夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『姑獲鳥の夏』

2010年09月24日 | 映画(あ行)
『姑獲鳥の夏』
監督:実相寺昭雄
出演:堤真一,永瀬正敏,阿部寛,宮迫博之,原田知世,田中麗奈他

その著作の半端ではない分厚さにずっと敬遠していた京極夏彦。
ぜひとも読んでみるべしと貸してくれた人がいて、
どうせ真剣に観ているときにかぎって阪神は負けるし、
適当にTV観戦しながら読むことに。

順番に読むように勧められたので、まずは16年前のデビュー作から。
読み始めたら、めちゃめちゃおもしろくて、たちまち読了。
2005年に映画化されたとき、大好きな堤真一主演にもかかわらず、
京極夏彦原作だということで観なかった本作も勢いで観ることに。

ウルトラマンシリーズで名を馳せた監督によるものです。
本作の公開翌年にお亡くなりになってしまいました。合掌。

昭和27年の東京。
小説家の関口は、生活のため、本意ではない原稿の執筆も請け負っている。
そんな彼の耳に舞い込んできた噂が実に奇っ怪なもの。
産婦人科、久遠寺医院の院長の次女、梗子が20か月も身ごもったままで、
しかも梗子の夫、牧朗が1年半前から行方不明だというのだ。

事件の取材を依頼された関口は、自分の範疇ではないと思うものの、
この噂が気になって仕方がない。
関口は、古書店の店主で旧友の京極堂のもとを訪れ、この噂に関する意見を求める。
京極堂は「世の中には不思議なことなんてひとつもない」と言うのだが、
関口に噂を届けたのが、出版社に勤める京極堂の妹、敦子であると知り、
妹のこととなると悪態をつく京極堂は、とりあえずは関口の相談に乗る。

京極堂から、これも旧友で私立探偵の榎木津のところへ行けと言われた関口。
榎木津の事務所を訪ねると、折しもそこへ現れたのは久遠寺医院の長女、涼子。
涼子は、牧朗の失踪について調べてほしいと言う。
榎木津、敦子とともに、関口は久遠寺医院へ向かうのだが……。

公開当時の評判はさっぱりだったようですが、
ウルトラマンシリーズの監督だと思うからなのか、
舞台セットに懐かしさを感じて堪りません。もろ昭和。

ただ、原作に忠実と言えば忠実なのですが、
なにせあの分厚さで、妖怪マニアでもある京極夏彦。
ミステリの要素を含んだ憑物落としの話となると、ややこしいのは当たり前。
原作を読んでいなければあちこちツライだろうと思われます。

原作を読んでからならば、そして、好きな役者が出ているならば、
そこそこ楽しむことができましょう。
ヘタリアが終わって、京極夏彦が心のよりどころ(笑)。

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