夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ニュースの真相』

2016年08月19日 | 映画(な行)
『ニュースの真相』(原題:Truth)
監督:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:ケイト・ブランシェット,ロバート・レッドフォード,トファー・グレイス,エリザベス・モス,
   ブルース・グリーンウッド,ステイシー・キーチ,デニス・クエイド他

全館停電の日にTOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの3本目。
前述の『ルドルフとイッパイアッテナ』の後に。
そろそろ集中力が切れて眠くなる時分です。
危険だなぁと思いながら、レッドブルを飲むひまはなく、すぐに移動。

21世紀最大のメディア不祥事と言われた実際の事件が基。
スクープにまつわる実話ベースの作品といえば、
めっぽう面白かった『スポットライト 世紀のスクープ』を観たのが春のこと。
あちらは新聞、こちらはテレビ。
監督は“アメイジング・スパイダーマン”シリーズや『ホワイトハウス・ダウン』(2013)の脚本家として著名なジェームズ・ヴァンダービルト。
監督デビュー作として選んだのは、それらの脚本からは想像しがたい社会派ドラマ。
シワシワでんな、ロバート・レッドフォード。そんなことはどうでもいいとして。

アメリカ、2004年、再選を目指すブッシュ大統領
CBSの看板報道番組『60ミニッツII』では、ブッシュの軍歴詐称について調査を開始する。
それはベトナム戦争中、父親の力を利用してブッシュが兵役を怠ったという疑惑。
敏腕プロデューサーとして知られるメアリー・メイプスは、
優秀な番組スタッフとともに証拠集めに奔走し、匿名を約束して証言も確保する。
伝説的ジャーナリストのダン・ラザーがアンカーマンとしてそのスクープを発表、大反響を呼ぶ。

ところが保守派ブロガーが証拠についてある指摘をする。
それをきっかけに証拠が偽物ではないかと物議を醸す。
局内外から厳しい追及を受け、ダンとメアリーは釈明に追われることになり……。

集中力について危険を予測したとおり、前半は眠くなるところも少々。
中高年層がほとんどだったせいか、いびきや寝息もあちこちから聞こえました。
眠いのは私だけじゃないのかと安心したりもして。

しかし、スクープの放送が終わってブロガーの指摘があったところから、
俄然話が面白くなります。

問題は軍歴の詐称があったかなかったかなのに、そんな話は議論の外に。
証拠が本物か偽物なのか、それのみが問題になります。
とはいうものの、証拠が偽物ならば何を言っても駄目でしょう。
そんなふうに思いながら観ていたのですが、
ブッシュがCBSを叩き潰すために送りだした、出来レースの調査委員会で、
最後の最後にメアリーが語るシーンが圧巻。
ケイト・ブランシェットはやはり素晴らしい。

シワシワの彼も、こんな人に憧れてジャーナリストになりたいと思うのがわかるような、
ダン・ラザー役を好演。
そのほか、メアリーが引き入れたスタッフたちを演じるトファー・グレイス
もはやメグ・ライアンの元旦那と言われることもなくなったデニス・クエイドが○。

視聴者に真実を伝えることが義務であり宿命であるニュース番組。
正しく伝えつづけることがいかに難しいことか。
恥ずかしくない人間であろうとした人がここにもいます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする