監督作出演となるホアキン・フェニックス主演。
面白くないわけがないという顔ぶれだけど、結論から言って、
私にとっては『グラディエーター』のほうが断然面白かったです。
でも158分飽きない作品というのは凄いかな。爆睡しているお客さんもいましたけどね。
 
フランス革命マリー・アントワネットがギロチン処刑されるシーンから始まります。
 
イタリア半島にあるフランス領コルシカ島に生まれたナポレオン・ボナパルトは、
そんなフランス革命のさなかに名を上げた軍人。
まだ20歳そこそこだった頃から活躍し、皇帝までのぼり詰めました。
 
本作では絶対にそんな若さには見えない(笑)ホアキン・フェニックスが、
特に若作りをすることも老けメイクをすることもなく、最初から最後までナポレオンを演じています。
 
マザコンの気も見え隠れして、奥手らしいナポレオンが見初めたのは、
ヴァネッサ・カービー演じる貴族出身の女性ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ。
夫だった子爵をギロチン処刑されたあと彼女自身も投獄され、釈放後に出会ったのがナポレオン。
本作を観るかぎり、当初の彼女に貴族の品格は感じられず、自分の生活のためであれば誰とでも寝そう。
ナポレオンと一緒になるために息子を使い、見事にそれを果たしてみせます。
 
ジョゼフィーヌにぞっこんのナポレオンは、彼女が浮気していると知ると、遠征先から舞い戻る。
彼女を追い出しかけるけど、ジョゼフィーヌの悲しげな顔を見れば途端に許してしまいます。
 
ジョゼフィーヌの地位も安泰かと思いきや、ナポレオンとの間に世継ぎが生まれない。
妊娠しない理由が彼にあるのか彼女にあるのか、ナポレオンの母親が別の若い女性をあてがって確かめることにゾーッ。
 
こんな時代だったのですね。
世継ぎを埋めないのは国のためにならないから離婚すると宣誓して署名もさせられ、
なのに離婚した後も彼女をなかば幽閉して自分のものにしようとする。
 
夫婦の話に関してはまったく共感できませんが、戦闘のシーンは凄い。
本作ではトゥーロン攻囲戦、アウステルリッツの戦い、ワーテルローの戦いの場面が描かれています。
これこそリドリー・スコット監督お得意のシーンで、大画面で観る価値はある。
 
戦いの話とジョゼフィーヌの話と。ちょっととっちらかった印象があるのは否めません。
でもやっぱり凄いよ、この監督。

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