夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈か行〉

2013年12月23日 | 映画(か行)
《か》
『籠の中の乙女』(原題:Kynodontas)
2009年のギリシャ作品。
郊外のプール付きの豪邸に暮らす両親と息子1人に娘2人。
外は汚らわしく危険だという妄執に取り憑かれている父親は、
子どもたちが邸外に出ることを決して許さない。
生まれてからずっとそう育てられてきた子どもたちはそれに疑問を抱くことなく過ごす。
しかし、息子の性欲を処理するために父親が雇った女性の出現により、
外の世界に好奇心を刺激された長女は……。
冒頭シーンから何もかも変。覚えさせたくない言葉はすべて異なる意味に変えて教える両親。
「遠足」なんて言葉を覚えると困るから、「床は遠足でできています」なんて感じ。
ここから完全ネタバレです。英題は“Dogtooth(=犬歯)”。
両親は、子どもたちが家を出て行ってもいいのは犬歯が抜けたときと教えています。
両親の就寝後、洗面所で自らの犬歯を鉄アレイで砕く長女の恐ろしい笑顔。
血だらけの口で邸を抜け出すと、父親の車のトランクへ。
家族は長女を探すもトランクの中にいるとは思わず。
翌朝、父親は車に乗って出かけますが、下車後に映し出されるトランク。
トランクはピクリとも動かず閉まったままエンドロールへ。
予告編やポスターを観てミヒャエル・ハネケ監督の新作かと思った人は多いはず。
確かに作風は似ていますが、残酷な描写はこっちのほうが多く、不快感も残ります。
し、しかし、困ったことにおもしろい。
いったいこんな作品を撮る人の頭の中ってどうなっているんでしょ。(^^;

《き》
『キリマンジャロの雪』(原題:Les Neiges du Kilimandjaro)
2011年のフランス作品。
マルセイユに暮らす仲睦まじい熟年夫婦ミシェルとマリ=クレール。
ミシェルの勤務先で人員削減のためにクジ引きで20名を解雇することに。
組合の委員長を務めるミシェルは公平が信条。
解雇対象者から自分を外すこともできたのにそうはせず、解雇を引き当ててしまう。
しかし、マリ=クレールはそんな夫を誇りに思う。
ある日、夫婦の結婚30周年を祝うパーティーが盛大におこなわれる。
長年の夢だったアフリカ・キリマンジャロへの旅を子どもたちから贈られて大喜び。
ところが数日後、家に強盗が押し入り、旅行券や現金、カードを奪われる。
ふとしたことから犯人を知ったミシェルはショックを受け……。
犯人の幼い弟たちを放っておかずにいられない夫婦。
自己満足に過ぎないとも言えましょうが、ちょっといいお話です。

《く》
『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』(原題:Crazy Horse)
2011年のフランス/アメリカ作品。
パリを代表するナイトクラブのひとつ“クレイジーホース”の舞台裏に密着取材。
最高のヌードショーをつくりあげたいという振付師や演出家にはじまり、
照明の当て方によってお尻の丸みが綺麗に見えないと、
お尻の見せ方にこだわる衣装デザイナーの話がおもしろい。
控え室にて、バレエの珍プレー好プレーみたいな番組に
ダンサーたちがおなかを抱えて笑う姿は、束の間の安らぎの時間を感じます。
オーディション風景も興味深く、一度見てみたくなりました。

《け》
『ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)』(原題:I Don't Know How She Does It)
2011年のアメリカ作品。
英国のベストセラー『ケイト・レディは負け犬じゃない』の映画化だそうで。
大手投資会社のボストン支社でファンド・マネージャーとして働くケイトは、
理解ある優しい夫と2児に囲まれ、忙しくも幸せな日々を送っている。
あるとき、彼女の投資ファンドの新提案が評価され、
ニューヨーク本社の責任者ジャックとプロジェクトを進めることになるのだが……。
主演のサラ・ジェシカ・パーカーは特に好きでもありませんが、
別に嫌いなわけじゃなし、出演作はほぼ観ています。
けれどもいつでもキャリア志向のイイ女、モテモテという彼女の位置づけには疑問。
容姿を含めて世の男性陣はどう思っているのか聞いてみたいところ。
それとも、彼女はワーキングマザーの憧れとして同性から支持されているのか。
仕事が忙しいから毎度保育園に連れて行くのが遅れるとか、
お迎えの時間を忘れて仕事に没頭した挙げ句、
緊急事態で致し方なしと夫が乳母を雇ったことに怒るとか、
なんだかこれでイイ女でしょって言われても~みたいな印象は否めません。

《こ》
『恋に至る病』
ぴあフィルムフェスティバルで2009年に審査員特別賞を受賞した木村承子監督。
彼女がPFFスカラシップ(16ミリ映画制作援助)を得て2011年に撮ったのが本作。
昨秋公開され、今年DVD化されました。
女子高生のツブラは、生物担当の冴えない男性教師マドカに熱烈な片想い。
マドカのどんな仕草もツブラにとっては可愛くて仕方がない。
ある日、教室にひとりでいたマドカを、ツブラはついに押し倒してしまう。
事をなし終えると、なんとツブラとマドカの性器が入れ替わっていて……。
なんとも奇抜なアイデアで、ツブラとマドカよりもむしろ、
脇役に回った友人役の佐津川愛美染谷将太がいい味。
下ネタながら後味は爽やかで、監督には次からも期待。
ただ、無駄なシーンが多いため、2時間弱は長く感じます。
もう少し短くすっきりまとめてくれたら、より良かったかも。

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