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『太陽と桃の歌』

2025年01月04日 | 映画(た行)
『太陽と桃の歌』(原題:Alcarras)
監督:カルラ・シモン
出演:ジュゼップ・アバッド,ジョルディ・ プジョル・ ドルセ,アンナ・ オティン,アルベルト・ボスク,シェニア・ ロゼット,アイネット・ジョウノウ,
   モンセ・オロ,カルレス・ カボス,ベルタ・ピポ,ジョエル・ロビラ,イザック・ロビラ,エルナ・フォルゲラ,アントニア・カステイス他
 
テアトル梅田にて2本ハシゴの2本目。
 
1本目に観た『クラブゼロ』がなんとも言えず気持ちの悪い作品で。
これはそんなことは決してなかろうと思いながら臨むスペイン/イタリア作品。
第72回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞しています。
 
スペイン・カタルーニャ地方の桃農園。
三世代でこの農園を守りつづけてきたソレ家だが、地主から土地を明け渡すように突然通告される。
祖父のロヘリオの時代には契約書など存在せず、永年の貸与を口約束していた。
法的に効力を発揮できるものは何もなく、このまま地主に従わなければならないのか。
 
地主の通告の理由は、この地にソーラーパネルを設置したいというもの。
桃で収入を得ずとも、ソーラーパネルの管理を任せるからそれで食えるだろうというのが地主の言い分。
ロヘリオの息子キメットは激怒し、その息子ロジェーも桃づくりに携わりたいと思っているが、
キメットの妻ドロルスや妹夫婦のシスコとナティはパネルの管理人のほうが楽に稼げると考える。
 
夏が終われば土地の明け渡し期限が到来する。
なす術もないまま刻一刻とそのときが近づいてきて……。
 
巨大資本に潰される家族経営の農家という図は、考えてみれば『クラブゼロ』と言いたいことが同じと言えなくもない。
けれどその印象はまるで異なります。
 
困惑する家族たちの中で、何もわからない幼き子どもたちは無邪気。
あれれ、車がなくなっちゃったよ、車の中は涼しかったのに、なんで車がないの、なんて話している。
遊ぶことに忙しく、親たちの苦悩を知る由もないけれど、なんとなく不穏な空気は察しています。
 
桃の生産者たちがデモを起こして闘う様子と対照的にカタルーニャの景色が美しいのが切ない。
太陽は彼らの気持ちに関係なく照り続ける。呆然と見守るしかないエンディングです。
 
しかしソーラーパネルってそんなに儲かりますか。

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