夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ぼくの大切なともだち』

2009年01月05日 | 映画(は行)
『ぼくの大切なともだち』(原題:Mon Meilleur Ami)
監督:パトリス・ルコント
出演:ダニエル・オートゥイユ,ダニー・ブーン,ジュリー・ガイエ他

あけましておめでとうございます。
今年になってから、まだ映画館に足を運んでいません。
フランスの名匠によるレンタル新作を。

「親友」って、実は私はなかなか使うことができない言葉です。
双方の気持ちが五分五分で「親友」と言い切れる関係って、
そうそうないような気がして。

美術商のフランソワは、顧客だった老人の葬式に参列する。
「夫はあなたのことが大好きでした」と語る未亡人に、
「私も彼が好きだった」と心にもないことを言い、
故人が蒐集した家具を見に行く段取りを早速整える。

その帰り、仕事仲間が集う席へ。
「陰気な葬式だった。参列者が7人しかいなかったんだ」と話すと、
出席者のひとりが「君の葬式の参列者は、確実にそれより少ない」と嘲笑う。
意味を問うと、出席者全員が口を揃えて、「君には友だちがいないだろ」。

フランソワは愕然とする。
「君たちは友だちじゃないのか?」。
みんなが首を振る。
「君は仕事のことしか考えていない。友だちとは言えない」。

友だちなんていくらでもいると憤るフランソワに、
ビジネスパートナーであるカトリーヌが賭けを持ちかける。
10日以内に「親友」を連れて来なければ、
フランソワがオークションで落札したばかりの20万ユーロの壺を
カトリーヌに引き渡すということに。

フランソワは「友だち」をリストアップ。
連絡を取ってみるが、誰もが素っ気ない態度。
友だちを作る方法が書かれた本を探し、
友だちを作るための講座を聴くがどれも功を奏しない。
そんなとき、誰とでも親しげに話すタクシー運転手ブリュノと出会い、
藁にもすがる思いで、人と親しくなる方法を教えてほしいと頼む。

こんな局面に置かれた中年男があたふたする様子には、
他人事と笑えない人もいるでしょう。
焦りつつも、とことんプライドが邪魔をします。
ブリュノという友だちを得てからも、
仕事仲間から証拠を見せるように言われると見栄を張り、
ブリュノを酷く傷つけることをしてしまいます。
一方、ブリュノのほうは、誰とでも友だちになれるけど、
つまりは誰とも友だちではないのだと、自分で気づいています。

互いになじめば、いつか大事な存在になる。
君は僕のたった一人の人。僕は君のたった一匹のキツネ。
『星の王子さま』の引用がとても温かく。
お正月明けの疲れた心に。

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