『ストリート・オーケストラ』(原題:Tudo Que Aprendemos Juntos)
監督:セルジオ・マシャード
出演:ラザロ・ハーモス,サンドラ・コルベローニ,カイケ・ジェズース,
エウジオ・ヴィエイラ,フェルナンダ・フレイタス他
平日の晩、日曜日とは別だけどメンバーはほぼ同じの同窓会(笑)。
今月は何かと予定ありで映画をあまり観られなかったから、
あと数本は観ておきたいと午後休を取りました。
19:00集合の同窓会前にテアトル梅田で2本ハシゴ。
監督は、『セントラル・ステーション』(1998)で助監督を務めたセルジオ・マシャード。
1990年代に実際にあった話を基にした作品で、
「下手をすると善人ばかりの教育映画的な美談に終わってしまう」と、
監督をまかされたときはビビっていたと彼は語っています。
ブラジル・サンパウロのスラム街。
かつては神童と呼ばれたヴァイオリニストのラエルチは、
国が誇るサンパウロ交響楽団の最終選考に残るが、
緊張のあまり手が震えて譜面をめくることすらできずに終わる。
失意から四重奏を組むメンバーに八つ当たり。
職に就けなくては家賃も払えず、困り果てる。
そんなとき、スラム街の学校で音楽教師を募集していることを知る。
弦楽器の演奏を教えるのが課せられた仕事だが、
いままでの教師で続いた者はおらず、皆すぐに辞めたらしい。
生徒たちは楽器の持ち方も座り方も知らず、楽譜は当然読めない。
集中力のかけらもない、喧嘩してばかりの生徒たちにどう教えろというのか。
前任者同様、ラエルチも音(ね)を上げかけるが、
校長から報酬の増額と屋内(それまでは屋外だった)の教室の使用許可を言い渡され、
ついつい続行することにしてしまうのだが……。
貧しく危険な街に暮らす少年少女たちは、毎日を生き延びることに精一杯。
金を稼ぐためにカード詐欺の片棒を担いだり、
アル中の父親の面倒を見たり、家族の屋台を手伝ったり。
そんな子どもたちも音楽に興味がないわけではありません。
彼らの中で断トツの才能を持つ優等生少年サムエルが札付きの不良VRと親友で、
ふたりがヴァイオリンとウクレレでアレンジして弾くクラシックがめちゃくちゃ楽しい。
荒んだ気持ちが生徒たちと接するうちに解きほどかれ、
少しずつ教師と生徒たちの間に信頼関係が生まれる。
こんなにいきなり上達はせんやろというツッコミはさておき、
生徒たちをなんとか守ろうとする女校長にもエールを送りたくなります。
もっと感動的なラストシーンにできたでしょうに、わりとあっさり。
ハリウッド作品とのちがいに苦笑、しかしここを盛り上げて終われば、
監督が懸念したとおり、教育映画的な美談に終わっていたと思います。
ブラジル作品には脳天を貫かれたような衝撃を受けることが多いですが、
本作はそれとはちょっと異なる、適度な衝撃と穏やかさを持ちながらも、
スラムの暮らしについて考えさせられる作品です。
監督:セルジオ・マシャード
出演:ラザロ・ハーモス,サンドラ・コルベローニ,カイケ・ジェズース,
エウジオ・ヴィエイラ,フェルナンダ・フレイタス他
平日の晩、日曜日とは別だけどメンバーはほぼ同じの同窓会(笑)。
今月は何かと予定ありで映画をあまり観られなかったから、
あと数本は観ておきたいと午後休を取りました。
19:00集合の同窓会前にテアトル梅田で2本ハシゴ。
監督は、『セントラル・ステーション』(1998)で助監督を務めたセルジオ・マシャード。
1990年代に実際にあった話を基にした作品で、
「下手をすると善人ばかりの教育映画的な美談に終わってしまう」と、
監督をまかされたときはビビっていたと彼は語っています。
ブラジル・サンパウロのスラム街。
かつては神童と呼ばれたヴァイオリニストのラエルチは、
国が誇るサンパウロ交響楽団の最終選考に残るが、
緊張のあまり手が震えて譜面をめくることすらできずに終わる。
失意から四重奏を組むメンバーに八つ当たり。
職に就けなくては家賃も払えず、困り果てる。
そんなとき、スラム街の学校で音楽教師を募集していることを知る。
弦楽器の演奏を教えるのが課せられた仕事だが、
いままでの教師で続いた者はおらず、皆すぐに辞めたらしい。
生徒たちは楽器の持ち方も座り方も知らず、楽譜は当然読めない。
集中力のかけらもない、喧嘩してばかりの生徒たちにどう教えろというのか。
前任者同様、ラエルチも音(ね)を上げかけるが、
校長から報酬の増額と屋内(それまでは屋外だった)の教室の使用許可を言い渡され、
ついつい続行することにしてしまうのだが……。
貧しく危険な街に暮らす少年少女たちは、毎日を生き延びることに精一杯。
金を稼ぐためにカード詐欺の片棒を担いだり、
アル中の父親の面倒を見たり、家族の屋台を手伝ったり。
そんな子どもたちも音楽に興味がないわけではありません。
彼らの中で断トツの才能を持つ優等生少年サムエルが札付きの不良VRと親友で、
ふたりがヴァイオリンとウクレレでアレンジして弾くクラシックがめちゃくちゃ楽しい。
荒んだ気持ちが生徒たちと接するうちに解きほどかれ、
少しずつ教師と生徒たちの間に信頼関係が生まれる。
こんなにいきなり上達はせんやろというツッコミはさておき、
生徒たちをなんとか守ろうとする女校長にもエールを送りたくなります。
もっと感動的なラストシーンにできたでしょうに、わりとあっさり。
ハリウッド作品とのちがいに苦笑、しかしここを盛り上げて終われば、
監督が懸念したとおり、教育映画的な美談に終わっていたと思います。
ブラジル作品には脳天を貫かれたような衝撃を受けることが多いですが、
本作はそれとはちょっと異なる、適度な衝撃と穏やかさを持ちながらも、
スラムの暮らしについて考えさせられる作品です。