『地球で最も安全な場所を探して』(原題:Journey to the Safest Place on Earth)
監督:エドガー・ハーゲン
第七藝術劇場にて2本目。
感染症対策のため、映画と映画の間は30分空けられていますが、
消毒等が終わるとスタッフが声をかけてくださって入場できます。
あまり広くはないロビーのこと、密にならなくて良いですね。
2013年のスイス作品ですが、日本公開は初。
監督はスイス出身のドキュメンタリー作家、エドガー・ハーゲン。
タイトルを聞いたとき、
ただ安全に暮らせる場所を指しているのだと思っていました。
ちがった。
放射能廃棄物を安全に処分できる場所という意味でした。
ハーゲン監督は反原発の立場を取っていますが、
彼が密着取材するのは原発を推進する核物理学者チャールズ・マッコンビー。
マッコンビーは原発の必要性を説き、だからこそそれを安全に使えるように、
放射能廃棄物の最終処分問題に取り組んでいます。
でも、ない。そんな場所はない。
中国、砂漠の中。住人は4家族だけだからって、なんとかなるのか。
アメリカ、先住民が暮らす土地では、
住民が聖なる山として崇めていた山をぶち抜きます。
そこまでしたのに、安定性に欠ける岩であることがわかって断念。
反原発の国、オーストラリアにどこよりも平坦で安全な土地がある。
オーストラリアを最終処分地にしようと秘密裡に話を進めますが、
どこからか環境保護団体に漏れてしまい、大反対を食らう。
当たり前ですよね、原子力を持たない国にゴミだけ引き取ってほしいだなんて。
最終処分地となれば、この先100年の雇用は確保されて町が潤う。
そう踏んで立候補したスウェーデンの町もあります。
でも、立候補したからと言って、安全な土地かどうかはわからない。
世界で唯一、放射能廃棄物処分施設の建設に成功した町がアメリカにある。
でもそこだって周りは油田だらけで、
エネルギー省が存在する限りは施設の真下の土地が掘削されることはないが、
いずれ誰ぞが掘ろうとする可能性も否めません。
10万年以上の間、放射能廃棄物を「安全に」保管できるところはいったいどこに!?