『私にふさわしいホテル』
監督:堤幸彦
出演:のん,田中圭,滝藤賢一,田中みな実,服部樹咲,髙石あかり,橋本愛,橘ケンチ,光石研,若村麻由美他
元日、朝イチでNGKに行って初笑いした後、父に面会するため老健へ。
この時点で14時半を少し過ぎた頃で、今からどうするか迷う。
たいがい疲れているからまっすぐ帰るのもありだけど、せっかく外にいるのに勿体ない気がする。
しかも元日は映画ファーストデーで安いのだし。でなくても今年はレディースデーか。
と、覚悟を決めて、今は仕事帰りに行くのを遠く感じてツライTOHOシネマズ西宮へ。
どうせここまで来たなら1本で帰ったらあかん、3本観て帰ろう。そのハシゴ1本目。
原作を読んだのは2017年4月だったようで、そのときの感想はこちら。
実在の作家の名前がバンバン出てきたのが面白く、とても印象に残ってはいます。
とはいうものの、読了してから8年近く経っていると、詳細までは覚えていません。
主演がのんだと聞いたとき、私の持つイメージとはかなり違うとは思いました。
デビュー作がプーアール社主催の文学新人賞を受賞して前途は明るいと思われた作家・中島加代子(のん)。
しかしそのデビュー作を大御所作家・東十条宗典(滝藤賢一)に酷評されたせいで鳴かず飛ばずに。
プーアール社よりはるかに大手の文鋭社に勤める編集者・遠藤道雄(田中圭)は加代子の大学の先輩で、縋れるのは彼しかいない。
作家が籠もることで有名な山の上ホテルに自腹で泊まる加代子が大作家を気取って執筆を始めたところ、
彼女の部屋にやってきた遠藤が言うには、真上の階に東十条が宿泊中で、明日までに原稿を書き上げる予定らしい。
もしも書けなければ「落とす」ことになると言い、その場合は誰かほかの作家による穴埋めが必要となる。
自分にその役が回ってくると信じる加代子は、ホテル従業員を装って東十条の部屋を訪ねると、
シャンパンを原稿の上にこぼしてみたり、東十条を酔わせて原稿を書けなくしようとしたり、あの手この手を打ち……。
さすがに映画版では実在の作家名を挙げることはできなかったようで、あくまでも作り物。
のんのことは嫌いではないけれど、デカい声で騒ぎまくっているだけのように見えてイメージが違う。
私が彼女の演技でいちばん好きなのは、声優として出演した『この世界の片隅に』(2016)ですから。
が、原作どおりで面白かったシーンも多数。
たとえば書店の万引き犯を加代子が追いかけて捕まえるシーン。
売れっ子作家の新刊ばかり選んで盗んでいたことに激怒するところは切実ですよね。
文学賞受賞の裏側にもまるで政治のような雰囲気を感じます。そんなことはないと信じたい。
とにかく、読む本は自分で選んで好きなものを見つけたい。
ほかの人の評価がどうだっていいじゃあないか。ファンはここにいますと、好きな作家に伝えたい。
ひとつ、物凄く気になったことがあります。
人のことをどうこう言えるほどお箸の使い方は上手じゃないのですけれど、のんのお箸の持ち方が悲惨。
お箸の下から3センチぐらいのところを握りしめて焼きそばを食べるシーンにドン引き。
最初はそういう演出なのかと思いましたが、招かれた家でカラシ蓮根を食べるときもそう。
お箸の使い方が下手だという演出が必要だとも思えず、これがいつもの彼女なのでしょうか。
ふと思い出す北川景子のこと。彼女も女優になりたての頃はお箸の使い方が下手だったけれど、
元総理大臣の孫であるDAIGOとつきあいはじめてから、恥ずかしくないようにと美しい食べ方を猛練習したそうです。