夜な夜なシネマ

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2024年12月30日 | 映画(ま行)
《ま》
『マイ・ハート・パピー』(英題:My Puppy)
2023年の韓国作品。TSUYAYA DISCASにてレンタル。
ミンス(ユ・ヨンソク)は恋人のソンギョン(チョン・インソン)にプロポーズ、OKの返事をもらって有頂天。
ところが、ソンギョンが犬アレルギーだと知って呆然とする。
というのもミンスは大の犬好きで、今も“ルーニー”というゴールデンレトリバーと暮らしている。
ソンギョンはルーニーと会うときはアレルギーを止める薬を服用していたらしい。
愛する人にそんなことは続けさせられないと、ミンスはルーニーを手放す覚悟を決める。
しかし、信頼のおける人でなければルーニーを委ねるわけにはいかない。
兄貴と慕うジングク(チャ・テヒョン)に相談し、里親捜しにつきあってもらうことにするのだが……。
こんなの絶対泣く話に決まっているじゃないですか。
と思ったらそれほどでもなく、笑ってじんわり良かったと思える話でした。
ミンスが本当に犬を愛していることが伝わってくるし、
つられてジングクまでいつのまにか犬好きになっているのが可笑しい。
ソンギョンにしても「私と犬とどっちを採るの」なんてことは言わない、良い彼女。
実際の犬アレルギーの人がこの方法で犬と暮らせるかどうかはちょっと疑問だけど。
 
《み》
『緑の夜』(原題:緑夜)
2023年の香港作品。TSUYAYA DISCASにてレンタル。
中国人女性のジン・シャ(ファン・ビンビン)は韓国に渡り、保安検査場で働いている。
ある日、いかにも怪しげな緑色の髪をした若い女(イ・ジュヨン)が金属探知機に反応。
止めようとしたところ、上司がその女性は問題ないのだと言う。
腑に落ちずにいたが、緑の髪の女は気が変わったと言って出国を取りやめて引き返す。
不審すぎて追いかけてみると、やはり彼女は麻薬の運び屋だった。
やがて、ジン・シャの上司も麻薬の元締めと繋がっていることを知り、
ジン・シャと緑の髪の女の逃走劇が始まり……。
巨額の脱税疑惑発覚後に消息不明となったファン・ビンビンが戻ってきました。
『355』(2022)以来の出演作になったわけですが、とても暗い。
凄い美人でもここまでしかめ面で笑わないと、見ていてメゲる。
夫から虐待されるシーンなども凄惨。やっぱりもっとゴージャスな彼女が見たい。
 
《む》
『ムーミンパパの思い出』(原題:Muumipapan Urotyot: Eraan Nuoren Muumin Seikkailut)
2023年のフィンランド/ポーランド作品。TSUYAYA DISCASにてレンタル。
ご存じ、トーベ・ヤンソンの児童文学を基にしたパペットアニメーションです。
蜂に狙われてしっぽの先がもげてしまったムーミントロール
ショックで寝込む彼が医者の診察を受けると、しっぽの先の喪失とは別に病の本質があると言う。
レントゲンを撮ったところ、病の原因は純粋さと理想主義のせいと判明。
息子を元気づけようと、ムーミンパパは若かりし頃の冒険譚を語りはじめて……。
みなし子だったムーミンパパがムーミンママと出会うまでの物語。
みなし子ホームで育ったムーミンパパがホームを飛び出して新しい仲間と巡り会い、大航海へと出発。
いまどきのアニメと比べるととても地味ではありますが、メッセージ性に溢れています。
ただ、ムーミンといえばTVアニメの印象が私には強くて、パペットになると別物の感じはします。
ムーミンが割とわがままな発言をすると、のび太を思い出してしまったりもして(笑)。
 
《め》
『メンドウな人々』
2023年の日本作品。TSUYAYA DISCASにてレンタル。
東京・銀座にある映画会社“映画24区”が全国の自治体と組み、
「地域」「食」「高校生」をキーワードに作る映画シリーズ“ぼくらのレシピ図鑑シリーズ”第3弾。
山梨県富士吉田市、富士山を望む町で暮らす高校生・遠山雄大(片岡千之助)。
実家は織物業を営む老舗で、雄大とちがって良く出来る兄・光大(鳴海翔哉)が継いでいる。
家にも学校にも居場所がなくて、放課後はぶらぶらと時間を潰すのが日課。
ある日、酔っぱらっていた洋食店の主人・桑原猛(的場浩司)とぶつかり、猛は足を捻挫。
雄大はしばらく店の買い出しなどを手伝うことになる。
と、そこへやってきたのが近所の高校の「うどん部」の部員。
高校の家庭科室で水漏れが起きて使えないらしく、猛の店の調理場を貸すことに。
うどん部の部員はたった3名。あまりにガチすぎて、誰か入部してもすぐに辞めてしまうらしい。
部長・勝俣くるみ(藤嶋花音)たちの本気度に圧倒されながらも、なんだかんだでそちらも手伝うはめになる雄大だったが……。
“ぼくらのレシピ図鑑シリーズ”を観るのは初めてでしたが、とても楽しい。
いろいろアレンジされたうどんも登場して、うどんを食べたくなります。
一見元気な人たちだけど、子どもも大人もみんな傷つき迷い生きている。
広大を恨めしく思っていた雄大が、兄だって喜んで実家を継いだだけではないことを知るシーンも○。
そうそう、結果オーライってこともある。
 
《も》
『モダン・マスターズ:S・S・ラージャマウリ』(原題:Modern Masters: S. S. Rajamouli)
2024年のインド。Netflixにて配信。
『RRR』(2022)のS・S・ラージャマウリ監督に取材したドキュメンタリー作品。
もともと映画制作に情熱を傾けていたのは、彼の父親と従兄たちなのだそうな。
自分たちで脚本を書き、作曲し、映画館で試写するところまで行きながら未完成に終わったり、
完成してもヒットには遠く及ばなかったり、憂き目に遭ってばかり。
そんな父親たちを見ていたラージャマウリ監督が大成したわけですね。
ボリウッドでアクションシーンに民謡を用いたのは監督が初めてだとか。
映画作りが大好きな一族。一緒に映画に関われて本当に楽しそう。
昔はまさか日本で自分の映画が大ヒットするとは思わなかったという監督が、
N・T・ラーマ・ラオ・Jr.ラーム・チャランと共に東京を訪れたときのシーンが嬉しい。
ラーム・チャランの出世作『マガディーラ 勇者転生』(2009)のシーンも堪能できるし、
“バーフバリ”シリーズが大ヒットに至るまでの話も面白く、主演のプラバースへのインタビュー映像もあります。
時代に逆行しているなどと非難されることもあったけれど、観客を喜ばせるものを作りたいという監督。
「ボリウッドのジェームズ・キャメロン」ですって。この先も面白い超大作を撮ってくれそう。

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