夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『21グラム』

2004年11月16日 | 映画(た行)
『21グラム』(原題:21 Grams)
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン,ベニチオ・デル・トロ,ナオミ・ワッツ他

「命が消えるその時に、人は21グラムだけ軽くなる。
 誰もが等しく失う重さ。
 それは、私たちがこの世に置いて行く“何か”の重さ。
 あなたが残す21グラムは何ですか? 」

これはロードショー時の宣伝コピー。
21グラムは魂の重さ。
その魂の重さがテーマです。

大学で数学を教えるポールは心臓移植を待っている。
ドナーが現れなければ、余命はあと1ヵ月。
妻メアリーは、夫の死ぬ前に彼との子どもがほしいと願う。
しかし、ポールとメアリーの間にはもはや愛情はない。
いまは妊娠を願うメアリーだが、ポールとの子どもを中絶した過去があった。

前科者のジャックは、心を入れ替えると誓い、いまでは信仰心の厚い男だ。
妻マリアンヌと子どもたち、そして神のために、まじめに働いている。
地元の不良少年を相手に信仰を説き、
どんなことも神のおぼし召しだと信じて疑わない。
クジで当たったトラックすら、神から自分への贈り物だと信じていた。

クリスティーナは優しい夫と愛らしい娘ふたりに囲まれて、
幸せな毎日を送っている。
だが、ある日、家族の帰りを待つ彼女のもとに1本の電話がかかってくる。
夫と娘が車にひき逃げされたというのだ。
娘のうちのひとりは、事故後まだ意識があったにもかかわらず、
犯人に置き去りにされた。

この3組の家族が運命によって引き合わされる。
神の贈り物であるはずのトラックで人をはねてしまったジャック。
ジャックに大切な家族を奪われたクリスティーナ。
クリスティーナの夫の心臓を譲り受けたポール。

手術に成功したポールは、調査会社を使って、
ドナーの遺族であるクリスティーナを突きとめる。
ドラッグに溺れるクリスティーナはポールと出会い、ジャックを殺したいと思う。

この作品には悪人は出てきません。
だから余計に重たい。

3組が別々に描かれるうえに、時間の軸がバラバラ。
ちょっと前に流行った、後戻りする手法どころか、前後むちゃくちゃ。
気を抜くとわけがわからなくなります。
だから余計に引き込まれて、ググッと胸に突き刺さる。

メキシコ人監督の初英語作品。
やはり一見何の関係もない人々が最後に引き合わされる同監督作、『アモーレス・ペロス』(1999)もどうぞ。

それでも人生は続く。

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