夜な夜なシネマ

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『サンドラの小さな家』

2021年04月08日 | 映画(さ行)
『サンドラの小さな家』(原題:Herself)
監督:フィリダ・ロイド
出演:クレア・ダン,ハリエット・ウォルター,コンリース・ヒル,イアン・ロイド・アンダーソン,
   ルビー・ローズ・オハラ,モリー・マキャン,キャシー・ベルトン,アニータ・ペトリー他
 
大阪ステーションシティシネマにて、日曜日の朝8:15からの回を鑑賞。
こうして早い時間から上映してくれるのは嬉しい。
 
アイルランド/イギリス作品。
舞台を中心に活躍していたアイルランド出身の女優クレア・ダンは、
シングルマザーの友人が住む場所に困っている話を聞いてこの脚本を執筆。
自分が出演する舞台の演出を担当していたフィリダ・ロイドに送ったそうです。
ロイド監督はクレア自身の出演を条件に映画化を決意。
そしてクレアの脚本&主演により出来上がったのが本作。
 
夫ガリーのDVからなんとか逃げたサンドラ。
娘のエマとモリーと共に保護され、しばらくホテルで仮住まいすることに。
あてがわれたホテルは職場から遠く、ガソリン代もバカにならない。
公営住宅は長い順番待ちで、いつ入れることやらわからず。
 
そんなある日、元気のないサンドラにエマが聴かせてくれたお伽話。
自分で家を建てるという話に触発され、
もしやこれはお伽話などではなく実現可能なのではと考える。
ネットで調べてみると、そう難しいことには思えなかったのだが……。
 
家を建てるには土地が必要。
市が放置している更地に家を建てさせてほしいと直談判しますが、
まったく相手にしてくれない。
サンドラに手を差し伸べるのは、彼女が清掃に訪れる家の女主人ペギー。
とっつきにくいと思っていたペギーが実に温かい人。
裏庭に家を建てればいい、必要な金も払うと言ってくれます。
 
今までたったひとりで暴力亭主に立ち向かい、
娘たちを守ろうとしてきたサンドラは、ペギーの言葉に甘え、
家を建てるための知識を与えてくれる人を探し、
週末に家を建てるのに手を貸してくれる人も探します。
親しくもない彼女を誰が無償で助けるもんかと思うけれど、
そういう人が多少なりとも現れる。
 
ガリーがいつやってくるかと怯えるサンドラは、
時に情緒不安定になり、人に当たったりワガママを言ったりする。
でもみんな彼女の気持ちをちゃんとわかってくれるんだなぁ。
 
夫が暴力を振るうのは妻にだけ。娘たちには優しい。
長女のエマはパパのことも大好きですが、
ママが殴られるところを見てしまった次女モリーはパパのことが怖くて仕方ない。
パパには会いたくないと泣くモリーを守るため、
面会の約束を何度か破ったサンドラをガリーは訴えます。
 
親権を争う裁判の理不尽さ。
裁判官に「もっとマシなことを聴けば?」と憤るサンドラの気持ち、
まったくその通りだと思います。
養育費をちゃんと払っている夫だから大丈夫だとでも?
 
ずっと黙っているだけだったガリーの母親の言葉も重い。
父親が母親を殴るのを見て育った息子は、
妻は夫から殴られるものだと思ってしまうのかもしれません。
 
簡単には幸せになれないけれど、いつかきっと。

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